マヤン級哨戒艇
マヤン級は朝鮮人民軍海軍(北朝鮮海軍)が建造・配備した哨戒艇で、「マヤン」は潜水艦基地が存在する馬養島(マヤンド:마양도)に由来するコードネームです。
朝鮮人民軍海軍の国産艦船の例に漏れずマヤン級に関する情報は極めて少なく、建造された年代などの子細は不明です。ただ一部確認されている情報からある程度は推測が可能で、建造された年代については、1982年の「종군기자의 수기」(従軍記者の手記)という映画にて登場することから、それ以前の1970年代頃には建造され、1980年代に入る頃には就役していたと見られます。
マヤン級の特徴はその外観と言えるかもしれません。白塗りの大型漁船に武装を施したかのような外観は、北朝鮮が建造した国産艦船の中でも異彩を放っています。余談ですが、北朝鮮と関係の深いキューバではスペイン製トロール漁船を改装して武装を搭載したリオ・ダムジ級フリゲートが就役しており、マヤン級もまた漁船をベースに改装した可能性も考えられますが断言はできません。同型艦はなく、1隻のみ建造されました。
マヤン級の船体は全長56mほど、排水量は概ね500~600トン級と思われます。武装は朝鮮人民軍海軍では一般的な85mm砲を艦首に1門、艦橋前方に2M-3 25mm連装砲2基、艦橋背後の煙突があるスペースに14.5mm機関銃6挺、艦尾にZIF-31 57mm連装速射砲1基となっておりなかなか重武装です[1]。とはいえいずれも目視照準・手動操作式であり、敵国の海軍と交戦するには不利しかなく、あくまでも自国沿岸海域の哨戒任務程度にしか活用できないでしょう。レーダーは艦橋のマストに対水上用と見られるレーダーを装備したようですが詳細は不明です。
東海岸で建造されたマヤン級は馬養島の海軍基地に配備されましたが、2010年代に武装を外した船体だけの姿で基地内で放置された後に解体処分されました。
全長: 56m
全幅: 不明
喫水: 不明
基準排水量: 不明
満載排水量: 500~600トン?
エンジン: 不明
馬力: 不明
航続距離: 不明
乗員数: 不明
武装:85mm砲×1 ZIF-31 57mm連装速射砲×1 2M-3 25mm連装砲×2 14.5mm機関銃×6
レーダー: 対水上レーダー
現況: 退役・解体済
参考文献
[1]
・朝鮮民主主義人民共和国の陸海空軍 (著 ステイン・ミッツァー/ヨースト・オリマンス) 大日本絵画
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