もものかんづめ

久方ぶりにさくらももこ様の「もものかんづめ」を読んでみた。

朧げな記憶だが、初めて読んだのは小学校高学年だったと思う。
当時はエッセイというジャンルを全く知らなかったこともあり、こんな読み物が世の中には存在しているのかと驚いた。
後にちびまる子ちゃんの原作者ということを知って二度驚いた。
水虫の話から始まりさくらももこ先生の思春期の真剣な悩みが綴られているのだが、それがどうにもおかしくて何度も読み返した。

それからしばらくしてさくらももこ先生は祖父と仲が悪かったことを知る。
まる子と友蔵の関係性は先生にとっての理想郷だったのだなと切ない気持ちになった。

人間は皆、自分の得られなかったものを抱えて生きている。
クリエイティブな世界に身を置く人間は、自分が欲しくても得られなかったものを作品という形で昇華しているのであろう。

さくらももこ先生の描く作品にはいつもどこか哀愁が漂いながらも己の恥を笑い飛ばすような強さがあるように思う。
叶えられなかったものも、得られなかったものも全てを包んで笑い飛ばせる大人に憧れた。

今の私は昔の自分が抱えていた痛みや苦しみを幾分か笑い飛ばせるようになれたと思う。

大人になってから読むさくらももこはいいぞ。

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爆烈モー子
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