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横浜バー夜の人間模様 ファイルno.6

ある日ふらりと現れた色白の女性。観光客とも在住者ともつかない独特ないでたち、一人カウンターに座り焼酎水割りを飲んでいたが少しして打ち解けるといろいろ自身の事を話し出した。

昔からカンボジア好きで何度も来てたんです。いつか暮らしたいと夢見てたけど手に職もないしお金も必要だし…それで頑張って職業資格取ってやっと現地に就職先を見つけました。大変でしたけど目標がはっきりしてたし楽しかったですね。途中で結婚や出産もあったけど周りの理解もあり晴れてカンボジア在住者。今すごく毎日が幸せです。

日本に帰るって選択肢は今は全然ないなあ、前世はカンボジア人なのかなってくらいここがピッタリで。ここに住むためには何もかも捨てていいと思ったり。
あといつかここみたいに自分の店持てたら最高だなあ。
その時はマスターも飲みにきてくださいね、ハハハ。

そう言ってグラスを傾け静かに微笑んだ。

カンボジア移住を夢見る人々
一方で挫折し去ってゆく人々。

かつて夢が交差するこの街をゴールドラッシュになぞらえた人もいた。
この先僕はいつまでこの風景を眺め続けるのだろう。
そんな事を考えてはふと感傷に浸るが、日々は淡々と過ぎてゆくのみ。

シェムリアップ の夜は今日も更けゆく。

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