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キレイな机と散らかった机…どちらがあなたを成功に導く?

ニューヨークの市長であったジュリアーニ氏は、地下鉄の落書きや放置自転車の撤去など街をきれいにすることで秩序を取り戻し、殺人を含む凶悪犯罪を激減させました。

この施策は「割れ窓理論」といい、割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃してしまうという、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した理論がその背景にあります。

では、たとえば散らかった机やオフィス環境は、仕事にたいしてどのような影響を与えるのでしょうか。


秩序ある環境が「良い選択」を促す

ミネソタ大学のキャスリーン・D・ヴォーズらは、秩序ある部屋(整頓された机や道具)と無秩序の部屋(散らかった机や乱雑な書類)に実験参加者をランダムに割り当て、10分間作業をしてもらった後、以下の2つについて参加者の反応を観察しました。

1、寄付金額: チャリティー団体への寄付を提案
2、おやつの選択: 健康的なリンゴと不健康なチョコバーから選ばせる

すると、秩序ある部屋では平均3.19ユーロを寄付したのに対し、無秩序な部屋では1.29ユーロしか寄付をしませんでした。また秩序ある部屋では、67%が健康的なリンゴを選択しましたが、無秩序な部屋では20%に留まりした。

秩序ある環境は、人々により良い選択を促す効果があるようです。これは社会的規範や伝統的行動を強化したと考えられます。

無秩序な環境は創造性を刺激する

ところが、次に「ピンポン玉の新しい使い方を考え、最大10個のアイデアを出す」という課題を与えたところ、出されたアイデアもその創造性も、無秩序な部屋の方が秩序ある部屋より高いスコアを出したのです!

さらに、「クラシック(伝統的)」または「ニュー(新奇性)」と書かれたスムージーを自由に選ばせる実験でも、無秩序の部屋の方が「ニュー(新奇性)」と書かれたスムージーを好んで選びました。

無秩序な部屋の方が、伝統や規範から解放され、自由に創造する思考や好奇心を高めたと考えられます。

環境が人々の心理や行動に影響を及ぼす

「物理的な環境が人の心理状態や行動選択に影響を及ぼす」ということはまちがいないようです。整然とした環境は社会規範に沿った、健康的かつ伝統的な選択や行動を促す傾向があり、乱雑な環境は型にとらわれない新たな発想やクリエイティブな行動を引き出しやすくします。

無秩序と不衛生は別物

ただし、無秩序な部屋と不衛生な部屋、あるいは単に汚いだけの部屋は別物だと思います。一見、仕事に関係のない趣味のものが置いてあったり、壁一面に張られたポストイットは創造性を刺激するかもしれませんが、ほこりがたまった床や何日も放置された不要な書類が机に放置されたままでは、決して生産性を高めることはないでしょう。

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