素敵な暮らしのあの人に 3. 【不便の中にひらめきを見つける、整った暮らし】整理収納アドバイザー 佐々木奈美さんのお家
ナチュラルテイストのインテリアや収納のヒント、元気なお子さんの笑顔…。整理収納アドバイザーの佐々木奈美(ささき・なみ)さんのインスタグラムギャラリーには、つい覗いてみたくなる素敵な投稿がたくさん。中でもすっきりと使いやすそうな収納はさすがプロ!と溜息ものです…。そんな佐々木さんの整った暮らしを覗かせていただきました。
自分にぴったりの
ーインテリアのテーマを教えてください!
自分らしいという意味で「オリジナリティ」を大切にしています。 何においても個性を大切にしていて。子育ても、ファッションも、家事や暮らしも。
みんなと同じことをするより、自分にぴったりなひとつだけの価値を表現することが好きみたいです。(佐々木さん)
家事がスムーズになるものを
ーKOZとの出会いとなったアイテムはなんですか?
はじめて購入した商品は、マルチボウルです。
家事が軽減できる汁椀というのをテーマに探していて、スッとした直線美に惹かれて購入しました。
「これならお味噌汁でもシチューでも映えそうだな~」と、家族分揃えると少し高価に感じましたが、家事への投資だと思い奮発しました。(佐々木さん)
これが大正解で。
一般的な汁椀は、底の裏面がくぼんでいて、洗った後の水溜まりができ乾きづらい。でもKOZLIFEさんのマルチボウルは平らにつくられていることに着目しました。
水を溜めないからすぐに乾き、布巾で拭くなどしてすぐに食器棚に片付けることができるので、家事がスムーズです。(佐々木さん)
最近は、三男がしっかり食べるようになってきたので、同じものを追加しました。 家族みんなでお揃いの食器を揃えることで、家事もスムーズになりますし、収納もコンパクトにまとまります。これから成長に合わせて、その光景をつくっていくのが楽しみなんです。(佐々木さん)
探すテーマが「家事が軽減できる汁椀」というのが、整理収納アドバイザーらしいユニークな視点ですね!つい見た目だけで選んでしまいがちですが、そこから既に家事のことを考えて、ちゃんと理に叶っている。…勉強になります!
ぐちゃぐちゃからすっきりへ。すべてが一本に繋がって
ー整理収納アドバイザーとしてご活躍されている佐々木さん。
カゴを使った収納や使いやすそうな食器棚など、
お部屋をとても美しく保たれていています。
どんなプロセスで整理収納アドバイザーになったのでしょうか?
昔からお洋服が好きで、学生時代に街のちょっと個性的なセレクトショップでアルバイトをしていたのをきっかけに、アパレル業界に進みました。働いていくうちに、どうやら私は洋服をコーディネートすることや、店舗をディスプレイすることが好きみたいだとわかってきて。
今自分にあるディスプレイのセンスやノウハウは、間違いなくアパレル時代に教えていただいたものなんです。どうやったらそのお洋服の良さを伝えられるのか、手に取って戴けるのか…ということを考えて飾るので、自然と見た目や動線にこだわるクセみたいなものが身についています。(佐々木さん)
もっと遡ると、小学生くらいからインテリアに目覚めて、自分の部屋を何十通りも模様替えするような可笑しな子でした。お小遣いは限られているので、おばあちゃんの家に余っている古い家具を持ち帰ったりして、知恵を絞ってあれこれと改造していました。そこで発見する収納のひらめきが楽しくて!(佐々木さん)
当時は収納の仕事なんてありませんでしたので、まさか自分が収納のプロになるなんて思いもしませんでしたが、不思議なことに、気づけば大学では衣食住に関わる学科にいました。
住まいやインテリアのことを学び、建築を少しだけかじり…衣食住の“住”の部分にどんどん惹かれていきました。
でも結局、設計の課題の難しさにぶつかり、ここでアパレル業界に進む道を選びます。(佐々木さん)
子供が産まれてからは、働かず、子育て一本に。
世の中では少しずつ「整理収納アドバイザー」という仕事が注目されるのを横目に、三男出産。3人の子育てはそんなに甘いものではなくて、記憶がないまま時間はどんどん進むし、家の中は荒れ放題!(笑)
オマケに週末はワンオペ育児で、何もかも自分ひとりでやらなきゃいけないような悪循環になっていて。家事に対しても「こうでなきゃ!」「こうしなきゃ!」みたいな、変な固定概念もあったなぁと思います。この時わが家は、家の中も頭の中も、夫婦関係も、ぐちゃぐちゃな最悪の状態を迎えるんです。
そこで、ふと…自分の力で仕事をしたいと思うようになりました。
火が付くととことんやるタイプなので、卒乳後、勢いで整理収納アドバイザー1級を取得。
はじめは知識を頭で理解しているだけだったのですが、日々自宅を実験台に使って収納をいじっていくうちに、家事が確実に効率よくはかどっていくことに気づいたんです。
それどころか、夫も子供も家事を手伝いやすくなっていく。抱えていた問題がどんどん片付いていく毎日にワクワクしました。
家が片付いていくと、頭の中も片付いていくんだということを、身をもって実感した出来事でした。(佐々木さん)
アパレル業界から出産、育児を経て整理収納アドバイザーになった佐々木さん。
小さいころの模様替え、アパレルのお仕事で培ったディスプレイセンス、大学での勉強、子育てでのぐちゃぐちゃな状態…すべてが繋がって良い方向に向かっていったのですね。3人のお子さんを育てながらの資格取得、そしてそれを開花させる行動力、見習いたいです!
使いやすく、片づけやすく
ー元気な3兄弟のお子様がいらっしゃっても、すっきりと美しいお部屋で羨ましいです…
おもちゃや細かなものがどうしてもごちゃごちゃしてしまいますが
子どもが率先して毎日の片づけができるような
工夫をぜひ教えてください!
いいえ…。わが家の子供たちも率先してお片付けするような、そんなできた子たちではないんです。(笑)
インドアで、できればずっとだらだらしていたいんだろうな~という感じの三人組。
ただ、空間にメリハリをつけるような意識はしていて。
例えば、リビングは家族みんなで使う場所。
ここは勉強に集中する場所。
ここはおもちゃを広げる場所。
ここは絵本を読む場所。
・・・と、家時間と家空間にメリハリをつけるようなイメージで、それぞれの動作に合わせた空間をつくっています。(佐々木さん)
その空間で行う動作に合わせて収納をつくるので、必然的にそこに必要なモノたちが集まります。
それらを使いやすく片づけやすく収納し、動作に関連付けながら構成する。片付ける場所はモノそれぞれに定位置が決まっていて、家族みんなそれを分かっています。
わが家の強みは、「○○を片づけて~!」の声掛け一つで、5分で片付くことかもしれませんね。
時々、ピリッと一声。その時は全員同時にシャキッと動きます。(笑)
5分で片付く仕組みがあるから、子供たちが思いっきりだらだらしていても、イライラすることなく一緒にくつろいでいられます。(佐々木さん)
定番と、棚に「部屋」を作ること
ーキッチンがとても使いやすそうです!
世間ではおうち時間が増え、料理を作る機会が多くなった方がいらっしゃると思います。
毎回使う食器をどのように収納しておけば楽でしょうか?
わぁ、ありがとうございます!
まずコツは、毎日の定番食器を決めておくことでしょうか。
お茶碗、汁椀、プレート皿、小鉢…など、どんなメニューでも万能で使える、働きものの定番食器を決めると、毎日が忙しくても迷わず回ります。さらにそれを手に取りやすい胸の高さに配置していく。
そうすると、家族もそれに誘導されるようにそのお皿を手に取るようになり、片付けるようになります。
あとは毎食後にきちんと洗い物をする習慣を付ければ、最悪そのお皿たちだけでキッチンを回転させることができるようになるという仕組み。(佐々木さん)
食器棚も“一つのお皿に一つの部屋を与える”イメージで収納します。
いつもおすすめしているのは、無印良品の「整理ボックス4」と「アクリル仕切り棚」。食器棚に縦と横の枠をつくると、秩序が生まれ、食器が整列するので、自分以外の人も片付けやすくなるんです。
同じお皿を枚数揃えるのは、収納を構成しやすくすることと、家事の回転を速くするため。
レストランのように手際よく進めるイメージで、収納してみてください。(佐々木さん)
悩みながらも、それを楽しむ
ー豊かな暮らしのために大切にしていることは…?
私は、物事って複雑で思い通りにいかないものだなぁ∼と常々悩みながら、でもそういうのを楽しむのが好きだったりもする性格で。
ネガティブの中のポジティブを育てたり、不便の中でのひらめきを見つけたり、ストレスの中での原動力を導き出したり…どうやら私はそういうのが好きみたい。(佐々木さん)
暮らしも同じで、思うような住まいに住めなくても、そこにある特性を生かし、オリジナリティをつくり上げることがおもしろいですよね。
人の目や、人が決めたルールに縛られすぎることのないように、しなやかに自分らしさを表現していくことを大切にしています。(佐々木さん)
ーありがとうございました!
経験から培われたセンスで、すっきりと自分らしく暮らしている佐々木さん。
悩みながらもそれを楽しみ、ひらめきを見つけて実現する行動力が、この素敵な暮らしを叶えているんだな、と思いました。
それにしても3人の男の子を子育てしながらのこの活躍ぶりには脱帽です…。やろう!と諦めずに行動すれば、佐々木さんのようなお仕事や暮らしができるのですね!とても刺激になりました。
【写真】佐々木奈美、yoko fuji(プロフィール写真)
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