”一人パン教室”の補講
KPです。
『”一人パン教室”の補講』ということで、
先日の ”一人パン教室” でお伝えできなかった原材料の解説を行います。
たくさんの方に読んでいただき感激です。
ありがとうございます。
パンの工程が2日間に亘り、それを一気通貫で紹介したかったため、
記事が長くなってしまいました。
今後も製パンや開業に関することを紹介していきます。
興味がありましたら、お付き合いよろしくお願いいたします。
それでは”一人パン教室”の原材料の解説です。
・小麦粉『ユメミルうさぎ』
こちらの商品に使用(ブレンド)されている北海道産の小麦を簡単に紹介します。
「ゆめちから」
「ゆめちから」は ”超強力粉” と呼ばれる秋まき小麦です。
個人的な「ゆめちから」のイメージは、「強い粉、以上」です。
ボリュームを出す為の骨格要員をお願いすることが多かったです。
騎馬戦や組体操のピラミッドで支えてくれる子たちの役割です。
製粉会社さん各社が販売している「ゆめちから100%」のサンプルを頂戴して、
「ゆめちから」を100%使用した食パンを焼き、食べ比べをしたことがあります。
ボリュームは出ましたが、味はシンプルに焼き上がったものが多かったです。
そのような理由かどうかは分かりませんが、
「ゆめちから」は他の小麦粉とブレンドして使用することを推奨されていることが多いです。
味よりも、ボリューム(窯伸びがいい)や扱い易さに注目が集まる小麦粉という印象です。
※個人の見解です。製法によっても異なります。
「きたほなみ」
北海道(つまり日本)で一番収穫量の多い、秋まき小麦です。
主に菓子用、麵用として用いられます。
私パン職人ですが、家でうどんを打ったことがあります。
小麦粉の扱いに慣れていて、
熟成の知識があるので美味しくできない訳がありません。
見た目は不揃いで不格好でしたが、美味しくいただきました。
その際使用したのがこちらの「きたほなみ」です。
小麦粉の蛋白量による分類に分けると、薄力粉・中力粉でしょうか。
薄力粉にしては少々強すぎるかなという印象です。
バゲット・バタールを北海道産小麦のみで作りたいときは、
ベースの小麦粉にするのに丁度いい蛋白量です。
「はるきらり」
個人的に大好きな小麦粉「春よ恋」の後継品種で、春まき小麦です。
こちらは甘みが出やすく、個性的な味のある小麦、という印象です。
パンとして焼き上がると、
クラスト(皮)はお煎餅のような香ばしさが出やすく、クラム(中身)はもっちりします。
誤解を恐れずに言いますと、”お米のような小麦” です。
「キタノカオリ」
パン好きなら誰もが知っている小麦です。
今ではもう希少な小麦となってしまいました。
とても甘みが出やすい小麦です。
当店では「キタノカオリ」の全粒粉を使用していました。
ところが全粒粉ではない「キタノカオリ」を使用するとなると、
問屋さんもタダでは卸してはくれず、
特別な方法でしか手に入りませんでした。
「キタノカオリ」はファンが非常に多い小麦です。
個人的にはブレンドせずに、キタノカオリ100%で使用したいです。
個性豊かな北海道産小麦の中で最も個性的な小麦であると言えると思います。
続いて副材料(小麦粉以外)の紹介です。
・塩『伯方の塩(粗塩)』
こちらは使い慣れたもの、ご家庭にあるもので十分です。
今回は、お店でも使用している『伯方の塩(粗塩)』を使用しました。
こちらは安価でブレもないので使用しやすいです。
私、塩が好きなので、
自宅ではフランスの塩、ドイツの塩、日本の塩、
粒の大きさが違うもの、数種類ストックしています。
ちなみに、とんかつ は塩で食べます。
・酵母 サフ『セミドライイースト(赤)』
こちらもお手元にある酵母を使ってもらって構いません。
本当はサフのインスタントドライイースト(赤)を使用したかったのですが、
手元になかったのでサフのセミドライイースト(赤)にしました。
サフのインスタントドライイースト(赤)はビタミンCが入っているので、若干生地が締まります。
水分量が多い生地やダレやすい生地には必要かも知れませんが、
酵母量が少なければ気休め程度だと思いますのであまり気にしなくて大丈夫です。
ただ、今回使用する酵母は、
インスタントドライイーストかセミドライイーストがいいと思います。
それを説明するには酵母と発酵時間の関係や酵素活性の優劣が関わるので、
詳細は別項で解説します。
また、生イーストは良くも悪くもイースト臭が強いので、
今回のようにシンプルで小麦の風味を感じたいパンに生イーストは不向きです。
酵母量も、現場ではインスタントドライイーストとセミドライイーストで変更します。
今回は配合量が0.08%で微量計を使用しないと計量するのも難しいこともあり、今回は変更しなくて大丈夫です。
・水
普段使用しているお水(水道水、ろ過したお水)で構いません。
まとめ
ざっくりと原材料を紹介させていただきました。
何気なく選んでいる原材料にもきちんとした理由があります。
こだわる部分とこだわらない部分、
お金をかける部分とかけない部分、
メリハリを付けて美味しいパンを作っていただけたらと思います。
「料理は科学」と言われたりしますが、それは製パンにおいても同じです。
パン作りも科学的であり論理的。
科学的な知識を持った上で、それを論理的に構築し、パンを焼き上げます。
プロの方はより美味しくできるよう、
家庭製パンの方はより楽しくできるよう、
製パンに役立つ情報を発信できればと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
それでは、また。
サポートありがとうございます。 いただいたサポートは ”次の記事を書く原動力” になります。 noteを【狭く、深く、細く、長く】続けられるよう、(ほどよく)頑張ります。