「アフリカの夜」㉜最終回礼太郎死す
中1の息子に好きなドラマって何?と聞いてみた。
1位は「親バカ青春白書」だそうだ。驚いたのは、3位。なんと、大石静さんの「トップスチュワーデス物語」だった!
野球部で普通の普通の中学生が、まさかトップスチュワーデス物語とは…
大石静さんの「アフリカの夜」が大好きな私は、好きなドラマをもっと子どもに見せて、脳内を刺激してやらないと、と心に誓った。
さて、「アフリカの夜」についてのことを続けて書くのも終わりにしようと思っている。
どうしても書いておかないといけないのは、礼太郎の死だ。
友人は、礼太郎は死ぬ必要はなかったと言っているし、佐藤浩市さんは礼太郎を殺してはいけないと会議で主張していたと聞いたことがある。
まずは、ドラマから…
みづほが逮捕された日の夜、江古田商店街の豆腐屋が土地買収を目論むヤクザやチンピラから絡まれている。始めは、向かいから見ている礼太郎だったが。
確かに、死ぬ必要なかったよなぁ。
ただ、「アフリカの夜」は、八重子とみづほと有香、女三人の話だから、ファンタジーとしての礼太郎は世界からいなくなる運命なのも納得はできる。
礼太郎の死は、女達が生まれ変わった象徴だったのか、とも思う。みづほは逮捕されること覚悟で有香を助け、頑なに自首を勧めていた八重子は、「逃げてください」とカタログ女を脱却し、有香は一人の出産を覚悟する。あくまでも女性を助けるのが礼太郎は、もう役割を果たしたということなのだろうか?
逮捕の日ではなかったら、礼太郎はヤクザなんかに突っかかることもなかった。良吉も逮捕されて、誰もいなくなった「おかずの丸ちゃん」を庇うことができるのは、礼太郎しかいなかったのだ。
ヤクザのセリフ「こんな古くさい店、時代遅れでしょ?景気回復の足ひっぱってんだって、こういう町、こういう店なんじゃないですか?」。当時世の中の多くの人が、商店街に対しては、このヤクザみたいな感覚だったのだろう。
おかずの丸ちゃん存続問題の顛末はぼやかしてあるが、きっと銀行が処分してマンションかビルかになったのだろう。
ただ、ぼやかしてあるだけに、その後八重子や有香や出所した良吉などが彼ららしい土地活用をしてくれたらと妄想をするが、きっと現実ではそうは行かないだろう。
この場面で、好きなのは、一回目に礼太郎が刺された時の「い、いたい」という言い方。この言い方、「ザ・マジックアワー」の佐藤浩市扮する村田大樹みたいだなぁと思う。
「アフリカの夜」について32回書いてきた。23年間たまった心の澱が少しなくなった。しかし、澱がなくなるときに、攪拌されて逆にもやもやした部分もある。
今度は、「アフリカの夜」の魅力を抽象化して書きたいな、と思う。
それはまた別の話。