や・り・な・お・し
ある日のスーパーの本のコーナー。
食料品の買い物を終え店を出ようとしたその時に、雑誌に紛れて算数の文字が見えた。算数？といつもは横目で流して見ていた棚の前に近寄ってみる。
大人のやりなおし算数、だって。
私は算数が大の苦手である。小学校はかろうじて乗り切ったけれど、中学校で数学になったとたん壊滅的に出来なくなった。正直小学校の算数だって足し引き出来ればなんとかなるくらいの勢いで、もう分数の計算とか出来る気がしない。日常生活に困らない程度の最低限のレベルで良い、と思っていた。
しかし。
息子が小学一年生になり、宿題のマル付けという親の役割が誕生し、この役割が果たして六年生まで続くのかは定かではないが今後のマル付けに一抹の不安があった。今やっている足し算引き算は自分でも暗算でマル付け出来ているが、この先小数点や面積や約数や分数や比例や分数や分数や分数や分数や……とにかく分数を筆頭に記憶の定かではない事が盛り沢山なのだ。
食料品の買い物を終えたところだったのでその場では買わず少し考えながら帰ったが、帰宅して検索し色々な種類の大人のやりなおし系ドリルが出ていることを知り、やっぱり挑戦したい、とアマゾンでそのまま注文した。今この熱量があるうちに注文しないと私は先送りするだろう。既に先送りのエキスパートとして最前線にいるのだが、出来ればその線から離脱したい。
自分のためでもあり、息子に教えられる自分でありたいためであり、自信を持ってマル付けしたいのもあり、気になることをやり遂げてみたい、という気持ちも自分のため、つまり１００％自分のために始めることにした。
さて、先送りのエキスパートである私は三日坊主のカリスマでもある。下手すると三日もたないのでかなり最先端のカリスマ三日坊主師として華々しく毎日を生きている。そんな私がドリル一冊やり遂げることが出来るのか、三日続くかもそうだし、苦手に心折れる可能性も大だし。ま、続けば儲け物、この機会に算数を自分のものに出来れば儲け物、もういやだこんなものやってられねえがおおおおおおおおー！！！ってなればもう獣。なるようになる、ならないようになる、どうでしょうかね？と毎日小さな一区切りずつ始めてみたのが最初のツイートの翌日から。
敢えて公言しやらざるを得ない状況に自分を追い込んでおくという仕込みをしたので、あれから１０日、毎日ネタのような報告ツイートをしながら朝勉強が続きドリルの半分まで進めることが出来ている。
というか半分までは何とか来れた。
今日から高学年の内容が始まり最大公約数や最小公倍数が出てきて、なんとなく分かっていたようで掴めていなかったことがあることに愕然とし、算数の質問なのに何を質問されているか理解が出来ないという問題に直面しながら、もしかして私に必要なのは算数力の前に国語力なのでは、という疑問を打ち砕くべく、心の中をここにぶちまけて明日とうとうやってくる分数とそれ以降に備えている。（死亡フラグ）