死んだゲームセンターと死に場所を見つけたペルソナ勢
夜でもおはようございます、K.P.K.(小池ピアノ教室)砂場です。
先日私たち古のゲーセン格ゲーマーにとって非常に鮮烈なニュースが飛び込んできました。
ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールドリマスター版発売のニュースです。
何がそんなにすごいことなのかと言うとこのゲーム、家庭用はしっかり発売されているのですがアーケード版が最終ver2.02に2015年3月26日にバージョンアップされているのですが本日まで家庭用がこのver2.02にアップデートされていないんですね。
もはや近年の格闘ゲームは家庭用が出てからゲームセンター版が出るかどうかという逆転現象が起こっていますが、その当時でも大概は流れ的に
『ゲーセンで出る→家庭用が出る→ゲーセン版がバージョンアップ→家庭用がバージョンアップ』
という感じで最終的にお家でもゲーセンと同じゲームが遊べるというのが主流だったと思いますが様々な大人の事情でこのP4U2がゲーセン版と家庭用版が同じバージョンになることはありませんでした。
そのかいもあって(?)このゲームはかなり長い間ゲームセンターで遊ばれた貴重なゲームでもありました。
多くの友人と知り合うキッカケにもなりましたし、大学~社会人初期の最後の青春を彩ってくれた思い出深いゲームです。このゲームが無ければK.P.K.も存在していません。
今回の記事はそんな思い出のゲームと当時の格ゲーやゲームセンターの思い出話です。
かなり身内向けの記事になると思いますがゲームセンターに縁もゆかりもなかった方は「はえ~そんな時代があったのか~」と異文化を感じていただければと思います。
はみ出し者の収容施設
突然ですがある記事をご紹介します。
最近道頓堀のひっかけ橋下あたりでたむろする少年少女が増えており、飲酒やら喫煙やらチョメのチョメやらで子供たちが良からぬ被害に会っているという記事です。まぁ全然普通によくあることですね。
家庭に不和を抱えていたりなんとなく家にいたくないなんてこの年頃からしたら寧ろ健全まであるのではないでしょうか。
ただ、やはりこういう夜の街に集まるというのは犯罪に巻き込まれたりすることもあるでしょうしよろしくないですよね。
皆さんがお金もそれほど持っていない学生の頃はどんなところで所謂ガス抜きをされていましたか?
スポッチャみたいな複合スポーツ施設でしょうか、あるいはカラオケとか、マクドでジュースだけ頼んで一生モンハンやったりとかもされていたでしょうか。
私たちにとってはその場所がゲームセンターだったということです。
最低50円あれば遊べるし、なんならお金が無くても同好の士と集まりゲームを見ながらおしゃべりができる場所。それが私の知っているゲームセンターです。もう少し時代が古ければヤンキーや怖いおじさんの巣窟だったらしいですが、私が大学生の頃はそんな印象は無かったです。
私は別に家庭環境が悪かったわけでもないですし家にいるとストレスが溜まるというタチの人間でもありませんでした。
ただ格闘ゲームが好きで最新のゲームが遊べるということとゲームセンターに行けば見知った誰かに会えるという心地よさを求めて毎日ゲームセンターに通っていました。
今となっては中々信じられませんが特に示し合わせずとも「行けば誰かいるだろう」という感覚でしたし、実際誰かしらはいたのです。
非行少年というわけでもなかったし、グレていた訳でもありませんでしたが、私にとって最も居場所を感じれるのがゲームセンターでした。
2016年に公開されたプロゲーマーたちのドキュメンタリー映画『リビングザゲーム』の表題には"時代の寵児か、社会のはみ出し者か。"とありましたが、当時劇場公開された際に来場していたプロゲーマーのウメハラ氏は「まぁ僕は社会のはみ出し者なんですけど(笑)」とあっけらかんと話していました。
恐らく当時ゲームセンターに通っていて「俺はまともだ」と思っていた人間は1人もいなかったと思います。全員大なり小なり狂ってました。
自分でもどういう人生を歩んでいたらゲームセンターに入り浸るなんてことになるのかと振り返って考えることがありますが、でもあのはみ出し者の収容施設にいてよかったんだと思います。
あの時期にゲームセンターにいたから好きなことができたし、好きなことを喋れていました。もしゲームセンターにいなければ自分を抑え込んでずっと生きていたかもしれませんし、気の合う友人とも出会えていなかったかもしれない。
今道頓堀の下に集まっている少年少女たちはこの居心地の良さを得られているのでしょうか、30超えたおっさんの身からすると「んなとこでたむろするんならゲーセン行け!ゲーセンに!!」と説教かましたくなりますがどう考えてもゲームセンターに集まってる方が特殊なんですよね、世間一般的に考えて。
だから私たちは本当に特別で得難い経験を当時体験していたのだと思います。
よくろーりーさんと銭湯に入りながら「あのゲーセンで対戦してた時より今後楽しいことなんて起きないのかもしれない」という話をするのですが、残念ながらそれはそうなのかもしれません。他のジャンルではどうか知りませんが、ゲームセンターの格闘ゲームは死んでしまったからです。
死んだゲームセンター
よく格闘ゲームは衰退したという人がいます。こちらの界隈では格ゲー衰退論者と言われる人々ですが、格闘ゲームってコンテンツとして死んでるのでしょうか。
全然そんなことありません。
簡単な目安として売り上げに注目してみましょう。今年の6月11日に発売された"GUILTY GEAR -STRIVE-"こちらは7月に全世界販売本数が50万本に達しました。
ゲームソフトの売り上げは100万本行けば大ヒット、10万本でも普通にヒットと言われる業界です。50万本は普通にすごいですし、縦スクロールや横スクロールSTGみたいな本当に死んでしまっているジャンルとは比べ物にならないくらい活き活きしているゲームジャンルです。
格ゲー衰退論者の方々の主張は大体ゲームシステムが不親切だとか、他プレイヤーのマナーが悪すぎるとかそれっぽいことを書いてますが基本的に全部負け犬の遠吠えで構成されています。
衰退はしていませんがプロゲーマーがいる割にはいまいちFPSやRTSのように流行らない原因はパッと見ですごさが伝わりにくいことと理解しないとキャラクターを動かしたり技を出すのもままならない敷居の高さだと思いますが、兎にも角にも格闘ゲームは今のところ廃れる様子はありません。
実際に今後もアラド戦記の格ゲーやLoLの格ゲーが出る予定があり、まだまだ今後も楽しみなコンテンツです。
ただ、ゲームセンターの格闘ゲームというのはハッキリ言って死に向かっているといわざるを得ません。
これは私もそうだとは思いたくないのですが複数のプロゲーマー(当然ながら元々ゲームセンターでプレイしてた人たちです)がもうゲームセンターではプレイしないと明言しています。
サムネと本編では若干意図が異なっているのですが、要するにゲームセンターに設置されているゲーム筐体のスペックがPCや家庭用ゲーム機に劣る性能となってしまっているため家でプレイするより悪い状態でゲームをしなければならないからです。
そもそも最近の若い世代的にはゲームは無料でできるのが常識となっていますし、誰が1プレイ100円払ってボコボコにされるゲームをわざわざ外に出ていってやるんだよという感じは冷静に考えてめちゃくちゃあります。
だからこそやっぱりゲームセンターでゲームしてた人間って狂ってたんですけど。
ゲームセンター事情で更に悲しい話をすると、ゲームセンターの店舗数は減少していますがアミューズメント産業的には実はそこまで不景気にはなっていません。
では何故格ゲー勢はゲームセンターの活気が無くなっていると感じるのでしょうか、これは一重にビデオゲームの売り上げだけが右肩下がりになっているためです。
これは本当にもう誰が悪いかってプレイヤーでもゲームセンターでもなくただただメーカーの企業努力が足りないせいだと私は思っているのですが実際は様々な要因が重なった結果このような状態になっているのだと思います。
先ほども同じことを書きましたがやはりゲームセンターのゲームはお金を払ってプレイする割には難し過ぎるのが原因なのだと思います。
お金払って気持ちよくなるだけなら多分今の若い人たちはみんなソシャゲでガチャを回します。
ただ、そんな中でもP4Uというゲームは当時比較的に承認欲求を満たしやすいゲームだったのです。
死に場所を見つけたペルソナ勢
当時P4Uをプレイしていたプレイヤーはペルソナ勢と呼称されていました。
P4Uはかの有名なRPGペルソナシリーズを題材としており、それまで格闘ゲームをプレイしていなかった人たちやゲームセンターにあまり縁のなかった女性たちも多くプレイしていました。
その上ウメハラ氏やときど氏などのカプコンゲーをプレイしていた人はあまり参入しておらず、どぐら氏やかずのこ氏のようなアークゲーなどを主戦場とするマルチプレイヤーも初期はプレイしていましたがその後ブレイブルーをメインに切り替えていました。
つまりP4Uはホンマにめちゃくちゃ強いプレイヤーが多く参入していないゲームだったのです。
その上プレイヤーズギルドには都道府県キャラ別ランキングもあり全一は難しくとも大阪の中でこのキャラはトップというドヤり方ができて承認欲求を満たしやすいゲームでもありました。
言うなればP4Uはずっと格闘ゲームのメインストリームでは無いタイトルでした。
それ故にP4Uで活躍していたプレイヤーは他の格闘ゲームではあまりなじみのない人だったり、P4Uから頭角を現した人も多かった記憶があります。
私もP4U2はかなり長期にわたってプレイしていましたが次第にブレイブルー、電撃文庫FC、GGxrd、GBVSをプレイするようになっていきました。
私は幸運にも色々な格闘ゲームをつまんでプレイできる人間でしたが、世の中には"そのゲームしかできない"という人も多く存在します。
勝手なイメージですがアルカプなんかは長期にわたってコミュニティ内でずっとプレイされている印象が強いのですが、P4U2は最新版が家庭用で出ていないためそういった真性のペルソナ勢の人たちは苦渋をなめさせられていたと思います。
私にとっても今回のリマスター版発売はとても嬉しいニュースでしたが、この真性のペルソナ勢の方たちにとっては正に自分の棺桶を見つけた勢いで既にTwitterではP4U2リマスター版と心中するといった書き込みも複数見受けられます。メメントモリ。
何せ丸10年待ちに待った最新版P4U2です、懐かしのあの人たちやあのキャラたちとの対戦。発売日が楽しみで仕方ありません。
あとがき
私にしては珍しく過去を懐かしむ記事になったかと思います。
読み返してみるとちょっと文章の雰囲気もノスタルジックかなと思ったり。
基本的に私は最新の技術とか流行りの物が好きなのであんまり懐古厨的発言はしたくないと思っているのですが、ゲームセンター文化はもうどうしようもないくらい昔の方が良かったと思ってしまいます。
"死んだ"と表現しましたが今でも関東ではギルティギアが盛り上がっているゲームセンターがあったりするのは知っていますが、残念ながら関西ではもはや誰かが呼びかけないとゲームセンターで人が集まってゲームをするという状況にはならないと思っています。
呼びかけずとも誰かがいてゲームするのと、呼びかけた結果人が集まってゲームするのは似て非なる状況なのです。
これ文章で書いても1㍉も伝わらないと思うのですがそういうものなのです。
だからあの時代のゲームセンターが戻ってくることは2度と無いと思うとどうしようもなく悲しい気持ちになりますね。
まぁそんなこと言うと本当にゲームセンターの全盛期はストⅡが流行っていた時だと思いますし、それこそハイスコアガールみたいな時代が一番良かったのかもしれませんが最後のアーケード格闘ゲームの世界を体験出来て幸運だとおもっています。
老害が嫌われる理由はもはや"そうではなくなったこと"に対してあーだこーだ言ってうざい所にあると思うのですが、戦争を語り継いでいかなければならないのと同じくらい日本にはゲームセンターが熱い時代があったと後世に語り継いでいきたいですね。
ではまた。
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