【Episode 2】神宿る場所
神宿る場所 栄駅の裏側にある石の置物が、今日も僕のことを見つめているような気がしていた。あれはどうやら彫刻作品で、なんでも「竜神」という名前らしい。たしかに竜に見えないこともないが、僕には神が宿っているようには見えなかった。
高校へ行くためには「竜神」の前を通らなければならない。茹だるように暑い8月の朝を自転車で駆け抜ける。朝といえども気温は高く、自転車を前へ進めるたびにじんわりと体に汗が滲んでくる。こんなに暑い夏は嫌いだ。
家の前に置いている植木鉢に水をあげている人が僕