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養生とハードル
バザー前日は園内の各部屋に全てブルーシートをはり、販売する品を陳列し翌日のバザーの準備をほぼ全て整える。
このブルーシートが大変で、大きいのを各自好きに持っていくと足りなくなる枚数なので配分と足りない面積の他をどうするかということを頭に置いて動かねばならなかった。恐らく明確にこれを決め事にするのが難しかったからだと思うのだが、情報がとても少なかった。
前年度の委員長がそこに気付き写真での記録を多目に残しておいてくれていたが、数値的な情報は一切ない。大きいのを適当な数ずつ配分してあとは余り布で、としか書いていない。実際動いてみれば、配分が悪かったのか余り布を使っても微妙に足りない。新聞紙養生も大丈夫だなんて知らなくて、どうにかならないかと各部屋走り回った。
何故こんな重要な項目の情報がこんなに薄いのか、という気持ちは何度も駆け抜けたが、まあそりゃそうだ明確にしづらい内容だし、やる側も仕事ではないんだものね、という気持ちが最終的に勝った。数年分あるファイルのどれを見ても、配分の記載は無くアドバイスも少なかった。
なんとか養生経験のあるママ友たちにアドバイスをもらい、それを総合して委員全員に注意点の通達をし、ごめん、あとはわからないから一緒に頑張ろうぜ!な流れだったので、情報がまだ前日分よりも多いバザー当日の方が気持ち的には楽で、実質私にとってのバザー本番は今日と言っても過言ではないな、と思いながらの1日だった。
そこを踏まえて、残せる情報は文字や写真で全て残した。せめて次の人が私より気持ちを楽に進められれば。
恐らくそれが活かされる。
今日、これから。
あれから1年。
あんなに気を張って、あんなに走り回っていたのが遠いことのように感じる。目の前の雑事に追われて忘れていた気持ちを、資料にまみれたダイニングテーブルで懐かしむ。
いよいよ明日。
頑張って。そんな気持ちを今年の委員長さんにも昨年の私にもなんとなく送っている。
売り場が出来上がり、手作り品の陳列を終えた時の感慨深さは忘れることが出来ないと思う。半年かけて準備してきたものが、完全な形になった瞬間だった。
作業を終えたのは夕暮れ時で、各部屋の完了を確認しに回りながら、オレンジ色の光を浴びながらひとつひとつ自分がやってきたことを噛み締めた。
やり遂げるのは明日だけれど、ここまで来た、人付き合いの苦手な私がここまでやれた、色々知識も技術も無い私がここまで頑張った、そんな気持ちが自己肯定感をぐんと底上げしてくれた。
明日はその感情をエネルギーにして、たくさん笑って全力で頑張ろう、そう誓った。