第54回細胞検査士資格認定試験③

【総論1】11〜15問


答えは太字です。

11.腫瘍の発生と性差について正しいものはどれですか


1.中皮腫は女性に多い
2.尿路上皮癌は男性に多い
3.甲状腺濾胞癌は男性に多い
4.肝血管筋脂肪腫は男性に多い
5.膵粘液性嚢胞腫瘍は男性に多い

悪性中皮腫(Malignant Mesothelioma)
・アスベスト暴露で多く発生
・男女比は3:1で男性に多い

上皮型 50〜60%←体腔液中に出現しやすい!
二相型 17%
肉腫型 21%

また発生部位としては胸膜からの発生が圧倒的に多く、腹膜や心嚢膜にも発生することがある。

尿路上皮癌(Urothelial Carcinoma)
男性に多い

⭐︎低異型度非浸潤性尿路上皮癌(LGUC)
細胞異型乏しく
細胞剥離しにくい=腫瘍細胞は尿中へ出現しにくい!

⭐︎高異型度非浸潤性尿路上皮癌(HGUC)
細胞異型つよい
細胞剥離しやすい=腫瘍細胞は尿中へ出現しやすい!

尿路上皮癌は組織像との比較も大切かなと個人的に思っています。
正常の尿路上皮は表層をアンブレラセルさんが覆い、6〜8層くらいになっており、基底が分かりやすいですが、HGUCになるとそれらの構造が見られなくなる。

スタンダード細胞診テキスト P258より


細胞診を見る時に
地面(基底)がガッチリしてないからポロポロと大型の異型細胞が尿中に出やすいのかなぁと思いました。
LGUCはかろうじて分化しているような感じだから地面がまだあって細胞が尿中に出にくいのかなぁと思って見ています。

甲状腺濾胞性腫瘍
濾胞癌と濾胞腺腫の総称。細胞診ではどちらか診断できません。

濾胞癌
中高年女性に多い
✍️濾胞癌の診断基準
・被膜浸潤
・脈管浸潤
・他への転移
これらのうち少なくとも1つを確認する必要がある

濾胞腺腫
女性に多い傾向

肝血管筋脂肪腫
中年女性に多い、稀な間葉系腫瘍
HMB-45の発現

膵粘液性嚢胞腫瘍(MCNs)
中高年女性の膵尾部に発生
卵巣様間質を認める

膵腫瘍ってIPMNやらSPNやら色々あってウワァとなりがち…私はそうでした…今もそうですが。
そのうち別でまとめたい。

12.トラスツズマブの分子標的マーカーとして正しいものはどれですか

1. EGFR
2 .EML4-ALK
3. HER2
4. PDGFR
5. ROS1

もうこれはこれしかない
トラスツズマブ/ハーセプチンと言ったらHER2!個人的にHER2(免染)が2+だった場合にやられることの多いHER2-FISHのスコアが覚えられません!!
とりあえず
HER2/CEP17≧2.0でfishも陽性となるんですね。

EGFR
ゲフェチニブ/イレッサ
置換型増殖を示すことの多い肺腺癌

ROS1,ALK
クリゾチニブ/ザーコリ
アレクチニブ/タルセバ
充実型、篩状、融合腺管状、印鑑細胞型などの肺腺癌

PDGFR
これ聞いたことない…となったやつ
ソラフェニブ/ネクサバール
腎細胞癌やGISTなんですね…勉強になりました

 13.本邦のがん統計(2019年)について正しいものはどれですか

1.女性で死亡数が最も多いのは乳癌である
2.男性で死亡数が最も多いのは大腸癌である
3. がんの年齢調整死亡率は近年増加傾向にある
4.男女合わせると肺癌による死亡数が最も多い.
5.がんの罹患率は60代以降で男性よりも女性で高い

出たな!公衆衛生の範囲!国試受ける時から嫌いでした!!

2018年罹患率 2019年死亡率  男女別

ハッ!試験前に男女合わせたものをまとめていなかった。以下に示します。

正直3番の年齢調整死亡率は捨てて解いてましたし、5番は「男性の方が寿命短い傾向あるよな(失礼)」と思っていました。

年齢調整死亡率は1990年代後半から減少傾向にあるようです。
詳しくはこちらに載っていました。


14.粗面小胞体の発達した細胞が示す染色性として正しいものはどれですか


1.異染性
2.好酸性
3.好銀性
4.好塩基性
5.嫌色素性

滑面小胞体ではグリコーゲンやステロイドホルモン合成、脂質代謝、イオン調節が行われ
粗面小胞体では蛋白質合成が行われている事は知っていたけどこんな出し方するとは…と思いさっぱり分からなかった私です。

粗面小胞体とその周りにあるリボソームの集合体のことをニッスル小体と呼ぶらしいのですが、あれ?どこかで聞いたことありますね??

ニッスル顆粒とかニッスル小体…脳!
クリューバーバレラ染色を思い出した!!
ニッスル顆粒は好塩基性でクリューバーバレラのクレシル紫(塩基性色素)に染まります…!は!!
戒めたい。

15.ウイルスと疾病の組合せで正しいものはどれですか

1.サイトメガロウイルス(CMV)ー肝細胞癌
2.C型肝炎ウイルス(HCV)ーバーキットリンパ腫
3.ヒトヘルペスウイルス4(HHV-4)ー胃MALTリンパ腫
4.ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)ーカポジ肉腫
5. ヒトパピローマウイルス(HPV)ー尿路上皮癌

CMVは日和見感染
HCVは肝細胞癌(ちなみにRNAウイルス)
HHV-4はEBVのことでバーキットリンパ腫や伝染性単核球症
HPVは子宮頸がんや外陰癌ですね。

胃MALTリンパ腫はピロリ菌感染と関連すると言われてますし、尿路上皮癌は…なんだろう。ウイルス感染で癌になるのだろうか。
尿中にもヘルペスウイルスが見られたり、BKウイルス感染したときにマラコプラキア(ミカエリスグッドマン小体)が見られるのは知っていた。


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