コズミ・パンセ

フォトグラファー。日記のようなエッセイのようなものをつらつらと。大学→アイルランドのダ…

コズミ・パンセ

フォトグラファー。日記のようなエッセイのようなものをつらつらと。大学→アイルランドのダブリン→フランスのパリ→東京。

最近の記事

 雨の日が好きだ。傘はささない。風邪をひくよと言う妻に、僕にはイギリス人の血が入っているんだと返すひねくれ者だ。そういえば子どもの頃に「かさをささないシランさん」という絵本を持っていた。傘をささないことで牢屋にいれられるという話だった気がする。人と違うやり方で生きるのはなかなか難しいのだろう。  雨は匂い、音、肌にふれる感覚など身体全体で感じることができる。とりわけ雨の音が好きで、音楽を止めて窓を開けると意外なほど複雑なリズムが聞こえてくる。プルーストの本の中に雨音の美しい表

    • 師走の東京

       年越しは奈良で迎えると決めているが、今年のコロナ の状況を考えると東京で迎えるしかない。奈良の街にただよう大晦日の情緒を感じることはできないのは残念だが、今年はせっかくなので東京での年越しを楽しんでみようと思う。  朝から神田須田町のまつやに並び、ゆばわさびともり蕎麦、日本酒を頼んだ。大晦日らしい冷え冷えとした朝に並んだので暖かい天ぷら蕎麦でよかったかもしれない。開店直後の蕎麦だったせいか、いつもよりすっきり引き締まった蕎麦のように感じた。まつやを後にして銀座を散歩したが身

      • 2020.12.29 ふくよかなドーナツ

         褐色のひび割れた表面から香ばしく甘い香りを放つ、オールドファッションドーナツにかじりつき少し冷めたコーヒーで流し込む。その無作法な感じとか、何か作業をしながら片手で放り込んでいく感じが心地よく、私にとってコーヒーといえばドーナツ、ドーナツといえばコーヒーと信じて生きてきた。チュロスをドーナツと言わせていただけるのなら、ドーナツ屋がほとんどないパリに住んでいたときでさえも週に2度はマルシェで揚げたてのチュロスを6本買い、3本は歩きながら、残り3本は家でコーヒーと一緒に食べてい

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