マガジンのカバー画像

地元を舞台に小説書いてみた。

6
高梁川志塾の成果物として書き始めた作品たちを公開します。 たくさんの人に読んでもらえるように、できれば愛してもらえるように、書き続けます。
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

【Episode 4】憂鬱とレモンサワー

憂鬱とレモンサワー 不思議と、寂しさはなかった。  恋人に別れを告げるときって、寂しさを感じるものだと思っていた。名残惜しいね、と二人で泣いたりするものだと思っていた。もっと虚無感に襲われるものだと思っていた。  実際の別れはどうだっただろうか。二人とも泣いてなかった。私は寂しさを感じてもいない。充実感を覚えていると言えば嘘になるが、虚無感には襲われていない。  人生で何度目かの失恋は、思っていたよりも呆気なかった。 「もうだめだと思う。だから、今日でおしまい」  私のそんな