love letter from K. Season6「旅」 9. VACO
「それでは、良い連休を~。」「まぁ、ずっと家にいるから、どっこも行かないけどね。」 Webミーティング終わりで、そんな会話があった。“どっこも行かない”、この言葉がしばらく残響のように頭に残っていました。そういえば僕も、この週末は出掛ける用事は特にない。本シーズンもこれまで、旅と言いながら色々と出掛けてきましたが、今回は、何もしないと人はどうなるか?試したくなったのでした。
記録の片付け
何もしないぞと決めた日の朝は、アラームをかけずに寝れるだけ寝たい。そういう日に限って、いつもと同じような時間に起きてしまうんですよね。なんだか悔しいので、朝ご飯を食べてから、もう一度寝室でゴロゴロすることに。いつもより少し枕を高めにして、スマホを眺める。SNSもYouTubeも見飽きたし…とふと写真アプリに手が伸びる。これどこで撮った写真だっけ?なんて数枚見ている内に、時はどんどん遡っていき、懐かしい写真ばかりが現れます。フォトライブラリーをスクロールしてもスクロールしても終わりのない写真達。一体自分は何枚を撮ってきただろうと見てみれば、21,577枚の写真、647本のビデオ。これだけの写真が目の前に広がっていたら、軽く写真の海を泳げそうだな(笑)いや、にしても2万枚は重い。と必要のない写真を削除することにしました。
同じような写真が何枚もあり、ベストな1枚を残してあとは消去。思い出も振り返りながら、見ては消し、見ては消し。そんな作業を延々とやる。結構消したと思っていても、まだまだ残っています。全部は無理だな…と諦めることに。結構容量は軽くなったので、気分的にはスッキリしましたが、あの時行った旅行のワンシーンも、記録としては残っていてもあんまり覚えていないもんですね。花火の動画だって、見れば「あの時のか~」とはなるものの、直接目に焼き付けておけば良かったなぁと後悔する始末。そういえば、娘の幼稚園最後の運動会が来週でした。「ちゃんと綺麗に撮影してね。」と言われているんですが、わざと撮影せずに、じっと目に焼き付けるように見ようかなと考えています。
夏よバイバイ
何もしない日が、ゆっくりと過ぎていきます。昼ご飯を簡単に済ませて、ベランダの植物に水でもやろうと窓を開ければ、涼しい風がずーっと入ってきます。夏が終わったか…そろそろ扇風機は使わなさそうなので、仕舞いましょうかね。季節家電は、シーズオフに綺麗にクリーニングをして片付けておくのが個人的な流儀。特に扇風機は羽根に結構ホコリが付いているので、来年に持ち越さないようアルコールスプレーとクロスでピカピカに磨きます。こうしておくと、翌年に「さぁ、夏が来たぞ!」と新品を開ける時のような気持ちで迎えられます。
窓を開けっぱなしにしておくのが気持ちの良い季節。夕方には、リビングの照明を消すと、部屋の温度がぐっと下がって心地が良い。そして、音楽も流しません。段々暗くなってくるこの時間が、部屋と共に電源を切っているようで。空っぽになれて、なーんもない感じがして癒されるんですね。そうそう、フランス語で休暇を意味する“vacances(バカンス)”という言葉の語源は、ラテン語のvacoからきているそうで、自由な・空っぽになるという意味があります。忙しくしていた脳を空っぽにすることで、次に備えるわけですね。
リゾート地で「なにもしない」のは、羨ましがられる一方、「家で、なにもしない」のはどう思われるでしょう?せっかくの休日なのに、家でごろごろしているだなんて不健康きわまりない、と感じる人も多いのではないでしょうか。場所が違うだけなのに、不思議なものです。
それはバカンスか
今日の夕飯は、ゴーヤチャンプルー。今年の夏はよく作ったなぁ。「アレクサ、沖縄の音楽をかけて。」と声を掛けると、結構良い感じのプレイリストを再生してくれます。沖縄、来年は行きたいねぇ、なんて話しながら家族団欒を楽しめば、そこは琉球時間。場所を移さなくても、家のなかで、仕事態勢から「なーんにもしない=vacoモード」に切り変えることさえできれば、きっと、バカンスと同じ効用を得られるのかもしれません。
つづく