パーリ語の nava と 英語の new
中部#3 法相続経 では、サーリプッタ長老が長老比丘(therā bhikkhū)、中堅比丘(majjhimā bhikkhū)、新参比丘(navā bhikkhū)における遠離の学びついて解説されました。
この長老、中堅、新参に対応する単語はそれぞれ、thera、majjhima、navaという形容詞です。
theraはテーラワーダ(Theravāda, 上座部)の「テーラ」にあたります。majjhimaは中部経典(Majjhima-nikāya)の「中部」にあたり、「中の, 中間の, 中位の」といった意味です。そして、navaは「新しい, 若い」という意味です。
「あれ? この"nava"は英語の"new"と音が似てるし、意味も似ているな。」と思い、英語の辞書で調べてみることにしました。
ジーニアス英和辞典では語源として古英語のnīweが記載されていました。wの後ろに母音が付き、少しnavaに近くなったような気もしますが、古代インドの言葉とのつながりは分かりません。
次に、OALD 10 (Oxford Advanced Learner’s Dictionary, 10th edition)にもWord Originという項目があるので調べてみます。
サンスクリットの"nava"、ラテン語の"novus"、ギリシャ語の"neos"と同根のようです。navaについてはサンスクリットとパーリ語は同形なので、英語のnewとnavaは同根ということになるかと思います。英語だけではなくオランダ語やドイツ語でも同根の単語があるようですね。
インドの言葉とヨーロッパの言葉は本当に繋がっているんだなぁと実感できる瞬間です。
パーリ語の一つの単語についての小さなことですが、私は英語の多読も普段続けているので、自分でこういう小さな発見をすることが、パーリ語を読むことの醍醐味となっています。
パーリ語釈: 増補改訂 パーリ語辞典 水野弘元 (春秋社)
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