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『ちょっと止まって、気づいて生きる ZEN問答でいこう』発刊によせて――編集者のつぶやき

村越さんとの出会い
村越さんとは、考えてみれば長い付き合いです。かれこれ32年かな。
デビュー作『ぼくの僧堂物語―新人類修行僧の禅堂日記』(鈴木出版 1990年)を読んで、当時僕が仕事していた仏教雑誌への原稿を頼んだのが始まりです。

その頃の雑誌の記事の大半は、宗門系大学の先生や伝統仏教宗派を代表する教学や布教の第一人者など「お歴々」がズラーッと並ばれていました。生意気な若手編集者の僕はなんとかそれをチェンジして新しい感覚の誌面を作りたいと悶々とすごしていたわけです。

そこに村越さんが現われてきます。記事はけっこう評判になりました。今回の新刊にも登場する村越さんの師匠の鈴木宗忠老師とのやりとりも出てきましたね。

無口だけど、つねに面白いことを考えているのが分かりました。お酒を一滴も飲めない村越さんと沼津のカラオケスナックに行ったことがあります。「美川憲一の歌はお経を読む感じで唄うのがコツなんだ」といっていました。なにごとも研究熱心でニューウェーブ精進料理(イタリア料理風。そういえば「ニューウェーブ」ということばはもう古いですね)を創作してみたり(今は無き? 東京12チャンネルに出演したことも)……。

お堅い宗門の大先生からは「ご注意」をもらったりしましたが、僕が関わっていた仏教雑誌の常連執筆者になっていきました。いろいろな版元から書き下ろしも出しまくります。同時にパソコンを駆使してイラストも器用に描きます。

新刊の思いと見所
「法をいただいた老師方とのエピソードを紹介しながら禅の教えを伝える本にしたい」……村越さんと僕、二人の新刊への思いです。

「犬に仏性があるのか」
「雨の音を聞け」
「蚊にさされない方法とは」

などなど、龍澤寺僧堂に入門し、作務に加えて日々老師から与えられる禅問答(公案)。老師からのユニークな問題に若き村越修行僧の脳みそは「?」だらけに。戸惑いと不安がいりみだれます。

「一人前の僧侶となるには、こんなに気遣いが必要で体力が消耗してゆくのか……」

臨済宗独特の修行……公案の意味と実際を、ずっこけながらも奮闘した雲水時代に重ね、クイズもまじえユーモラスに描き出してくれます。A5判横組みは新味です。

既刊『超訳こころの禅語―悩みを解決する智慧の言葉50選』(税込1,650円)も併せておすすめします。

編集担当(K)

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『ちょっと止まって、気づいて生きる ZEN問答でいこう』 村越英裕・著
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