見出し画像

深夜書店考察、四夜。陽身、かさなる「デューン/ 砂の惑星」、「真 深夜書店」。

 創造、への感染だ。

 感染、て言葉も捉(とら)え方ですね。

 そそ、謀略、や計画って言葉も。

 「謀略の中の謀略の中の謀略」
 
 「計画の中の計画の中の計画」

 「デューン/砂の惑星」、SF作家フランク・ハーバート氏の小説作品で多用される文章表現だ。物語の舞台は、惑星デュ―ン。 長寿と宇宙旅行を叶えるスパイスを巡り覇権争いが起きる。
 密度の濃い生態学的考証、生活文化の描写が、物語はかくあるべしとの思念を届けてくれた。
 その世界観は「真 深夜書店」の物語にも浸透(しんとう)させているつもりだ。

 深夜書店、の物語、果てなく拡がる世界観にも通底させねばとの意欲にもつながった。

画像1

多彩な憑依(ひょうい)半身種族、混合種まで在る。地球上の肉体生命に憑依し、現実社会と憑依半身世界での脅威的な知性を駆使して諸勢力が権謀術数(けんぼうじゅっすう)の限りを尽くす。
 けして主人公といった役回りではないのだが、重要な主要登場人物のひとりは「デューン/砂の惑星」の主人公にも似ている。正しさ、清らかさをつらぬくこと、陽光を世に広大にそそぐことに苦悩する登場人物の変遷(へんせん)は「デューン/砂の惑星」の真似をしたわけではない。
 時代の流れ、現実の肉体生命社会、ここでの人となり、生きざまこそで似てきたのに感銘する今日この頃である。
 太陽、の王国は建国されたばかりだ。不穏な見えない敵と闘うべくの物語は果てない。肉体は初老になろうとも、はじまったばかりの王国だ。若く健やかなる王国統治に躍動を期待していくわけでもある。
 「真 深夜書店」、友情、恋愛も、てんこ盛りで、血沸き肉躍る活劇ではある。そのなかにも、歳月経てやがては、慈しみを社会通念にとの、策謀を画策(かくさく)していく物語要素は沁み込んでいたのだ。
 過去軸の物語で、描き込んだ人物像の心情の数々がさらに奥行きをあたえるものと信ずる次第だ。
 
 そそ、せっかくなので近日公開される映画版「デューン/ 砂の惑星」なんかもあるので、過去の映画化のことで語りたい。

 1984年には、あの「ツインピークス」デビッド・リンチ監督により映画化された。
 2000年に放送されたアメリカ・カナダ・ドイツ製作のテレビドラマ版もある。
 そして、「ブレードランナー2049」ドゥ二・ビルヌーブ監督により、2020年に公開されるリメイク作品も近日お目見えだ。
 
 詩人、としてはそれらも当然含めてだが、1973年、フランスの映画制作組合が権利を買い取り、アレハンドロ・ホドロフスキー監督のもと「映画史上最も有名な実現しなかった映画」と云われ伝説となったホドロフスキー『DUNE』については熱く伝えたい。

 映画『ホドロフスキーのDUNE』は、幻の超大作をリアルに擬似体験できるだけでなく、100年先をも生きるであろう賢者にして80歳半ばの芸術家=ホドロフスキーの真髄に触れられる夢のような名ドキュメンタリー作品だす。
 そこいらの芸術家たちも魅了されるやろうね、お茶目な名匠の情熱と含蓄(うんちく)溢れる哲学的名言の数々にも感銘はするはずやと思う。
 「未完の大作」として伝説にもなっているホドロフスキー『DUNE』を題材にした本作の話を聞いた時、へ~、そうなんや、で終わってた。それでも、観る機会が訪れるのだ。

動画↓。「ホドロフスキーのDUNE予告編」1分59秒。

「生命、にかえても作品を完成させること。未完では遺志を伝えようがない」
 
 クリエーター(創造者)の神髄とは固くそう信じること。もの創りを続けるとはそういうことやと考えることに至った作品がこれだ。
 けして、未完のものなど生まれへん、撮影すらしていない作品やのに、『DUNE』は完成してた。
 ホドロフスキーの崇拝者でなくても、創作に携わる者、もの創りを目指す者たちには深くも浅くも伝わってくる。
 どんなメイキングや、ドキュメンタリーよりも、勇気と感動、それに意欲を与えてくれた。

 40年も前の苦い思い出を、昨日のことのようにイキイキと語る巨匠の姿を観てるだけで、自分自身のちっこくてセコイ、悩みなんて吹き飛んでいくんやった。
 清々しい快作だった。
 全力全開でぶつかって砕け散った失敗ほど、時が過ぎ歳月経てこそにも心の糧になる、と教えてくれた。

 未完の作品なんてこの世には無いんかもしれへん。
 仕上げて到達することよりも、まずは始めていく、一歩踏み出してみること。
 動き出せば人が集まって、いい空間や場所ができる。
 出会った人たちが別の作品をつくったみたいに、きっかけが生まれる。
 そのことに改めて気づかされた映画だった。
 
 創造、への感染だ。

 感染、て言葉も捉(とら)え方ですね。

 そそ、謀略、や計画って言葉も。

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?