春にしては珍しく冬の寒さが残っている4月。改札近くのパン屋の新しく出来上がったらしいパンのいい匂いが、行き交うサラリーマン達の間をうまく掻い潜っている。 「この時間でも、やっぱり混んでるな…」 大阪の中心地梅田中央回札前。水曜日の午後5時半、オレンジから黒色へと空の色が移り変わっている中、大学2回生の吉矢亮太郎は、午後の授業をさぼり「相手」を待っていた。 ディナータイムより少し時間がずれているから、そんなに人はいないだろうという予想に反した人混みの多さへのイラつきと、今後起き