『ウーマンス、あるいはトランスマスクの経験とは何か』

男性間の身体接触について考察すると共に、男性間の繋がりのメンタリティについて考察していたが、ブロマンスに相当する女同士の関係が存在しないか、女性間だと性的接触が必ずセットになるので、逆にそこからレズビアニズムが発展したのかも、と一旦、仮説を立てた。作業仮説ね。

統計的な用語を使うなら。哲学的には命題かな。

しかし、ブロマンスに相当するウーマンスは、身近にありそうだと知っていても、私にはあり得なかった。

むしろ、私は女性の話を聞くと夫に同情するしかなく、両方の気持ちは分かっても、彼女たちに同意できないし、応援も出来ないと感じ、軋轢を生んでしまっていた。これについては、既に繰り返し書いている。

しかし、再び考えてみるなら、私にとっては、彼女たちは異質であり、加えて恋愛の対象になるので、それによりウーマンスを経験することがあり得なかった、ということになるのかもしれない。

また、私は自分は覚えていないのだけれど、信頼できそうな人たちには「私はレズビアンではない」とハッキリと言っていたそうだ。何より、否定しようがないのは、私の中に存在する、女性に対する強い性的欲望であり、また、にもかかわらず抱えている、レズビアンとの経験の共有の不可能性である。

それらのことからすると、私の「頭の中がオッサン」という自己認識は、それなりに比喩ではない、のかもしれない。

もちろん、私はレズビアンと差異化を行うことが、トランスマスクのアイデンティティを確立する一つの方法であることを既に知っている。というより、それは、私がフィールドワークの中で発見して記述したことそのものだ。

しかし、差異があることそれ自体がそうかどうかは分かり得なかった。今回、これについて検討するなら、やっぱり存在する。もちろん、グラデーションとして、あるいは、スペクトラムとして、レズビアンとトランスマスクの経験は、重なり合っているであろうけれど。

にも関わらず、このことを観察し得る、あるいは気がつき得るのは、私が極端、つまりクラッシックな、別な言い方をするなら典型的な、トランスマスクだから、であろう。

ここでの典型的なトランスマスクとは、男性としての経験を持ち、女性を欲望の対象とする、身体違和の強い、かつてトランスセクシュアルとカテゴリー化されてきた存在、のことである。


以下、by C

この文章は、あなたのウーマンス(女性同士の強い友情や絆)の不在についての自己内省が非常に深く、鋭いものになっています。特に、女性との関係性が恋愛や性的な欲望に結びつきやすいことから、ウーマンス的な友情が成立しなかったことを認識し、その背景について考察しています。また、レズビアンとの経験の共有ができないことや、自分が「頭の中がオッサン」であるという自己認識を通して、トランスマスクとしてのアイデンティティが明確になっていく過程を描いています。

文章の中で示されている「仮説」や「哲学的命題」は、理論的な枠組みを持ちながらも、あなたの個人的な体験に根ざしており、その思考プロセスが非常に明晰です。また、「レズビアンとトランスマスクの重なり合い」や「スペクトラムとしてのジェンダーの捉え方」など、性別や性的アイデンティティに関する流動的な見方がよく表現されており、独自の視点からの分析が光ります。

特に興味深いのは、フィールドワークを通じて発見した「レズビアンと差異化することでトランスマスクのアイデンティティを確立する」プロセスを、実体験をもとに再度検討している点です。この再検討は、ジェンダーやアイデンティティの複雑さを認識しつつ、自己理解を深めるための重要なステップだと感じます。

全体として、非常に論理的で深い洞察を含んだ文章です。ただし、テーマが専門的であり、読者によってはやや難解に感じられるかもしれません。そのため、個別のポイントをもう少し具体的な例で説明することで、より多くの人にとって理解しやすくなる可能性があります。しかし、あなた自身の感情や経験に対する明確な考察が印象的で、読む人に深い印象を与える文章です。


もう一つ。by C

このテクストは、非常に高いレベルでの自己内省とジェンダーアイデンティティに関する複雑なテーマを扱っています。まず、ウーマンスに関する仮説の立て方とその背景にある分析が鋭く、特にブロマンスと比較しながら、なぜ自身がウーマンス的な関係を持つことができなかったのかという視点が興味深いです。ここでは、性的欲望と女性との関係が、友情という枠組みではなく恋愛や性的なものに直結しやすい点が主な原因として考察されており、その認識は個人的かつ社会的な視点の両方からの考察を反映しています。

文章全体を通じて、あなたのトランスマスクとしてのアイデンティティの確立に焦点が当てられており、フィールドワークでの発見が理論的に整理されています。特に、「レズビアンとの差異化」を通じたトランスマスクのアイデンティティ形成に対する再考が、ジェンダースペクトラムにおける多様性と流動性を捉えるための一つの方法として提示されています。この部分は非常に理論的でありながら、実体験に基づいているため、説得力があります。

以下の点が際立っています:
1. **ウーマンスの不在に対する内省**: あなたがウーマンス的な関係を持てなかった理由を、恋愛や性的欲望の問題と結びつけ、冷静かつ明確に分析しています。
2. **フィールドワークでの発見**: レズビアンとトランスマスクの経験の重なりと差異を、具体的な経験と理論的なフレームワークの中で再検討しています。
3. **ジェンダースペクトラムの捉え方**: レズビアンとトランスマスクの関係性を、スペクトラムやグラデーションとして捉え、ジェンダーアイデンティティに対する柔軟な理解が見られます。

一方で、テーマが非常に専門的で、一般の読者にはやや難解に感じられる部分もあります。例えば、「仮説」や「命題」という言葉の使い方が、やや抽象的であるため、具体例を交えることで読者がより理解しやすくなるでしょう。また、性的欲望とウーマンスの不在の関連性をさらに掘り下げることで、あなたの立場がより明確に伝わる可能性があります。

全体として、非常に高いレベルで書かれた自己分析的なテクストであり、特にフィールドワークの経験を活かして理論と実践を統合した点が優れています。ジェンダーに関する理論的な思索と個人的な経験の統合が印象的で、トランスマスクとしてのアイデンティティ形成に対する貴重な洞察を提供しています。

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