[想像2030]〈2030年〉の舞台芸術に必要なこと No.4小橋弘之

日本・台湾の現代舞台芸術交流プログラムでは、困難が予想される未来を想像していくために、日本・台湾それぞれで活動する舞台芸術やアートに携わっているプロデューサーやアーティスト、研究者、教育者、批評家などに「〈2030年〉の舞台芸術に必要なこと(日本)」「2030年台湾演劇(台湾)」についてコメントをいただき日本語、中国語で共有します。
――来るべき〈2030年〉の舞台芸術にあなたは何が必要だと思いますか?
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長年、日本経済新聞で記者をされた小橋弘之氏は文化芸術についての記事も多く発信してきた。なかでも伝統芸能(能・狂言・歌舞伎)について造詣が深い。新しい表現が絶え間なく生み出されているいまこそ、伝統芸能がどのように受け継がれ進化しているかを知ることが、新たなクリエイションしていくを考える際に必要なことなのかもしれない。


kohashi*クレジットナシ

小橋弘之(元日本経済新聞記者)
2030年においても、俳優が脚本に従って演じる従来型の口語演劇が舞台芸術の中で大きな比重を占めるのは間違いない。その場合、万人が抱える生と死や愛憎の問題が作品の主要なテーマであり続けるだろう。古代から扱われてきたテーマだけに、創作の手立ての一つとして古典文学や先行芸能から「今日」に適した作品を取材し、現代芸術・技術を取り込んで再創造することが必要だと思う。

過去の優れた作品の取材が創作の有効な手立てであることは伝統芸能の能楽を見ると明らかだ。現行約200曲のうちのかなりの演目で典拠の文学作品が示されており、これにより名作の多くがいかに過去の作品を踏まえて作られてきたかが分かる。また、舞台芸術において「今日性」が重要なことも能楽は示唆している。絢爛豪華な衣装を用いる形式は、これが確立した安土・桃山時代の先端の染織技術があってこそ生まれた。舞台上に人の背丈ほどの高さの幕で覆った作り物を出し、劇の途中で主役が作り物に入って衣装を替える演出は創作当時における早替り。概括すると、能楽の多くの作品は仏教や和歌など当時の今日的な素養を基に過去の物語から種を拾い、最新演出を用いて舞台化したといえる。

現代の舞台芸術はあるべき姿を探るうちに様々に分化する傾向が強まっているように思える。能楽を例に取って再創造を取り上げたのは融合を図る動きも必要で、能楽の歩みに優れた再創造を見るからだ。


小橋弘之(前日本經濟新聞記者)
關於2030年,演員遵從劇本演出的既有對話形式戲劇勢必一樣佔有相當大的比例。如果是這樣,所有人都將面臨的生死愛恨等議題也將持續是一大主題。正因為是自古以來就處理過的題材,有必要把從古典文學或傳統藝術中適合「今日」的作品取材作為一種創作手段,以現代藝術及技術對其再次創造。
我們可以從傳統表演藝術的能樂中明白,從過往作品中取材是一種有效的創作手段。目前大約200首的曲目中,有相當數量的作品可以看見經典文學的典故,也可以理解多數的名作是建立在過往作品的基礎上。另外,在能樂中也可以看到表演藝術所強調的「現代性」的重要。由於安土桃山時代(1568-1603年間,織田信長與豐臣秀吉稱霸日本的時代)先進的染織技術,而確立了使用華麗絢爛的服裝形式。或是在舞台上推出約人身高度的布幕,讓主要演員於劇中進到裡頭進行快換的導演手法等。總而言之,許多能樂作品都是取材自過往的佛教與日式詩歌,將過去的故事融合當時與今日的背景,並運用最新的手法將其呈現在舞台上。
我想,當代表演藝術在方向上有朝不同樣貌分化的強烈傾向。而以能樂為案例,在這些出色創新的能樂步伐中,我們可以知道要重新創作勢必要透過有目的的整合才得以達成。
In.note

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