唐芋と薩摩の人は呼びにけり
昨日に引き続き、鹿児島の方言のことです。実はこちらでは、サツマイモのことを「唐芋(からいも)」と呼ぶ人が結構います。これもちょっと考えれば合点の行く話で、たとえば私たちが「フランスパン」と呼ぶものを、フランス人はそうは呼びません。日本人から見て、“フランス”の“パン”だから、フランスパン。
では誰がサツマイモと呼ぶかというと、その地域外に住んでいる人が呼ぶわけです。昔、たとえば京都とか江戸とか、薩摩地方から運ばれてきたお芋をこう呼んだわけで(飢饉対策で、青木昆陽先生が鹿児島から取り寄せ、普及させた話はよく知られていますね)、薩摩では別の呼び名になります。つまり薩摩人から見てこの芋がどこからきたか…「唐(から)」、つまり中国。鹿児島の人にとってはサツマイモは、中国から来たお芋ということになるのです。
その呼び名が今でも普通に日常の中に残っているのは、「今」は間違いなく「昔」とつながっているんだなぁ、としみじみ思うことです。
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