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青森はリンゴだけではないのだ
多摩大学大学院で、観光を教えている。
観光を身近な言葉で語りたいのがこのnoteのシリーズだ。
今回は青森😎
1.青森県立美術館のシャガール
友人のパワフル女性陣と共に、青森行きを決心した大きな理由の一つが、青森県立美術館に所蔵されているシャガールのアレコ。これは過去に実演されたバレエの演目の背景をシャガールが描いた、緞帳のようなもので、この美術館の目玉所蔵品の一つとして全4幕の内の3幕を所蔵していた。あとの一枚は、フィラデルフィア美術館が所蔵していたが、偶々フィラデルフィア美術館が改修に入るにあたり2027年までの預託を受けたのが青森美術館であった。
つまりカードで言うコンプリである。
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2.ステキな『企画』が浮かぶ時期を逃さない
4枚の背景画が揃うなどというのは奇跡に近い。
しかも、それがバレエの演目に実際に使われたものであること、シャガールが描いた巨大なスクリーンであること、然も、使われた曲、チャイコフスキー、や、脚本プーシキンのものは残っているものの、具体的な振り付けは、一切残っていなかった。ただ、出演者の衣装イメージはシャガールが書き残していたのである。
ミッシングピースは、新たな振り付けによる、ダンスと、フルオーケストラ版のチャイコフスキー作曲。これらが完成すれば約50年以上ぶりのアレコの再演になる。しかもシャガールのスクリーンを使って!
常にユニークコンテンツというのは、タイミングを外さず、そこだけ、ここだけ、これだけ
の要素がどれだけあるのかということが大切になる。
この企画は県立青森美術館館長のリーダーシップの元、どれだけ県立美術館に係る人々が努力したか、また、バレエ団に係る振付家を筆頭にどれだけの努力があったか、編曲、演奏を行った音楽関係者にどれほどの力量が必要だったかなど想像を遥かに超えるものがある。
観光学という観点からみて、大切なのは、
そこだけ、ここだけ、これだけ
があれば、それが青森に行こう
というきっかけになり、遥か遠い地から、足を運び、お金を落とすのである。
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3.だからついでに行って、買うのよ
青森に詳しい友人が、この公演を中心に、アジェンダを組み上げる。
紅葉が綺麗な時期だから、ぜひここは見た方が良い、
弘前城も、ステキだわ
白鳥が飛来しているかも、
奈良美智さん関連の青森犬見たい
アップルパイもシードルも、試したい
だけど郷土料理も食べたい!
どんどん、と青森行き企画も
膨らんで行くのである。
結果観光タクシーを頼み、全ての欲望を叶えることになる。
一人当たりの観光消費額半端なくなるのだ。
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4.価格設定に関して思うこと
日本は今インバウンド景気に沸いている。
なぜか?
もちろん日本文化、食事、アニメ、神社仏閣などなどの流行りもあるが、後押ししているのは円安である。
多くの外国人にとって丹精込めた食事も、庭園も、神社仏閣にかかる拝観料も、恐ろしく安く、やったぜ価格になっているはずである。
今回のこのアレコの企画バレエも一人9,000円である。
入場可能人数、公演数、6公演のみと考えると、元を全て取れるほどの値段をつけろとは言わないまでも、地元価格と、県外価格、さらには、インバウンド価格は分けると言う発想があっても良いのではないかと思う。
また、素晴らしい弘前城の樹木、藤田公園の庭園維持も、ものすごい金額がかかるはずで、300円とか500円とかと言う価格設定も、後世に残す価値と義務を考えればこれも、県内、県外、インバウンドと分類する考え方がそろそろ出てきても良いのではないだろうか?
宿泊税も、然りである。
人手不足、労働人口不足はこれからも続く。その中でツーリズムに係ることのDXを進めていくためにも、インバウンド宿泊税なるものができないのか?と思うのである。
シンガポールも、EUも多くの点で域内の人かどうかで、価格設定や税金の取り方も工夫しているのだから、日本も悪平等に拘らず、後世に受け渡せる文化を残すことを考える時期に来ているのではないだろうか?
次回はシンガポール編第二弾の予定