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ferm LIVING Stories vol.48 デザイナー Connie の家

今回登場する Connie Barton は、南ロンドンで暮らしています。
「都会暮らし」という響きからは想像もつかない秘密の庭を持つ、彼女の自宅を訪ねてみましょう。


〜 都会の片隅のジャングル 〜

グラフィックデザイナー Connie Barton は、生まれも育ちもイギリス。
現在は南ロンドンにある、ジャングルのような庭を持つ一風変わった家で暮らしている。

Connie Barton / グラフィクデザイナー

では早速、南ロンドンにある Studio Connie の創業者であり、オーナー Connie Barton の自宅を訪ねてみよう。ここは彼女が、夫 Tom と愛犬 Gelert と暮らす場所だ。

Connie Barton の家に一歩足を踏み入れると、選び抜かれた色彩とあたたかな自然の素材が私たちを出迎えてくれた。とても美しく、魅力的な空間だ。リビングに行けば、そこはロンドンではない。心地よいからし色のソファに腰掛ければ、都会のジャングルとも言うべき素晴らしい庭を眺めることができる。

私たちが景色を楽しんでいると、Connie は自身の経歴について語り始めた。

Connie の旅のはじまりは、ニューヨーク。大学卒業後にさまざまなデザイン会社を訪れ、貴重な知識を得る代わりにお茶汲みを申し出たのだ。しかし、Connie はニューヨークにいる間にロンドンでの仕事の依頼を受け、それが後にフルタイムの仕事となった。


(Connie)
最初の仕事では、デザインのプロセス、さまざまな素材、空間の重要性、適切な家具や照明についてなど、本当に多くのことを学びました。その仕事は私のモダニズムデザインに対する愛に影響を与え、良いデザインというものが、いかに日常生活で重要な役割を果たしているか教えてくれました。このことがきっかけで私はイギリスに帰国し、それ以来、南ロンドンに住んでいます。

2013年に Connie は独立し、グラフィックデザインやブランディング、アートディレクションを専門とするデザインスタジオを設立。2011年には彼女の夫 Tom が Brixton に「Honest Burgers」第1号店をオープンさせた。
Connie はブランドのDNAとデザインで Tom を手助けしたが、その後レストランが増えるにつれてフルタイムの仕事との両立が難しくなり、Studio Connie が誕生。
自分を取り巻く世界が自分に影響を与え、インスピレーションを与えていると Connie は説明する。Connie はのどかな Rutland地方の大家族の中で育ち、子供時代は本や絵を通して別の世界に触れて創造的な時間を過ごした。


(Connie)
子どもの頃の退屈がどれほど贅沢なことだったか、今ならわかります!自分たちで面白いことを見つけ、自分たちの世界を作って飽きさせないようにするしかなかったんです。

今も Connie は、音楽、写真、インテリア、プロダクトデザイン、そして Tom と過ごすスコットランドのHighland地方の休暇を通して、新たな創造の世界を見つけ出している。
彼女の顧客の多くもまたクリエイティブな業界で働いており、Connie は自分の仕事を通じて、彼らの世界やアイディアに命を吹き込むことに感動を見出しているのだ。


(Connie)
私の仕事で最も大切なことは、顧客の立場に立って、彼や彼女の世界をよく理解するために適切な質問を投げかけ、耳を傾けることです。顧客から本や映像資料など、心踊るものが送られてくることもありますよ。まるでカササギのように、これらの宝物や言葉、参考文献をすべて集めてから、愛用のスケッチブックでデザインを始めるのです。

みんなでこの家の話をしていると、暗がりの中で一度だけ見たこの家を2015年に購入したのだと Connie は教えてくれた。


(Connie)
Tom はこの家に、私はこの家の庭と桑の古木に惚れました。以前の家主が後方の増築部分を掘り起こす際に庭も高い位置に作ったので、見下ろすのではなく、ダイレクトにこの美しい植栽を眺められるのです。見事ですよね。これがジャングルのような印象を与えているのでしょう。

この家は伝統的なビクトリア様式にモダンな増築が施されており、古さと新しさが絶妙に混在し成り立っている。
木の天井と大きな窓から素晴らしい庭を臨むこの家は、あたたかみを感じさせ、家中に加えられたライトウェル(光井戸)が空間同士を自然に繋いでいる。

ロンドンの南部にいながら自然とのつながりをとても近くに感じるのは、非常にユニークなことだ。何年経っても、Connie の庭への愛情は変わることがない。

(Connie)
私のいちばんのお気に入りはリビングです。心地よいソファーに座ってお茶を飲み、この大きな窓を通して外を眺める。どの季節も、それぞれに美しさがあります。池に陽の光が当たり、それが天井に反射する様子は特に幻想的なんですよ。窓を全開にして庭と家が一つになるような暖かな日には、水音や鳥のさえずりが外から聞こえてきます。都会の片隅にある、私たちだけの秘密の花園ですね。

この家の中の Connie のお気に入りの一つが、ピアノだ。
演奏しているとき、彼女は別世界に身を置き新たなエネルギーやインスピレーションを得ることができるのだそう。


(Connie)
パンデミック中に家で仕事をしていて、仕事に行き詰まったり、クリエイティブなプロジェクトに悩んだりしたときにピアノを弾きたくなりました。長年、自分の楽しみのために演奏してきましたが、今やピアノの演奏は自分の創造性や仕事の支えになっていて、そのことに魅力を感じています。脳の別の一部が活性化して、少しの間、自分を解き放つことができるんですよ。

Ilse Crawford を参考に、Connie は自分が一番長く過ごす空間を優先して飾り、本当に楽しいと思えるものだけを家の中に取り込んでいる。
「あなたにとって家とは?」と尋ねると、自分らしさと本物を感じさせる空間に惹きつけられ、自分の家には楽しい思い出が詰まっていると Connie は説明する。


(Connie)
家とは、私の大切な人がいる場所。
私たちの家はゆっくりではありますが、私たちだけのプライベートギャラリーになってきました。壁に掛けられたアートや山積みの本、お気に入りのビーチで集めた小さな石をペーパーウェイトの代わりに使うなど、私たちが人生を共に生きてきた中で共有してきた興味や教訓、冒険がすべてここに詰まっています。

Photographer: Kensington Leverne



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いかがでしたでしょうか。
自然の素材を用いた家具、庭の草木、渋みのある色彩、そしてグラフィックなど、それぞれキーワードとして取り上げたい要素が喧嘩することなく、自然に融け合っている Connieさんのおうち。
初めて訪れるお家がもしこんな雰囲気だったら……。きっとリラックスした心地よい時間が過ごせるのでしょうね。

ライトウェルとは、天窓や庭から室内に自然光をもたらし明かりを取り入れる仕組みだそうです。確かに Connieさんのおうちは大きな窓をはじめ、キッチンにも天窓がありましたよね。そうやって室内空間だけではなく、内と外もまた緩やかに結びつけているのかと考えると「家」って面白いな、と改めて感じます。

人々が様々な方法で自分を慰め、新たな生き方を模索していた時に彼女は「ピアノの演奏」に支えられたと言っていたのが印象的で、身近な喜びだったものが自分の支えに変化する、その気づきに出会えたのはもしかすると、人生の楽しさが詰まったこの家で暮らしているから、……なのかもしれないなと思いました。

それでは次回もお楽しみに。


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