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チャイナの国内「親印」論展開
今年10月にBRICS+カザンサミットで印中首脳会談がおこなわれて以来、
チャイナ内でインドに対する「正能量」報道(ポジティブ化世論工作)が増えてきました。
首脳会談時には、ポジティブとは言い難い「ゼロ近傍からのスタートですよ」スタンスだったチャイナですが、極めて緩やかに外交指針を方向転換している姿がうかがえます。
鬼のように「ニュートラルな」顔芸。これほどまでにニュートラルニュートラルな雰囲気があったろうか。 https://t.co/y8wYkpf5Od pic.twitter.com/zm3PzC1prp
— 中川コージ/ Dr.NAKAGAWA (@kozijp) October 23, 2024
14億人チャイナは、巨大な1億人の党・官僚組織であるがゆえに、方向転換に対しては慎重です。船長(総書記)が司令を出したとしても、きわめてゆっくりとした船の方向転換なのですが、実際に転換されれば圧倒的なリソースを持って、メディア、国民感情操作、人民解放軍、官僚機構、国有企業を中核とした経済界、アカデミアなどが一斉に、船長の指し示す方向へと動き出します。
まだチャイナ側が展開する対インドの「正能量」報道は、国内向けがメインですが、今後国際宣伝も増加すると、インド側でのポジティブフィードバックも増えて、印中間で「持ち上げ合い」の様相になるかもしれません。
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ちなみに…、インド側の対中報道は、(チャイナとは異なって)当局によってメディアが完全コントロールされているわけではないので、チャイナに対しては、2020年以降の関係悪化をうけた、これまで通りネガティブも少なくない賛否両論です。
そもそもインド産業界は、政府による規制を低減したチャイナとの連携を望んでいるので、仲良い/悪いのような情緒的な報道よりも、実質的に印中間の経済交流が「必要だ」といったリアリティある話が多くなります。
「コトが発生して、世論が興る」インド(日本も同じ)と、「世論を興して、コトを発生させる」チャイナの違いがありますので、本投稿で専ら注目をしているのは、チャイナ側の初手の動きです。
まとめ。
結果的に将来、印中両国の政治が意図して印中間の国民感情コントロールが効いてくると、リアルな、物質的な、経済的な、軍事的な印中距離接近という、日本側にとってはなかなか外交コストが増加する事態にもなりますんで、今大いに気にしなければならない転換事象が発生していると言えます。(もちろん、接近といっても、若干のポジティブ程度であって、「蜜月」「一蓮托生」のような状況になることは今のところは考えにくいわけですが)
日本が外交コストを割いて、必死に「来たるべき米中対立(台湾有事からのシーレーン封鎖も含む)」を追っかけていたら、B面(サイドライン)と思っていた印中間で巨大なパワーをもった合意が勃興して、既存の米中対立長期予想ロジックが無意味化してしまうかもしれないわけです。
強いレベルで、印中が手を組んだり、米印が手を組んだりといった事態は米中印G3を構造を大きく変化させる要因となりますし、はたまた印が荒々しく勃興し、米中がマイルドに手を組んで対処せねばならないことや、米中印が等距離で不干渉(G3による暗黙の影響力分割ガバナンス)ということもあるかもしれません。
日本が戦略的に動くために、米中印の引力/斥力を分析するにあたり、印中(という見えにくいバイラテラル)の気配についてレーダー性能を高くして、把握してかなければならないですね。
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