今日の日記(ラジオを聞いて思い出した、谷川俊太郎さんのとある詩集)
なんとなく気持ちの上がらない1日。ランチ営業のみで、夕ご飯も早めに済ませ、珍しく手持ち無沙汰の夜。余計に気持ちが沈んでくる…
気分を変えようと、ソファに寝っ転がり、ラジオ「あとは寝るだけの時間」を聞きながら、10年も前の栗原はるみの雑誌をめくる(あ、こねないパン、作ってみようかな)。3人のわちゃわちゃ仲良しトークに少し気持ちが和む。
続いて「高橋源一郎の飛ぶ教室」
オープニングトークの谷川俊太郎さんへの想いを込めたお話に何か熱いものが込み上げてくる。
そういえば谷川さんの作品で特に印象深い出会いの詩集があったことを思い出す。
「あさ」「ゆう」である。
これを見つけたのは、当時3歳の娘だった。鹿児島に来てまだ間もない頃、知り合いもなく、娘を連れてよく地元の図書館で絵本を借りていた。いつもは子供らしいキャッチーな絵の楽しそうな本を選ぶのに、この日に限ってこの写真集のような本がいい、という。
「ほんとに?ほんとにこれでいい?」
まだ理解できないように思えて、何度か念押ししても「これがいい」というので、たまにはいいかと借りてみた。
朝と夕方の美しい写真と谷川さんの詩で構成された本である。娘と「きれいだねー」とページをめくりながら、日本の景色ではなさそうだなぁと思い奥付けを見た。全てカナダで撮られた写真らしい。
カナダは私が初めて訪れた外国だった。大学3年の頃のこと。カナダを選んだ理由は、ナイアガラの滝が見たかったのと(一応ナイアガラーだから)、プリンスエドワード島に行ってみたかったから(ご存知赤毛のアンの舞台)。
当時はまだ海外に出る日本人がまだそんなに多くなくて、今では信じられないことだが、日本人っぽい人を見かけると「日本人ですか〜⁉︎」と積極的に声をかけて、情報交換したり旅路を共にしたものだった。
プリンスエドワード島でも、そんな日本人の同い年の男の子と知り合いになった。彼は島の風景に惚れ込んで、高校を出てすぐ、単身でカナダにわたり、写真を撮り続けているという。
泊まっているのがユースホステルで、ユースは必ず一度チェックアウトしなくてはならない。風邪を引いたり体調が悪い時には、ずっと外にいなくちゃいけなくて、結構キツイんです、などといっていた。将来はカメラマン志望だとも言っていた。
ただ旅行に来ているだけの自分と違って、もう目標を持って海外にいる彼のことを「すごいなぁ」と感心したのを覚えている。
奥付けには谷川さんに続いて、カメラマンのプロフィールも載っていた。
「吉村和俊 1967年生まれ」
あ、同い年かと思った瞬間、そうだ!吉村くんだった!と突如あの島で出会った彼の名前を思い出した。
「20歳でプロを目指し単身カナダに渡る」
カナダを初めて旅してから、何十年も経っていた。私はその間、あっちへフラフラ、こっちへフラフラしていたけれど、そうか、彼はそのまま写真を撮り続けプロになったのか…
感慨深く思い出すと共に、娘がこの本を選んだ、というのが偶然にしてはできすぎてるなぁ…ととても不思議に思ったものだ。
次回の「飛ぶ教室」は谷川さんの追悼特集とのこと。ぜひ聞いてみよう