191002 司書講習
9月13日の金曜日を以て、7月下旬から2ヶ月弱にわたった司書講習を修了しました。5年前に病を得て入院、来し方行く末を思案する中、ベッドの上でページを繰った漫画『図書館の主』に感化されたりして、前々からの興味が再燃した次第。 特に昔の僕を知る人ほど「ああ、主人公の御子柴になりたいのね。よく似てるわ」と思われるかも知れませんが、彼よりは愛想がいいつもりです。作品の中で折に触れ図書館員が置かれた厳しい環境が描写されているので、単純な憧れはありませんでしたが、人生最後のわがまま、くらいのつもりで。まとまった休みを取るのはなかなか難しく、先延ばしにしていましたが、今年は巡り合わせがよかったもので。「きっといつかは」と思っていた道です。
一言で感想を述べれば、とても楽しい時間でした。年によってばらつきがあるようですが、今年はこれから図書館で働こうという受講生と、既に図書館で勤務しており専門的知識や技能を身につけようという受講生とがほぼ半々でした。自らの経験に照らし合わせて授業を受けることができる図書館員の方が理解は促進されますが、行政サービスの提供という一義的な使命を負う司書職としては、利用者の視点を失わないことも重要です。専門職としての覚悟なんて(まだ)持ち合わせていない僕ですが、よく利用する施設への理解を深めることができたことが大きい。手話講習会でも「久々に学生に戻ったようで楽しかった」という感想をよく耳にしました。人には新しいことを学ぶのに、本質的に喜びを覚えるのかも知れません。
夏休み中に必要な科目の日程を確保するには、日曜祝日を除き、1日5時限の授業を連日行わなければなりません。酷暑の中、週休1日で通い続けるのが病み上がりの身体にどれだけ堪えるか、自分が一番よくわかっており、無謀な挑戦でした。あと一週間で閉講式、というタイミングで38度の熱を出した時は、これで一巻の終わり、それもまた僕らしい、と半ば諦め気味でしたが、どうにか乗り切った、のかな? 終了後は殆どグロッキー状態で、1週間近く一歩も家から出られなかったりして。
大学の講義を受けるのは、難聴となってから初めてです。座席指定で幸い前方の席でしたが、距離が近ければ、音が大きければ確実に聴き取れるものでもなく、身を入れて聞かなければ聴き取れません。人間の耳が本来持つ、自分が必要とする音が自然と耳に入ってくる能力が失われたため、意識して耳を傾けなければならず、人並み以上に疲れます。聞き漏らすまいと身を乗り出すようにして講義に臨んだところ、終了後に講師から「真剣に聴いていただいて、ありがとうございます」。美しい誤解はそのままにしておこう。
司書講習を行う大学は全国で7校くらいしかなく、諸般の事情でその中から一つを選びましたが、事前に提出書類で確認すべき点があったので問い合わせたところ、ご返事いただいた担当の職員さんのお名前が「さだまさ」さん。お名前に「氏」をつけると「さだまさ氏(さだまさし)」。もはや宿命だろ。