夕日にかがやく飛行機を眺めながら
母と私は、特別 仲がいいわけではなく、
かといってものすごく険悪な関係でもなく、
大好きな清志郎のデイドリームビリーバーの歌詞のように
「喧嘩したり仲直りしたり」という
ごく普通の母娘である。
私が学生の頃までは、映画や食事など一緒に出かけては、
お互いに遠慮なく言いたいことを言って、もーっ!と喧嘩をして、
また忘れて、一緒に出かけていた。
私が社会人になっても数年の間は それでも一緒に出かけていたが、
段々と仕事が忙しくなってくると、それもなくなり、
休みの日も私は友人と出かけたりして
母と過ごす時間も少なくなった。
数年前、父が亡くなり、その年は慌ただしく終わった。
新しい年になって、今までは賑やかで お喋りだった母が、
随分と静かになっていることに気がついた。
母も もう70代半ばになっていた。
いつ何があってもおかしくない年齢だった。
久しぶりに一緒に旅行へ行こうと 、
暖かくなってきた春先に伊勢神宮へ行った。
母娘のお伊勢参りだ。
母はとっても嬉しそうにはしゃいで
お婆さんなのに 小さい女の子のようだった。
海が大好きな母のために、鳥羽の海が目の前に広がるホテルに泊まった。
母はずーっと ずーっと海を眺めていた。
その旅行では喧嘩することもなく、母はずっと笑顔だった。
出産以外では入院したことがなかった母だが
昨年、入院して手術をした。
その後、無事に回復して、今は自宅で療養中だ。
あのお伊勢参りの後は、遠出の旅行に行っていない。
母の介護をしながら、一緒に空を見る。
今日の夕焼けは、綺麗だねぇ、などと言うと、
嬉しそうに、そうだねぇとニコニコする。
夕日を浴びてキラッと光った飛行機が グングン飛んでいく。
飛行機、見える?
うん。
今度、飛行機に乗って、またどっか行こうか?
いいね。
読んで下さって、どうもありがとうございます。
台風が日本列島を縦断しています。
どうぞ 皆さまが無事でありますよう。
よい毎日でありますように (^_^)