三体(2) 黒暗森林/冒頭のおもしろさ
三体の第二作目(全三部作中の二部、全5冊中の2・3冊目)、
黒暗森林を読み終わりました。
とてつもなくおもしろかったです。
興味深いポイントを書き連ねようと思います。
第二部の問題の答えが、
プロローグ前半にすべて書いてる
前作で描かれていた、
集会におけるイェ・ウェンジェの逮捕。
そのイェ・ウェンジェが集会に出席する前に、
今作主人公のルオジーが出会うことから始まる。
①対比
冒頭の蟻と蜘蛛とのシーン。
初めて読むと
詩的・文学的な表現にみえる。
ただただ
美しい感じ。
しかしながら、
二週目に読むとちがって見える。
人間と三体人の関係と、
蟻と蜘蛛の関係とが、
対比のように見える。
完全に関連付けている。
興味深い
②類推
これはなんでしょねゲームがおもしろい。
アリがアリの世界で動いているわけだが、
読み進めないとアリはどういう状況にいるのか
全然わからなかった。
③答え
読み切ってからもう一度読むと、
すべての答えがプロローグ前半で語られていることが分かる。
が、
すべてのヒントや
手がかりが無い状態なので、
それがそうだとしても
読み手は気づけない。
④読み直し
読み終わったら
プロローグだけでも
読み直してみるとおもしろい。
複数回読みしても楽しめる。
第二部の問題の原因が、
プロローグ後半に書いてる
エヴァンズと三体人との会話から始まる
①すれ違う会話
コミュニケーションの問題を認識する三体人。
とてつもなく発展した文明なのになぜか
三体人は、
一部の同義語について理解できない。
理解できるのは、
寒いと冷える、重いと沈む、長いと遠いなど。
②理解できない言葉
理解できない言葉は、
『想う』と『話す』
その二つが
同義語でなかったのに気づき、
驚く三体人。
同義語のはず
しばらく考えあうシーンが続く。
③身体構造の違い
三体人は
思ったことが外に表示される。
思考が丸見え。
よって、
想うと話すは同義語。
④言語学的に面白い
身体構造による言語概念の違い。
ゆる言語学的に興味深い。
⑤こわさ
思ったことがすべて開けっ広げ、
つまびらかに見える。
だますとか嘘をつく、
という概念自体が無い。
その差異にきづいたのち、
最後に、
『私はお前たちがこわい』
と言って会話が途絶える。
これも非常に示唆深い。
黒暗森林全体のテーマにもつながる
三体人の想いやある種の恐れとも見える。
ここまでがプロローグ
もうこれだけでおもしろいが、
とてつもなく話が発展し、
綺麗にプロローグを回収し
まとめてくる優美さもすごい。