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幸せなプランナー養成講座でした。そしていま。

4月3日に広島で行われる「クリエーティブ自由研究」。
そのティザーのような2月6日のzoom飲み会に参加したらコピーライティング100本ノックの話が出てきました。

コピーライティグ100本ノック。
よく聞きますよねこれ。
多くの場合は先輩が後輩を育てるために課題を課す。
翌日の打ち合わせまでに後輩は100本とかコピーライティングを描いていかなくてはならない。

一般的な傾向として、最初に出てきた案は普段の暮らしの枠組みや思い込みに囚われていることが多いものです。
その枠組みや思い込みのネタがなくなったときにもがきながら出した案にこそ、その人のナマの人間性が見えてくる。
突き詰められた人間性のところで勝負する言葉が出てくる。
側(はた)から見るとしょうもない単純なことばの場合が多い。
でもその単純なことばにこそ、その彼・彼女の、あるいは人類(世代かもしれん)普遍の感覚が滲み出てくる。
それを諸先輩たちは待っているのです。

コピー100本ノックはいじめでもマウンティングでもない。
そこまで追い込まれるしごとをチームでできるのは幸せなことかもしれません。
先輩があなたのことを「できる」と思っているからこそ、突き詰めることを課しているからです。

クリエーティブの世界では多くの会社がこの100本ノックをやってるようです。
「俺はそれやらないし、やられたこともないぜ」という人がいます。
そのような人は2つに分けられる。

一つはその人が持ち前のすごいものを持っていた場合。
先輩はそれを見抜きます。
数出すよりも考え込んで、コレ!と出す人もいるでしょう。
(この場合はクリエーターというよりはプランナーに近いかも・私見)
そんな人には100本ノックはあまり行われない。
先輩(力のある人に限る)という存在は素晴らしいですね。
ホントうらやましい。

もう一つの場合はその人がすごいものを持っていない場合。
そんなことも多いでしょうが、この場では言及しません。

さて。
プランナーはどうでしょうか。
多少強引な気もしますが僕がプランナーという肩書きを名乗っているので、話題にします。

今の世のなか、プランナーと名乗ればプランナーにはなれます。
こう考えて、こう考えたから、こうやるべきと思うんっすよねーというプランナーもいる時代です。

その軽さもいい。
いいけれども。

学生時代の最後のころ僕はマーケティングプランナー志望でした。
最初に採用してくれた会社では広告会社の基本の商流を学ぶため新聞部に配属され、一年後にマーケ配属となりました。

当時といえばバブル時代ですよ。
英国やフランスの自動車ブランドとか、格好いいキャンペーンとかの仕事がくるわけですよ。
隣の人にはね。

そんなとき僕に転がってきた仕事が。
「いいものコレだ!キャンペーン」。
量販店のエンド大陳(売り場端っこの一番目立つとこの陳列と装飾)と、新聞夕刊の木曜日ラテ面記事下7段面を組み合わせた広告販促企画のしごと。
毎週新聞広告が出るから、担当になったらマシンガンの回転式マガジンのように、あるいは単発銃のリボルバーのように、ぐるぐるまわるわけです。
マーケ企画のほかSP企画からクリエーティブ、連動した店頭POP施策まで組み上げるので、毎週掲載の企画には3〜4チームのスタッフがいつも動いていました。
駆け出しマーケターの僕と、若手のCRと、若手のSPがその度にスタッフィングされて、オリエン・企画・流通プレゼン・メーカープレゼンとガンガン進めます。

ある週は豆腐。翌週は大画面テレビ。その翌週はペール(プラスチック製ゴミ箱)。さらに翌週は冷凍讃岐うどん…。
量販店に並んでいるありとあらゆるものが仕事の範疇です。

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この仕事はプランナーとしてクリエーティブの100本ノックに匹敵する体験でした。
好きな分野とか言ってる場合じゃない。
とにかく市場データとPOSデータと向き合い、ときには店頭に立って販売が向上する手立てを考える。
豆腐であろうが大画面テレビであろうが。

格好いい仕事ではないし、えええー?と思いながら手をつけたのですが。
今となってはこれが一番人生で為になった体験だったと胸を張っていえます。

いまプランナーを擁する会社ではOJTで育成をしていることが多いと聞きます。
若いプランナーの皆さんと話すことも多いのですが、こんなに振れ幅の大きなしごとを、しかもCRやSPのディレクター(の卵)とがっぷり組んだ経験を、している人は少ないようです。

僕は当時、企画の前提として市場のこと、販売時点のこと、生活者の性向のこと等々、調べまくりました。
そしてとにかく企画書を書きまくりました。

書きまくったことが、いま僕をここに連れてきたと思っています。
そんな初心者の頃に言われたことがあります。

企画書を書こうと思ったら、論旨をA4一枚くらいにわかりやすく書いてごらん?

ワードで(当時はクラリスワークスとか富士通オアシスだったかも)A4一枚にまとめるとポイントと起承転結がわかりやすくなります。

そうして一枚のストーリーとか企画書を書きまくること。
それはプランナーの人にも必要なことだし、そういう時期は必要だなのだと思っています。

そんなしごと環境が難しくなったいま、100本ノックは自分で自分に課すものなのかもしれませんね。

4月3日の広島ではそんな話も出てくるかもしれません。
せっかくの講師陣との人間関係構築の機会です。
こんなに信頼に足る先輩方と出会う機会は少ないんじゃないかな。
100本ノックとか、愛情をもって真剣にやってくれそうなメンツですよ。

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眞藤 隆次
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