「アフリカの夜」㉘最終回のラストシーンは劇中劇だった

23年前に放送されたドラマ「アフリカの夜」。このドラマが好き過ぎて、文字起こしをしてきたが、今日、ついに最終回まで終えた。

最終回は3分の2は、逮捕されるまでを描いて、3分の1は礼太郎の死と葬式のあと八重子、有香、緑が観る映画『アフリカの夜』で終わる。

映画『アフリカの夜』は、礼太郎が監督として撮った映画で、大人が観ても難解な類いの映画という扱い。

このドラマの主題は、この映画で礼太郎(のような男性)が言っていることに集約される。映画に登場する人は名前は分からないけど、アフリカの住人そっくりな、でも別物という設定。

八重子みたいな女性(以下八重子)が扉を開け、入ってくる。
洋館のバーに、みづほみたいな女性(以下みづほ)、有香みたいな女性(以下有香)、緑みたいな女性(以下緑)が座っている。
みづほ「よくたどり着いたわね……何も見えなくて、怖かったでしょ?」
緑「前が見えないから、面白いんじゃない?たとえ怖くても……」
有香「一緒に誰かいれば怖くないわよ、前なんて見えなくても」
八重子「……」
礼太郎みたいな男性(以下礼太郎)の声「アフリカの夜はとても暗い」
バーカウンターにいるのは、礼太郎。
礼太郎「車のヘッドライトも吸い込むような、本当の闇です。みんな早く朝が来ることを願ってて……」
緑「……」
有香「……」
みづほ「……」
礼太郎「だけど、先の見えない夜の中で、悲しみが通り過ぎるのを待っている時間も、悪いもんじゃありません……」
と、グラスにシャンパンを注ぐ。
八重子「そう思えればいいけど……」
礼太郎み「楽しいことばかりじゃありません。苦しくても、迷っても、過ぎていく瞬間瞬間の全てに、意味があるってもんじゃないでしょうか……」
と、八重子にシャンパンを出す。
八重子「……」
礼太郎「いつでも、誰の前にも……」
八重子「道は開かれている」
シャンパングラスに窓から朝日が差し込む。
八重子「(光を見上げ)……」
有香「(光を見上げ)……」
緑「(光を見上げ)……」
みづほ「(光を見上げ)……」
カウンター頭上にある窓から差し込む朝日。それを見る八重子、有香、緑、みづほ。
八重子「(礼太郎を見る)……」
礼太郎「(笑顔で八重子を見る)……」
八重子「(微笑む)……」
                             (終わり)

大石静「アフリカの夜」第11話より

この言葉は、八重子がメゾンアフリカで過ごした日々のことで、そのまま、実生活の私達の救いになる。
私が仕事に行くのが嫌で、朝、「アフリカの夜」を観ていたのも、礼太郎にこう言って励まして欲しかったんだと思う。

そう考えたら、私はストレートな言葉に弱いんだと思う。だけど、それは、誰が言うかが大事で、礼太郎やみづほのような深みのある人間に言ってほしい。

先日、友人から礼太郎はいつでもスーツを着ていると教えてもらった。私は、言われるまで、全然気にも留めてなかったが、確かにそうだ!ミニスカパブでも、部屋でもスーツだ。それが違和感のない世界観に、このドラマはつくづくおとぎ話のようだなぁと思ってしまう。

10話と11話は、逮捕劇でシリアスなので、これまで敬遠してきたが、大石静さんらしい、アッと驚く場面は健在。いや、むしろ、10話と11話は驚きの連続でした。それはまた別の話…


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