『国家安全機関行政執行手順規定』『国家安全機関刑事案件処理手順規定』ってナンだ?
噂話、一応まとめ。
ネットで話題の…「4月26日にチャイナ国家安全部が公布し7月1日から施行される『国家安全機関行政執行手順規定』『国家安全機関刑事案件処理手順規定』において、末端法執行者が大陸入境時に外国人も含め電子機器(ノーパソやスマフォなど)を検査するので、入境時に全ての人が逮捕されてヤバイよ」という「噂話」。
僕も大陸に行く場合に心配なので原文を調べにいったらいつも通りの伝家の宝刀規制で、全員強制検査ではないものだった。まぁいつものパターンで、通常(平時)でノーマークな一般ピーポーには「検査しない」というものだろう。
指導部の長期マネジメントとして、「国外から投資を呼び込むことが、合法経済浸透工作を進展させ、それによって世界覇権に近づく」のは彼ら自身が重々認識していて、
一方で同時に超大国かつ集権国家の体制維持のためには、対外的な「敵」への対処も増えるし対内的にも反体制勢力の芽を潰して置かなければならなず、強力に国家安全も維持しないといけない国家安全強化課題を抱えている中で、
これらの二要素トレードオフのバランスを考慮したうえで、平時にまで(マークしていない一般の)外国人訪問者(特に観光とうよりも商務人材)のプライバシーを厳格に覗いてヒカせてしまうことはしない、というのがこれまでの近似した法令と同様の運用方法。だから伝家の宝刀規制。
もちろん、我々一般ピーポーはそんなグレーな伝家の宝刀規制であっても、現実に存在して施行されるので嫌な気配があるから、大陸訪問から足が遠のくという心理的なところもある。
まぁそういった対外的に発生するネガティブ要素も理解したうえで、指導部は法整備を進めなきゃいかんから、マネージメントが難しいということは理解。いずれにしても、「入国時全員強制検査、怪しければすぐに逮捕ぶち込み」みたいなことにはならんのではないかと思いますけれども(その可能性はあるけど、過去の運用観察と分析からみれば、蓋然性は低いという意味で)。
とりあえず一般的なリスク回避として、チャイナがよくやる施行開始ハネムーン期間(初手の短期間は厳密にやってみる運用形態。北京オリパラで公共交通機関テロ対策の危険物検査とか、SARSあけの消毒とか、最初は厳密適用していた。その後は形骸化してなぁなぁに。)は、サンプリング検査の「蓋然性も高まる」ので7月1日から数ヶ月くらいは大陸への出入国を控えられるひとは控えておいたほうがいいんでしょうぬ。
個人的にはこういう反中嫌悪に満ちた「噂話」については否定できるし、一般的な観光客やビジネスパーソンは影響受けなかろうと判断できるものの、僕自身が当局からマークされていないとは言い難い特殊なインドポジにある身なので、一回りしてビビるんではあるが…。ひぃぃ。
おまけ:在中華人民共和国日本国大使館も2023年6月『安全の手引き』のなかでオフィシャルに下記の注意喚起をしています。今回の国家安全部関連の法施行とは別問題として、十分な注意が必要なのは言うまでもありません。つまり、今般の法令がどうのこうのではなく、そもそも(とくに長期滞在者は)盗聴されてしまうのであれば、新法令にビビる必要はないともいます。なぜならこれまでもずっと、もっとビビることやられてるから…。と逆説的に、新法令は無難なものでしょ、という話になるわけです。
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