第54回細胞検査士資格認定試験14

【消化器5】1〜10問

答えは太字

1.口腔細胞診について正しいものはどれですか. 

A.深層型扁平上皮細胞の採取が重要である. 
B.扁平苔癬では Tzanck 細胞の出現が特徴的である. 
C.正常頬粘膜では角化型扁平上皮が主体に採取される. 
D.尋常性天疱瘡はヘルペスウイルス感染が原因である. 
E.真菌症ではカンジダ症が最も頻度が高い.

Tzanck 細胞の出現は尋常性天疱瘡や単純疱疹、水痘、帯状疱疹、CMVなど
深層型の細胞が異型を伴い出現しているとSCC診断根拠になりやすい

2.筋上皮細胞への分化を特徴とする唾液腺腫瘍として正しいものはどれですか.

 A.粘表皮癌
 B.多形腺腫
 C.腺様嚢胞癌

 D.腺房細胞癌
 E.ワルチン腫瘍

粘表皮癌は粘液細胞・扁平上皮・中間細胞の3種類からなる.
CRTC-MAML2融合遺伝子

多形腺腫
全唾液腺腫瘍の45〜75%で良性腫瘍の中でも最も多い
女性に多め
異型の乏しい上皮性集団とその周りに筋上皮細胞がほつれるように移行して見られる。二相性あり。
間質粘液はギムザでメタクロマジー

腺様嚢胞癌
腫瘍化した腺上皮と筋上皮が見られる
タマネギのような篩状構造

腺房細胞癌
耳下腺に多く、細胞質にはチモーゲン顆粒認める

ワルチン腫瘍
多形腺腫に次いで多い良性腫瘍
耳下腺に多い
50〜60代男性、喫煙者
好酸性細胞とリンパ球

3.食道癌について正しいものはどれですか.

  A.女性に多い.
  B.バレット食道からは扁平上皮癌が発生しやすい.
  C.扁平上皮癌部分はヨード染色で不染色性を示す.
  D.癌細胞が粘膜下層にとどまる食道癌は表在癌と呼ばれる.

  E.上皮内扁平上皮癌に対する治療法の第一選択は放射線治療である.

食道がんは胸部中部食道に好発し、男性に多い
早期食道癌は病巣が粘膜内にとどまる=T1a
表在食道癌は病巣が粘膜下層までにとどまる=T1b

上皮内扁平上皮癌の治療は内視鏡的切除(だと思う)

バレット食道では腺癌が多く、欧米に多い

4.胃消化管間質性腫瘍(GIST)の診断で有用な免疫染色について正しいものはどれですか. 

A.p53
B.c-kit 
C.CD34 

D.S-100 
E.Desmin

他にDOG1が有用

5.肝腫瘍について正しいものはどれですか. 

A.肝芽腫は高齢者に多い. 
B.肝細胞腺腫は男性に多い.
C.肝細胞癌は HMB-45 陽性となる. 
D.非アルコール性脂肪肝炎は肝細胞癌の原因となる. 
E.肝血管筋脂肪腫の半数以上に髄外造血がみられる.

HMB−45が陽性となるのは血管筋脂肪腫
近年、非アルコール性脂肪肝炎は増加傾向にある

6.胆汁細胞診において悪性判定で重視されるものとして正しいものはどれですか. 

A.核小体
B.壊死性背景
C.多彩な細胞集塊
D.細胞質境界明瞭
E.集塊辺縁周囲に細胞質がみられる

貯留胆汁細胞判定基準

7.膵神経内分泌腫瘍のグレード分類について評価すべき項目として正しいものはどれですか.

A.肝臓転移
B.核分裂像数 
C.Ki-67 標識率 

D.クロモグラニン A 
E.シナプトフィジン

神経内分泌腫瘍では核分裂像、ki-67 indexでG1・G2・NETに分類している

8.舌癌扁平上皮癌について誤っているものはどれですか. 

A.舌尖部に好発する.
B.血行性転移をしやすい. 

C.表層分化型を示すものが多い. 
D.リスクファクターに慢性刺激がある. 
E.細胞診では深層型異型細胞と角化型異型細胞が混在する.

舌癌は舌縁に多く発生

9.誤っているのはどれですか. 

A.潰瘍性大腸炎では陰窩膿瘍がみられる. 
B.クローン病は肛門部痔瘻を合併しやすい. 
C.腸結核では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫がみられる. 
D.アメーバ虫体栄養体は PAS 反応で灰青色を示す. 

E.消化管アミロイドーシスに Congo red 染色が有用である.

クローン病と潰瘍性大腸炎

10.誤っているものはどれですか.

A.胆嚢癌は男性に多い. 
B.肝外胆管癌の多くは腺癌である. 
C.粘液嚢胞性腫瘍は卵巣様間質を有する. 
D.胆管内乳頭状腫瘍は周囲胆管との交通がある. 
E.原発性硬化性胆管炎の約半数でクローン病を合併する.

胆嚢癌は高齢女性に多い

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