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ポエマー

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臭いけど数ヶ月後に読み返しても恥ずかしくないレベルの文
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窓から

窓から

隠せずに乗った新幹線で唾を飲みました

景色なんて見ないのに窓際に座りました

スマホに写ったニキビに触れないように

少し涼しいからってわざと長袖を着ました

手のひらを袖で隠して腕を組んでみました

寝たフリをしたいわけではないけれど

そうでもしないと耐えられないのです

往々にする

往々にする

逆らい跳ねた小さな気泡 

昨日のままの髪に消えた

それを小さな希望に例え

少し揺らしてそれを待った

青く照らした暗い部屋で

響くはずの音は無くて

選んだ時間を守れないまま

そのまま電話が鳴るのを待った

気づけないこの音も光も 

うるさく眩しいノイズになって

見つけかけた事も期待も 

探そうともせず目を瞑った

入相

入相

あえてカーテン隙間残して

閉める漏れた光を頼りに

削れた爪ささくれ探して

登り溜まる鬱忘れられず

やり残した事そのままにして

入らないゴミ狙ってみたけど

今日にこれ以上用は無くて

潜った布団は濡れていたけど

冷えた指を股に挟んだ

夜勤君の日記

夜勤君の日記

狭い夜は
細くて明るい
ドアの隙間に

目がくらんで
視点が合わない
眼鏡の傾き

一人一人が
ここにいる
際立って
負けじとたたく

思っていた
こととは違って

時間が暗いだけで
何も変わらず

静かな換気扇
センサーが
嬉しそうに動く

自動販売機は
静かで
エレベータの
モーターの音

電車の音も
何もしない
取り出した
1時間前と
何も
変わってない

まだ、
まだ起きてる

不可逆

不可逆

窓の結露が
昨日の目のようだった
換気してるのに
拭いてもすぐ曇るから
そのまままにした

割り込む声が
今日の部屋に響いた
誰もいないのに
塞いでも無駄だから
聞くことにした

夜の写真が
朝になっていた
枕の隣に
霞んでよく見えないけど
しばらく見ることにした

曇り止めを塗った
鏡が滲んだ
自分が見えない
滲むぐらいなら
曇ればよかった

遮られた音が聞きたい
鳴りもしないけど

この先の僕

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帰り方

帰り方

喧騒の窓を追う
映像の後を辿る

背を去る頃を待つ
減速する架橋を聞く

抵抗する意思を脱ぐ
並行する道を跨ぐ

天気予報に頼む
影響範囲を探す

適合した夜と
迎合するゴミを捨てて

鍵を開けたら
きっと

理想のために
思想を曲げてまで

何がしたい
何がしたい