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7月22日公開映画『こどもかいぎ』を観て


みなさんこんにちは。初めましての方もいらっしゃるでしょうか?この記事に巡り合ってくださったこと、嬉しく思います。


都内の保育所にて保育士ををしております、こゆめと申します。現場で保育をしながら、保育学生の就活を応援するメディアのお手伝いをしたり、たまに大学で学生さんにお話をさせていただいたりしております。

恐縮ながらSNS上でも保育に関する思いを発信しておりますので、こちらもよかったら覗いてみてくださいね。【Twitter】


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さて、昨今保育現場では「対話」を大切にした保育の展開が少しずつ広まってきていますが、みなさんは実際に見たり触れたりしたことがあるでしょうか?


「これまでそういった保育をしたことがない」「事例を見たこともないし、どうしたら良いのかわからない」という方もまだまだ多くいらっしゃるかと思います。


そんな中で、つい先日7月22日にある映画が公開されました。


とある子ども園にて子どもたちが対話する実践がまとめられた『こどもかいぎ』という作品です。チラシやパンフレットには「内閣府後援、厚生労働省推薦」と記載され、各界からの声も多く寄せられているようでした。


各界からのコメントが掲載されたパンフレット


私も早速観に行ってきたのですが、結論からいうと「ぜひ多くの方に観て欲しい」と思ったので、まだまだ未熟で恐縮ながら、概要や感想をまとめていきたいと思います。


興味はあるけれど観るか悩んでいる、という方々の参考になればと思いますので、良かったら最後まで見ていってくださいね。


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1、この映画の概要
2、現場の人間が観て感じたこと
3、直接うががった監督・郷田トモさんの思い

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1、この映画の概要


この『こどもかいぎ』という映画は、先にも述べました通りあるこども園が行っているこどもかいぎ(いわゆるサークルタイム)の様子をメインに撮影されている作品でした。

監督の豪田トモさんが丸1年この園に通って撮影されたとのことで、1年という時間をかけて子どもたちがどのように育っていったのか、その様子を追えるものになっています。

この園のサークルタイムは、5歳児クラスの子どもをメインに時折異年齢も混じる形で5〜7名程度。保育者を中心として繰り広げられる「こどもかいぎ」で、子どもたちの発言がさまざまに飛び交います。

普段、子どもだけでは考える機会がないであろう大人からの投げかけに対し、子どもたちなりに一生懸命考えて発言していく姿が印象的でした。

そして、この作品はサークルタイムの様子だけでなく、普段保育者の皆さんがされている保育の様子についても短い映像として各所に散りばめられており、保育関係者でなくとも「保育園ってこういう場所なんだ」ということをイメージしやすいようなものになっていました。


そういった点をとっても、保育者だけでなく、教育関係者の方や保護者の方、保育や子どもと全く関わりのない方にも比較的観やすいものとなっているように思いました。


「まだ予定はないけれど今後親になりたいと思っている」という方も、未来の娘さんや息子さんを保育園や幼稚園へ預けることは避けられないかと思いますから、自分の子どもをどんな保育園へ預けようなかな、と考えていく指標にもなるかと思います。


ここまでを読んで少しでもワクワクした方、観てみたいと思った方、また「誰かの感想は目にせずフラットな視点で観たい!」という方はぜひ、この記事を読むのは一旦ここまでにして、実際に足を運んでみてくださいね。


ここからは私の個人的な意見や感想を含めてまとめていきます。



2、現場の人間が観て感じたこと


まず第一に、「やっぱり子どもって面白いな」と感じました。

個人的にはある男の子の発言がふと笑えるものばかりで、観ながらつい笑みが溢れてしまいました。

映像の中には「私だったらこう言葉をかけるかもしれないな」と思う場面もありながら、(決してその関わりを否定しているわけではありません!)この保育素敵だな、真似したいな、と思える場面も本当に多くあり、一現場の人間としてとても勉強になりました。


私自身が普段の保育で行なっている「集まり」は、子どもの発言やつぶやきを元に広げていくことが多く、話題提供は子どもから、ということがほとんどでした。行事の内容やその日に遊ぶ場所など、「何かを決めるため」に設けることも多くあります。


もちろん子ども主体の保育を展開する上でこういった集まりには意義があると考えていますが、

この園の取り組みのように、目的はあくまでも「対話をすること」とし、出てきた課題を解決することやひとつの意見にまとめる方へ話しを進めていかない時間を繰り返し設けることは、子どもが自分たちなりに考える「思考力の育ち」に大きく繋がっていくことを感じました。


決して否定されない空間の中で、ゴールは決めずにただ話す。この体験を繰り返す中で「自分の意見を言ってもいいんだ」「自分の思いって聞いてもらえるんだ」「自分の意見には価値があるんだ」という意識が根付き、根本的な自己肯定感の育ちに繋がるのだろうと思います。


映像の中には、ある子どもが発言をしているときに他児が話しを聞いていない姿もあり、それに対して保育者の方が「遊びにきたんじゃないよ」「誰も聞いてないじゃない」と言葉をかける場面もありましたが、一現場の人間として「あるあるだよなぁ」とも思ったり。


たとえ少人数であったとしても、保育者が参加して欲しいと願ったとしても、参加の仕方は様々。色々な思考が働いて次々に発言する子もいれば、途中で飽きてゴロゴロとしたり、他のコーナーで遊び始めたりする子もいます。集まりが楽しいものではなくて「もう遊んでいい?」という発言が出ることも。

ここからどう切り返していくかすごく悩むところですが、それぞれの集中がもつ時間や話題提供の方法、子どもへの話しの振り方や惹きつける伝え方などを試行錯誤しながら、子どもたちにとって意味のある時間にしていくことが育ちに繋がっていくのですよね。これだから保育は面白い。と、思います。


この映画を通して、改めてクラスの子どもたち1人ひとりの姿を認め、共感しながら保育をしていきたいと感じさせられました。



今、保育の「あたり前」は変わりつつあるときで、このように「対話」を大切に展開される現場は今後さらに増えていくことと思います。


ある意味前例のないことが始まっているときですから、特にこれまでの時代を築き上げてくださった先輩方は戸惑う方も多いかと思います。


この映画は、実際に子どもの姿が映し出されそれぞれの発言についても、濁されたり、要約されたりすることなくしっかりと残っています


これからサークルタイムを取り入れたいと思っている園やすでに取り入れている園は、ひとつの事例として、サークルタイムがまだよくわからない、といった職員の方が多い園はこの映画をきっかけとして、「対話」から生まれる育ちについて考えていけると、業界全体が一歩前へ進んでいくのではないかと思います。

保育園へ通う子どもたちの中で無理なく対話ができるのは幼児クラスが中心かと思いますから、現場のメンバーでこの映画を観て、10の姿を目の前に置いてじっくりと考えていくのも一つ手かもしれないですよね。


いずれにせよ、「子どもの顔が写っている写真は廊下にも貼り出すことができない」といった園もあるこの時代に、こういった映像が一般公開されることは多くの意味をなすだろうと考えます。


今回はどうしても保育者視点で観てしまいましたが、次回は子どもの視点になって観てみたいと思っています。



3、監督・豪田トモさんの思い


今回の映画を鑑賞したあと、恐縮ながら直接お話をうかがう機会がありました。

そこでトモさんが語られたのは、この映画を保育関係者でない方にも観てもらって、最終的には現場の処遇改善に繋げたいという想いでした。

現場に勤めるみなさんは、私と同じようにさまざまな思いを抱えて仕事をされている方も多くいらっしゃるかと思います。


「保育園はブラックボックス」とも言われ、個人情報の観点からしても外部に保育所の中身を見せにくい場所ですよね。

だからこそ、色々な点できちんと配慮がなされたこの映像を一人でも多くの方に観てもらい、「保育園の先生ってこんなことをしてるんだ」「保育園ってこういう場所なんだ」「保育士って素敵で、必要な仕事なんだ」と理解してもらえると少しずつ変わっていくようにも思います。


トモさんご自身も、「この映画が今まで撮った中で一番大変だった」とおっしゃっていました。サークルタイムの様子をどのようにみせていくのか、試行錯誤を繰り返されたそうです。


保育の映像をまとめ、みんなが観られる「映画」という形にするという、保育者にはできないことをしてくださったトモさん。何かの力になるかわかりませんが、感謝の気持ちも込めてこの記事を書かせていただきました。


うるっとくる構成(幼児をもったことのある保育者の皆さんなら誰しも共感できる風景)にも触れられるので、これを読んだ方が1人でも劇場へ足を運んでいただけると嬉しいなと思います。



最後になりますが、1人でも多くの子どもたちが、いわゆる「質の高い保育」を受け、高い自己肯定感をもって小学校へあがり、その先の人生も自分の力を信じて進んでいけますように、願います。


子どもに関わる機会がない方は、わざわざお金を払ってこういった作品を観ることはほとんどないかと思いますが、ぜひ、この機会に興味をもって覗いていただけたらと思います。


作り手でないのに大変恐縮ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。


こゆめ


サインをいただきました


子どもが対話する保育「サークルタイム」のすすめ
小学館


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