アトリエ 識者の 【ライザのアトリエ 2】 レビュー
あの夏とふとももが帰ってきた……!
本記事はスマッシュヒットを記録したライザのアトリエの正式 ナンバリングタイトル 【ライザのアトリエ 2 失われた伝承と秘密の妖精】 のレビューとなります 。アトリエ 識者である筆者の偏見たっぷりオタク 記事となるため 、自衛を推奨しつつネタバレはなるべく避けた記事になっているはずです (執筆中) 。た~る !
あらすじ
3年前の大冒険の後、クーケン島にひとり残ったライザ。
錬金術を独学で学び続けているものの、最近は行き詰まり気味。そんなとき、不思議な石を調査する依頼が舞い込みます。
ちょうど王都アスラ・アム・バートにいるタオから、一緒に王都の遺跡を調査しないかと誘われていたライザは、錬金術の新しいきっかけ探しと不思議な石の調査を兼ねて、王都に行くことを決意します。
かつての仲間と再会し、新たな仲間を加えて、遺跡と伝承の謎を追うことになります。(公式webマニュアルから抜粋)
ライザリン・シュタウト (ライザ) cv:のぐちゆり
本作主人公にして多大な利益をガストちゃんにもたらした女神 。
同一キャクターが連続で主役を飾るのはアトリエの長い歴史でも初の試みであり 、その人気の高さが伺える 。性格は天真爛漫好奇心旺盛 激厚太腿 。持ち前の強引さで他メンバーをけん引する主人公らしい主人公である 。
他シリーズの錬金術士が長年の修行の末到達する 「 賢者の石 」の調合をたった数か月でやってのける稀代の天才錬金術士でありながら 、 「 行き詰った 」等とのたまう豪胆さからは 、錬金術を理解してくれる人間が周囲に居なかったことを伺わせますね。
バトルでは魔法物理をバランスよく使いこなしつつ 、唯一全属性のスキルを使用できる汎用性が特徴 。錬金術士らしく全てのアイテムを使用できるため回復 攻撃 支援 すべてを高い精度でこなすことができ 、戦う相手を選ばない 。 スキル 使用時にやたら体の一部が強調描写される ガストの呪いが付与されている 。
フィー new! cv:和多田 美咲
ある出来事をきっかけに行動を共にする謎の生物 。人間の言葉を理解しているようで 、喋れないながらも 「 フィー ! 」というポケモンみたいなベタベタの鳴き声でコミュニケーションをとることができる 。
どうやらライザのことを 「 お母さん 」と認識しているようでどこにいくにも後を付いて回り 、遊んでもらえないとすねたりもする 。ガタイのいい男が好み 。
タオ・モルガンテン (タオ) cv:寺島 惇太
ライザの幼馴染その 1 。王都で学業に精を出している
3年の間に引くくらい垢抜けた 。服装も声帯も身長も大きく成長を遂げ 、再開したライザが知らない人と勘違いするほどシュッとしたオタクに 。しかし中身は相変わらずの歴史バカ 。
オタクの手管によりライザ 達一行は遺跡を探索していくことになるため、よくしゃべる 。例に漏れず早口なところが高感度高い 。
前作で愛用していた出自不明の 「 ビームが出るハンマー 」を双剣に持ち替えバトルに参戦 。コストの低いスキルでデバフを付与しつつ連続攻撃をしかける強烈なチェインアタッカーであり 、その性質上教え子のパティとの相性が抜群。ぜひセットで起用してあげよう 。
パトリツィア・アーベルハイム (パティ)new! cv:大空 直美
資産家の娘で貴族として育てられた生粋のお嬢様 。
その硬そうなイメージとは裏腹に意外と素直で人懐こく、パーティで1番若いということもあってか、ライザやクラウディアから特に可愛がられている 様子 。タオの教え子であり 、その真面目な姿勢にほのかな憧れを抱く ブリブリの乙女 である 。パーティ内でゴリゴリの桃色をまき散らすキャラクターはシリーズでもかなりレア 。アトリエ 識者的観点から言わせてもらうと、人気キャラとしてこれから幅を効かせそうな香りがする……個人的にもお気に入り
ライザ 程ではないものの 立ち絵の太腿がむっちりしている 。 トリダモノ 先生の”癖”が匂い立つ 。えずくじゃないか……
バトルではパーティ 1の攻撃力と全体火力バフが際立つ中量アタッカー 。クリティカルダメージ 上昇パッシブの恩恵が凄まじく 、スキルチェインを稼げば稼ぐほどにその本性が露になる 。半面スキルが物理偏重型の為 、耐性持ち相手だと持ち前の火力が活きづらい 。敵の耐性を確認しつつ丁重に扱ってあげよう 。
クラウディア・バレンツ (クラウディア) cv:大和田 仁美
商家の一人娘であり 、この 3年で隊商を任せられるほどに成長した 。ライザたちクーケン 島出身メンツよりも一足先に大人の世界に足を踏み入れ多忙な日々を送っている様子 。
3年の間に親友ライザへの気持ちをムクムク 募らせていたようで 、パティと親しげに話す姿に嫉妬したりとても "いい" 方向に歪み始めている 。腰回りの成長が著しく 、歩く姿が煽情的 。
タオと同じく武器を持ち替えている 。戦闘中にフルートを演奏する破天荒スタンスから魔法の弓矢で攻撃する純後衛スタンスに進化を遂げた 。
パッシブによりAPをとてつもない速度で稼げるパーティーの潤滑剤 。一切操作せず放置していても他キャラ 以上の成果をあげる働き者であり 、そこそこ色々なアイテムも使用できる事もあってやれることが多い 。スキルが魔法に偏っているものの 、前述のパッシブのおかげで耐性持ち相手にも採用しやすい 。
クリフォード・ディズウェル (クリフォード)new! cv:竹本 英史
トレジャーハンターという無職と同義の職業を名乗る青年 。
怪しげな見た目と職業の割に本人はいたってマトモな人間であり 、何かと突貫しがちなライザ 一行を見守る胃痛ポジ 。巨大なブーメランを放りながら戦う (トレジャーハンター 的にもっと小回りの利く獲物の方が良いのではないだろうか……)
ライザに次ぐ使用アイテムの豊富さと高い素早さが特徴 。扱えるスキルも物理魔法に単体範囲 、氷に雷と様々 。どんな敵が相手でもそれなりに戦える器用さを持つ 。
セリ・グロース (セリ)new! cv:藤井 ゆきよ
シリーズお馴染みドスケベレース異界出身「 オーレン 族 」からの参戦 。オーレンのシンボルである ”オッドアイ” ”色白白髪” ”凶悪ぷに級ダイナマイツ" を完備 。
なにやらライザに対して秘めたる思いがあるようで……?
意外にもレントに次ぐ高耐久キャラであり 、自前のダメージ 軽減スキルも合わさればまさに浮沈艦 。全体ステータスアップスキルも所持しているため火力面で他に劣ることはない 。がスキルの属性が魔法と風属性に偏っている為耐性持ち相手にはマジもんの地蔵になりがち 。
レント・マルスリンク (レント) cv:寺島 拓篤
ライザの幼馴染その 2 。 3年間の武者修行の間に何やらいろいろあったようで、再開直後はやたら冷たい。
その冷たさがマジの冷え方で若干引く 。冷えた理由も別にライザ 達に冷たくなる理由として弱すぎて引く 。と思いきやパーティに帰ってくるといつも通りになるその変わり身の早さにもかなり引く 。とまあまあシナリオの弊害を受けている可哀そうなやつ 。そのくせキャライベントで師匠であるリラさんからの寵愛を受けまくってる。 嫉妬してるよ僕は
見た目通りの脳筋キャラ 。素早さが絶望的に低い+スキルのコストが重たいものしかないので単独で活躍しづらい 。AP稼ぎの得意なクラウディアやタオからのシフトで控えから引っ張ってくる等 、運用にひと手間必要な要介護筆頭キャラ 。大ダメージを与えつつ対象からのヘイトを集めるスキルが強敵相手に有効であり 、ボスキラーとして活躍する 。
評価点
バトルシステム
前作に引き続き 「 リアルタイムタクティクスバトル 」を採用 。パーティー 選出数も 4人に増加 (メイン 3人+控え 1人) しており 、常に動く時間の中でテンポよくスキルを繋げ 、控えのキャラとシームレスの入れ替えを行いながら大技のコアドライブやフェイタルドライブでとどめを刺す 。アクションゲームのような爽快感がウリ 。
イマイチ 完成度の低かった前作から大幅にパワーアップし 、シリーズ 最高のシステムに昇華している 。
スキルチェーンシステム
アクションポイント (以下AP) を消費して放つスキルを連続で繋げる事で 、火力が上昇していくシステム 。これによるダメージの総量が下手なアイテムを使うより大きい 。同時にアイテム 仕様のコストであるコアチャージ (以下CC) もモリモリ 溜まるのでバトルの立ち上がりの「 通常攻撃でAPを貯める→スキルチェーンでダメージを与える 」という流れが自然と手に馴染むようになっている 。
パーティーメンバー 全員が攻撃スキルを最低でも 3つ備える 【攻撃偏重型】 なのもこのシステムとかみ合っており 、どのキャラを使用しても違和感なくチェーンを繋げ 、ダメージを稼ぐことができる 。
終盤はさすがに錬金術の粋を尽くしたアイテムの暴力に軍配が上がるものの 、錬金術士に頼らずとも火力を出せる為人選の自由度が高い 。パーティー 火力の 8割を錬金術士が賄う事が常のアトリエシリーズにおいて 、 錬金術士を採用しない 編成に違和感が無いことはかなりの驚きである 。
コアクリスタル 調整
アイテム 使用に使う触媒であるコアクリスタルをキャラクター 毎に調整できるシステム 。
コアチャージ 強化
アイテム 使用のコストであるCCの初期値と最大値を強化する 。どのキャラも最大まで増加してCC 10のアイテムをバトル 開幕からぶっぱ ! !……ということはできず各キャラ 事に強化上限が定められている 。そのため錬金術士のライザを超える容量のキャラは存在せず 、アイテムを使うにも向き不向きが存在する 。
コアエレメント 強化
キャラの得意属性を 2つまで設定可能であり 、設定することで 「 得意属性と一致するスキルでのCCチャージ 量増加 」 「 得意属性と一致するアイテムの威力上昇 」この 2つの恩恵を受けられる 。
各キャラの得意な属性を更に尖らせることが可能であり 、 敵の弱点に合わせた選出 をする必要性が産まれている 。
コアドライブ
1回のバトルで一度きりしか使えないアイテムを複数組み合わせることで放つ必殺技 。敵に超大ダメージを与えるものやパーティ 全体への強力なバフなど 10種類の中からキャラ毎に設定できる 。
フェイタルドライブと並ぶパーティーの必殺技だが 、コストが重たいあちらと違い消費するのはCCだけなので気軽に放ちやすい点が特徴 。だが一部のコアドライブは使用するアイテムを指定するため装備の幅が狭まるという側面もあるため 、キャラの得意属性や器用さと相談しながら選定したい 。
調合
前作で好評だったマテリアル 環システムが続投 。素材を投入することで伸びてゆくツリーを拡張し様々な効果をアイテムに付与していきます 。前作の時点でほぼ完成されたシステムでしたが 、今作では新要素 「 エボルブリンク 」と 「 エッセンス 」を追加 。より複雑かつ奥の深いアイテムビルドが可能に 。
エボルブリンク
調合したアイテムに別のアイテムを掛け合わせることで 、固有の特性を付与したりレシピに無い未知のアイテムを作り出す新たなシステム 。
より上位の調合品を作り出すことが可能だが 、それ相応に使用コストが高まる 。調子に乗って高級素材ばかり突っ込むとライザ 以外誰も扱う事の出来ないアイテムが出来上がりがちなので 、 コストを抑えつつ必要な能力を開放する錬金術士としての腕が試される 。
エッセンス
調合時使用するとマテリアル 環により強力な属性の力を付与したり 、素材の投入回数を増やせるブースト 要素 。
これを利用することでアイテムの効果を上位のものに変化させたり 、宿る属性を変化させることができる 。これを利用するとしないのでは仕上がりに大きく差が出るほど強力な要素であり 、今作の調合をより吟味させる要因となっている 。
スキルツリー
SPを消費しアイテムのレシピや調合のテクニックを解禁していくシステム 。
ツリー 開始地点周辺にある攻撃アイテムの解禁を優先する事で 、初心者は戦闘を有利に進めることができ 、逆にシリーズ 経験者は依頼で要求される事の多いアイテムや 、質のいいアイテムを収集できるスキルを優先することで効率よくストーリーを進行できるようになっている 。
こういったツリー 進行をユーザー側にゆだねる事で 、新天地での慣れない素材や環境へライザが適応していく過程を落とし込み 、初の主人公続投で懸念されていた ライザすでにあらゆるアイテムを作れる問題 を上手く消化している 。
余談だが前作でライザが大量に拵えていたアイテムのほとんどは島に置いてきたらしい 。超強化した武器に至っては本人曰く 「 失くした 」らしい 。アホか
良質な BGM
シリーズお馴染みの牧歌的優し気な音作りの安定感は健在 。新たに舞台が王都に移った影響か 、現代風の電子音が入り混じる曲もあったりと舞台に合わせた曲づくりは相変わらずの安定感である。
戦闘曲「 芒種 、鼠黐の燻風 」や 「 白露 、荻の上風 」あたりはこれからゲーム BGM ランキングにしばらく名を連ねそう 。アトリエ 楽曲推しのファンの期待を裏切らない仕上がりとなっている。
不満点
降りしきる雨
王都周辺は降水確率がバグっており 、超高頻度で雨が降る。
ゲームの進行に影響があるわけではないが 、屋外でのイベント 中でも容赦なく豪雨のため 「 雨の中ベンチで希少な書物を読むタオ 」や 「 雨に打たれながらお茶を楽しむライザとクラウディア 」というシュールすぎる絵面に高頻度で遭遇してしまう 。
別シリーズでは雨が降っていてもイベントに入ると晴れる配慮があったのだがなぜか今作では土砂降りのまま 。バグって言われた方が納得のいく強烈な違和感である 。
フィールドアクション
狭い道を潜ったり水中を泳いだりといったフィールドでのアクション 。従来のシリーズであれば飛び越えられないちょっとした段差を飛び越えたり 、湖を泳いだり潜水できる点は高評価だが……
高速移動アイテム 霊獣の呼び笛とのかみ合わせが悪すぎる
霊獣に乗ったまま 「 崖を飛び越える 」 「 高所に飛び乗る 」など の選択ができない仕様のため霊獣から降りてから飛び越える選択を行い 、また霊獣に乗るというバカめんどくさい手順を踏む必要がある 。
そもそもこのフィールドアクション 自体が障害物以上の役割を果たしておらず 、煩わしさしか感じない 。唯一潜水だけは潜るとBGMもくぐもったものに変化したり 、潜水しないとたどり着けないエリアがあったりと単調な探索に新鮮さと新たな発見をもたらすプラスの要素となっている 。
必要性をあまり感じないシステム 。少なくとも霊獣周りはアプデでの修正を期待したいが果たして……
難易度の低さ
デフォルト 難易度のノーマルがぬるい 。プレイヤー 側の火力インフレがすさまじく 、一切アイテムを利用しなくても問題ないレベルであり 、スキルを適当に連打してるだけで全てが片付く 。
前作も相当にぬるかったが今作はスキルチェーンなどのシステムも手伝って 、更に簡単になった印象 。腕に自信のある人やシリーズ 経験者には初週からハードモードでのプレイを強く推奨したい 。
これ以降はシナリオに関する項目になるため 、配慮はしますがネタバレを気にする方は自衛推奨
シナリオの大幅なパワーダウン
前作はシナリオ 担当に 「 灼眼のシャナ 」シリーズでお馴染み高橋弥七朗先生を迎え 、ライザ 達クーケン 島の少年少女等が錬金術との出会いを通じ 、少しだけ大人になるひと夏をキャラクター 間の確執 、周囲になかなか理解されない錬金術に傾倒していくことへの不安等 、情緒たっぷりに描いておりシリーズ最高のシナリオと評される完成度であったが……
盛り上がりのない平坦な展開
本作は 「 王都周辺に存在する5つの遺跡を探索する 」という目標を序盤から掲げ 、探索していくのだがそれ以外の展開が特に無い 。前作では主要キャラのパーソナルな部分もメインシナリオ 内でひも解いていた分 、短いながらも厚みのあるシナリオだったが 、今作は従来のアトリエと同じくサブシナリオでキャラの掘り下げを行った影響か 、薄く伸ばした印象の強いストーリーになってしまっている 。
ストーリーが展開する場所も基本的に狭くて薄暗い遺跡の中の出来事に限定されているため 、せっかく故郷の田舎を抜け出し広い王都にやってきたのにあまりその解放感を実感できない 。
フィーの存在とライザ 達の行いが終盤のある出来事を引き起こすことになるのだが 、その出来事が唐突すぎる 。
ラストダンジョン 直前「 キミらが遺跡探索し過ぎたせいで 、ヤベーことになっとるでw^ ^ 」と後告知をされる 。遺跡で手に入れる事の出来る情報を丁寧に読んでいれば何となく予想ができるのだが 、流し見していると打ち切り最終章を叩きつけられる気分になる 。
その後の結末も大方の想像通りではあるものの 、アッサリし過ぎており納得がいかない 。明言は避けるがライザの決断が特に葛藤の描写やモノローグのないまま告げられるため 、共感し難い 。
そして前作に続いて異界を取り巻く環境に大きな変化のないままEDを迎える 。異界に関しては次作のライザ3でケリを付けるから 、と無理やり納得はできるものの 「 黄昏 シリーズ 」と同じようなシナリオ 投げっぱなしジャーマンの気配が漂っており不穏である 。
高い評価を集めた前作から一転 、従来のアトリエっぽいふわふわしたストーリーに退化したというのが一番の感想 。慣れ親しんだ中身の無さではあるが、前作との落差で際立って悪く見える結果だったと言える 。
総評
シナリオは大きく退化した印象が残るものの 、更に奥深くやり込みがいのある調合と 、爽快感とキャラのカスタマイズに優れた戦闘は間違いなくシリーズでも上位の仕上がり 。
ボリュームもあり、やりがいのある RPG を探している方には自信を持っておススメできる秀作です 。年末年始の連休にいかがでしょうか ?
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