「月が綺麗ですね」で「I love you」は伝わらない
『葬送のフリーレン』のアニメ「#12 本物の勇者」を見た後に思ったことがあるので共有させてほしい。
それは、「シュタルクが自分のために作られたハンバーグの意味をわかっていなかったこと」と「一緒にホテルに行ったのにセックスを拒否する女性」では同じタイプのディスコミュニケーションが発生しているという気付きだ。
男性の中には「『ホテルに一緒に来たのだから』、また『家にあげてくれたのだから』女性はセックスOKというサインを出している」と思い違いをしてしまう人がいらっしゃるようなので、その勘違いを正しておきたい。
「#12 本物の勇者」にはこんなエピソードが含まれている。
シュタルクは自分の誕生日にプレゼントを贈られることがなかったから、自分は愛されていない、でもそれは自分が臆病者だから当然だと信じていた。
しかし、実際には「ハンバーグを作ってもらう」という経験で「他者から愛を受け取っていた」ことに気付くというエピソードである。
この話の教訓は「『愛している』と言葉で伝えなければ、その行動にどんな意味を込めていようと相手には伝わらない」ということだ。
「行為」の裏にある文脈や意図は同じ文化を共有する人々の間でしか伝わらない。
「夏目漱石は『I love you』を『月が綺麗ですね』と訳した」という出所不明な眉唾話が出回っているようだが、この話を知らない人にとって「月が綺麗ですね」という言葉はただただ「『月が綺麗』という『その人の感想』」としか受け取られない。
「あなたを愛している」と伝えたいなら「あなたを愛している」とはっきり言葉で伝えるしかないのだ。
セックスしたいなら「セックスしたいです」と相手に言葉で伝えなければならない。
相手とのディスコミュニケーションを避けるにはそれしかない。
それで断られた場合は大人しく諦めましょう。
「早とちり」や「思い違い」で犯罪加害者にならないための、気付きのきっかけになれば幸いです。
あ、それと『葬送のフリーレン』のアニメ、面白いので見たことない人は見てね。