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Onlineで日本語を教える|#18 学習計画どうしてますか?私が作っているのはこんな感じです!

 こんにちは!オンラインで日本語を教えているこゆきと申します。
 今日初めて見つけてくださった方、いつも見てくださる方、本当にありがとうございます。

 さて、オンラインで日本語レッスンをしている先生方は、学習プランを作って学習者さんに渡しているという方がいらっしゃると思います。フリートークのレッスンでは作ることはないかもしれませんが、試験合格や明確な目的がある場合は、学習プランを通して、いつ・なにが・どのようにできるようになるのだろう、ということを示してもらえると、学習者さんにとっても大きなメリットになります。

 私はプラットフォームに登録してすぐの頃、プラットフォーム上の講師へのマニュアルに、学習プランを作りましょう、と書いてあっていきなり困った記憶があります。どんな体裁や様式でもいい、とわかっていても、自分が見たことがなかったので、想像はつくものの、どうやって作ろうか迷ってしまったからです。

 それに、そもそも自分が教える技術に何の自信もないのに、いつまでにこれができるよ、なんて、無責任なこと言えない!と思っていました。
 それは確かにそうで(そしてそれは今も同じで)、ただ、無責任な約束をするために書くものではなくて、イメージを持ってもらうために作るもの、でもあると考えるようになりました。

 どんなレッスンがこれから始まるのだろう、と思っている学習者さんにとっては、予定が白紙、という状態から、こんな「予定」だよ、ということが見えるようになることで、継続して受講しようというモチベーションを生み出す元になりそうです。作る場合はどんなものにしたらいいか、どうやって作るか、今も試行錯誤中ですが、その一端を今日はご紹介したいと思います。ぜひ最後までご覧ください!
 


序章:そもそも必要なのだろうか

 主に学習プランを作るのは、体験レッスンやその後のレッスンでレベルや目的がはっきりしてきたとき、ではないかと思います。

 学習者さんにとってのメリットは、この先生とどんなレッスンをするか、いつ頃何ができるようになるかを、明確にイメージできるようになるため、受講のモチベーションにつながることです。自習計画と結びつけて効率的に勉強できるようになる方もいらっしゃるでしょう。 

 講師側のメリットとしては、やはり体験レッスンから正式に継続受講に移行してもらいやすくなること、学習者さんがやりたいと思っていることと自分が提案したレッスンの方向性が一致していることが確認できることがあります。しっかり計画を立ててくれる先生、として信頼してもらえることもあるでしょうし、このような前向きな印象を持ってもらうことは、その後の良好なコミュニケーションに良い影響を与える可能性もあります。

 さらに、ある程度計画的に進めたほうがいいレッスンの場合は、この学習プランをそのまま、大まかではあるものの、レッスンシラバスとして使用できるということもあります。
 これをやってから、こんな練習を導入できるな、という見通しや、その前にこの点を復習しておかなくては、という流れを確認したりという感じです。次は何をしよう、と頭を悩ませるレッスンが完全にゼロになるわけではないですが、学習者さんの意向からずれない提案はできるようになると思います。

 一方デメリットとしては…そうですね、せっかく作っても学習者さんの意向に沿わなかったりモチベーション維持につながらなかったりしたら、手間になっただけ、ということが起こるかもしれません。
 ただ、欲しくない!いらない!という反応はあまりないのではないかと思います。
 また、内容が意向に沿わなかった(そのため継続受講につながらなかった)という場合は、学習プランの作成に関わらず、遅かれ早かれ、学習者さんに同じ判断をされてしまったのではないかと思うので、個人的には手間にならない限り(効率的に作成できる限り)、体験レッスンまたは、最初の数回のレッスンの時点で作成するのがいいかなと思っています。

 私の場合、必ず学習プランを作るレッスンは、目標や達成したい時期がはっきりしているもの、受験対策、の主に2つです。
 フリートークを希望しながらも、ご自身で克服したい弱点などがはっきりしている場合は、どんな練習をすると効果的だと考えられるか、私のレッスンでどんなふうに練習するかについては書いて渡すようにしています。
 こちらは学習計画というより、学習提案書みたいな感じです。

 また、体験レッスンでご本人の希望に合わせて作るので、ご本人の申告した学習目標、強みや弱みと一緒に書くことが多いです。
 それでは、デザインも色もなにもない、そっけないフォーマット😅をご紹介していきましょう!

Case#1: 【上級】仕事で使う日本語

 上級者で仕事で日本語を使う方が、私のレッスンを受けてくださる方の中で最も多いです。すでに使っているという方が多く、そのため、ご本人の中で比較的、課題がはっきりしています。
 
 たとえば、会議に参加しても早口でわからない、使われる言葉が難しい、とか、議事録の書き方で迷っている、など、困っているポイントを説明してくださることが多いです。漠然と、上手になりたい、というようなリクエストは少ない印象で、それだけに、効率的かつ効果的なレッスンを組み立てたいなといつも思います。
 
 ただ、いつまでに、というのは明確ではないので(早いに越したことはないですが)、計画というより提案書に近いものをお渡しします。

 克服したいことに対して、どんな練習をするか、それによってどんな効果があるか、を書くようにしています。話しながら、ニュースを使ったレッスンがいい(または好きじゃない)とか、好みも聞いて、書いてあることをやってみたい!と思ってもらえるようにしたいと考えています。

 このためには、練習方法や提案内容、どんな悩みにそれを提案するか、についてある程度の準備が必要です。テンプレート的なご紹介でもいいと思います。練習をやってみて合わないからやめるということはよくあることなので、初めから正解じゃなくても仕方ありません。

 たとえば私の場合、課題と提案については、すごく簡単に書くとこんな感じ。それならこれはどうですか?と提案するときのネタです。

  • 早口でききとれない(聴解)→ニュース動画・音声を使った練習、ディクテーション、シャドーイングの提案、語彙不足も関連するので必要ならテキストなどで強化

  • 言葉が難しい(聴解・語彙)→記事を使う練習、ビジネス日本語テキストの使用、会議のロールプレイ、テーマを決めて会話練習

  • 議事録の書き方(書く・語彙)→テキストの使用や作文課題と添削

  • 敬語に迷う(会話・文法・語彙)→敬語トレーニング(自作教材やテキストの使用など)、場面ごとの会話練習

  • 日本語通訳をすることがあるが言えないことが多い(会話・文法・語彙)→会話練習、記事を読んで話す練習、ニュース記事を翻訳する

 こんな感じのことを、組み合わせて提案します。実際にはこれらに肉付けして、具体的な練習内容を書いたり、こんなニュース記事はどうですか?ということも紹介します。
 練習メニューをあらかじめ想定しておいて、それを当てはめるような感じで書いています。

まずは目標と経験・使用状況
このまま学習者さんカルテとしても保管します

 普段の日本語の使用状況や、誰とどんな場面で使うのか、を聞き取って記録しています。これを元に学習提案書を作っています。
 これは上級の方の場合のサンプルですが(実際のケースを複数使って、内容を編集しました。架空の誰かの例です)、ご本人は日本語を読むことに抵抗がないレベルなので、まったく容赦なく笑、ネイティブに見せるつもりくらいの日本語で書いています。

こちらは実際に体験レッスンで話した時に書いた「強み」
せいいっぱい、良いところを拾い上げて書きます

 現状レベルの確認として、強み・弱みを書いています。ご本人が苦手意識があっても客観的にそうではないこと、意識していないことでも、もっと強化できそうなところを書いて、今後の練習内容につなげます。

「弱み」は、じゃぁどうしたらいいのよ😢と思わなくて済むように
提案と解決法を書きます。
またできるだけ具体的に何を練習すべきかを書くようにしています。

 弱みとして、上級者の方は「文法」「敬語」をよく訴えるのですが、確かに文法がうろ覚えだったり混乱していたりということはあるものの、文法知識が足りないというよりもただ会話で使えない、というケースも多いように思えます。そのため、対策として文法を復習しましょう、というわけでもないのかな、といつも思うのですが、ここできちんと復習しておきたい、というニーズもあるのでそれに応える内容を書いています。

そしてこちらが学習計画(提案)の欄
ご本人が一番心配していること、期待していることをはっきり書きます
これからやろうとしていることが自分の希望に対応している
ということが確認できると安心するかなと思うので 
 
 

 肝心の提案部分はこんな感じで、私の場合は羅列しているので計画表という感じにはなっていません。練習メニューのご紹介みたいな感じですね。
 間違いを修正してくれる人が身近にいない、という悩みを持つ方が多いので、リクエストであれば私はちゃんと修正しますよ(それも練習内容ですよ)と書いたりもします。

 私の場合は、レッスン中に画面共有してこれを書いているので、お話している時に、ニュースを読む練習?え、いやだ!みたいな反応があった場合はもちろん提案には入れません。後で送りますね、にするとそういう行き違いが起きるかもしれないので、その場で聞きながら書き、うんうんと納得してくれているようなら、完成させるようにしています。

Case#2: 【初中級】日常で使う日本語

 私のレッスンでは少ないのですが、日常で使う日本語について練習したいという方もいらっしゃいます。生活に密着した内容は多岐にわたるため、整理して何をどう勉強するかまとめるのは、少し難しく感じることもあります。学習者さんが最も心配していることが何か、言葉の問題もあってご本人がうまく言語化できないこともあるものの、できるだけ汲み取って、それに対する対策を書くような感じで作りました。
 これも学習提案書みたいな感じです。

 期限を決めたい方(で、ご本人の意向に合う場合)は、JLPTの受験をおすすめすることもあります。明確な目標設定ができること、上達を目で見て確認できることがそのメリットなので、無理せず手が届くレベルをおすすめするといいかなと考えています。テストが嫌いな方にはおすすめできませんが、その場合はテキストを使うようにして、そのレベルが上っていくことで上達を実感してもらえることもあるかなと思います。

こちらは全体をまとめてご紹介
ここではテキストを使うご提案も入れました
リンク先にはAmazonなどのサイトをひもづけています

 日本に住むようになって、見聞きしながら日本語を覚えた、というケースのサンプルです。実際にこのような方は聞き取りはとても上手なのですが、言いたいことが言えないとか、LINEやその他のツールで日本語でやり取りする場合に、読めないので入力できない、というような不便さを抱えている方が多いです。語彙(漢字の読み方)の強化だけでも、実は大きく改善できる状況かもしれません。テストも必要ないかもしれませんが、できる!と思える場面が増えるといいなと思って、すぐ必要なことをメインに提案書を書きました。

Case#3: 【上級】JLPT受験計画

 一番作るべき、また作り甲斐のある学習プランかもしれません。もしかしたらいつ受験するか決まっていないケースもあるかもしれませんが、私の場合はこれまで受験日が決まっている方が多かったです。
 レッスン内でやることと、自習で対応してもらうことを分けてかくことで、ご自身でも計画的に学習をすすめてもらえるようにサポートします。

 JLPTについては、次回以降の記事でもう少し詳しくふれたいと思うのですが、ここでは計画についてのみ書きたいと思います。

 私の場合ですが、JLPTの対策レッスンでは文法・読解・解答のヒント(時間配分などについてのアドバイス)を主に解説することが多いです。ご本人の自律学習に頼るところは、ときどき進捗具合を聞いて、アドバイスしたりレッスン内で少し時間をとってミニテストをしたりすることもあります。受験日までの受講可能回数はおよそ見込みを立てることができるので、全体の回数のうち10%ぐらいは、予定を柔軟に変更できる余地として残しておくようにしています。

サンプルのケースでは、すでにお持ちのテキストで読解を自習する計画です
読解力・読解問題への対応力が高い方だったので、時々進み具合を聞いて
レッスンでは文法に集中することにしました
後半では聴解練習も一緒にやりました
ご本人が持っているテキストでわからなかった問題を解説したり
メモを取るコツなどをお話しました

 テキストを使い、文法をレッスンで解説するスタイルのJLPT対策学習プランです。体験レッスンの際に、「日本語総まとめN2文法」を使うことに決まりました。URLをQRコードに変換できるサイトがあるので、それを使ってAmazonのリンクを送りました。この計画書は体験レッスンのすぐ後に送信し、1回目のレッスンまでにテキストを購入をしておいてくださったので、スムーズに計画を進めることができました。

 お忙しい方が多いので、JLPT対策では試験までに受講可能なレッスン日時と回数を予定であっても早めに確認しておくようにしています。サンプルの方は日本在住で、GWはご家族に合わせて休みたいというご要望もあったため、予備の日程も一緒に相談しました。

 全部は書ききれていないのですが、文法のテキストを網羅し、問題を解くときのコツや時間配分へのアドバイス、またすべての問題の形式にふれてもらえるように計画しました。

Case#4: 【入門】旅行で使いたい

 実はこのタイプのレッスンは、一番私にとって難しいです。というのも、本当の入門者(ゼロ初級)から、実は学習歴がある方まで、開始時点でのレベルにばらつきがありながら実際に日本語を使いたい場面が似ているから(難易度は別として)です。また、受講可能期間も1ヶ月から数ヶ月とそれぞれで、どこまでやりたいことができるだろう、といつも悩みます。

 文法をなぞるようなレッスンは向かないので、タスクベースでやりたいことをクリアしていくような流れを作ります。何を使ってレッスンするかも学習者さんのレベルによって調整が必要です。受講期間が短いことに加え、手軽に学びたい、というニーズもあるため、テキストの使用をしないこともあります。そうなると、教材や資料の作成は避けられません。
 そんなわけで、旅行のための日本語レッスンを得意とする先生方も多い中、私は今のところ得意だといえるパターンではありません。
 
 しかしですね💦やはり問い合わせが多いのです。直接の目標でなくとも、旅行で使いたい、という潜在的ニーズはどんな学習者さんにもある、といってよいのではないかと思うので、今後このような問い合わせに体系的に対応することができないか、現在模索しています。

 手始めとして、学習プランのテンプレート化を行いました。もちろん、これだけで、多様なニーズに対応できるわけではないのですが、旅行で必要とされるフレーズ・使用場面を整理して、それらを組み合わせて学習プランを作るシートを作りました。挨拶につかう言葉はもう知っているという方には、それらを学ぶ回を省略するなど、自由にタスクを組み合わせることができるようになっています。
 また、タスクもそのままでは学習者さんが盛り上がらないのでは?と思い、ミッションをクリアしよう!というようなコンセプトで作っています。まだ試作段階ですが、実際にお渡しする場合のサンプルをご紹介したいと思います。

全部で何回受講できるかによって、タスクを組み立てています
このケースはゼロ初級の場合です
文法には積極的にふれず、汎用性の高いフレーズを主に紹介する予定にしています

まとめ: 今後の課題

 初めて学習計画を作成しようと思った時、本当に何をどうやって作ればいいのやら、と迷ったのでネット上でいろいろ探してみたのですが、マンツーマンのオンライン日本語レッスンの学習計画書のサンプルなどは、当時あまり見つけることができませんでした。

 英語のテンプレートはたくさん見つかりましたが、私の場合はそれを元に
アレンジできそうなものが見つかりませんでした。私が今日ご紹介したものは、本当にごく一例で、デザイン性の高い気分の盛り上がるものでもないのですが、もしも他の人はどうしているんだろう?と思っている方がいらっしゃれば、ご参考になるといいなと思い、ちょっと恥ずかしいですが掲載しました。
 ※すべて編集を加えたため、特定の個人の情報は含まれていません。
 
 今後については、やっぱりもう少しビジュアル面で見やすいデザインに変えたいなと思っているところです。もらった人も気分が盛り上がるような、プロっぽいものを作りたいのですが、実務重視になってしまっていてちょっともったいないかなと思っています。先述の通り、学習者さんのモチベーションにもつながるものなので、なんとかしたいです。
 また、いつまでに、を目安で書く必要もあるかなと思うので、ここも改善したいところです。

 さらに、レッスンによっては学習者さんとgoogleドキュメントを共有したり、google classroomを使用したりすることがあるので、学習計画を私が作って渡すもの、ではなく、共有管理するのもいいかもしれない、などと考えています。

 最近は特に、レッスンのニーズが多様であることを実感しています。日本語レッスンのイメージ・範疇におさまらないような、様々な学習ニーズのお問い合わせをいただきます。毎回異なるテーマについて、レッスンをリクエストをする学習者さんもいらっしゃるでしょう。このような状況では「学習計画」にこだわる必要はないと思いますが、「学習提案」は講師として常にできる必要があると考えています。

 もしも、そもそも学習計画の作り方に迷っている方がいたら、こんな質問にはこうアドバイスできる、というようなご自身の知識を言語化・整理するつもりで「学習提案書」を書いてみることをおすすめします。様々なニーズに対し、答えに迷うものもあるかもしれませんが、その都度自分なりの回答を考え、学習者さんの反応やフィードバックを見ながら修正していくと、多様なニーズにすばやく提案を出せるようになるのではないかと思うからです。そしてそれこそが、マンツーマンレッスンで自分のためにカスタマイズされたプラン・レッスンを望む方への、ひとつの答え方ではないかなと思います。

 まだまだ私の手探りは続きますが、今後も少しずつ自分なりの経験などをご紹介していこうと思います。

 長くなりましたが最後まで読んでくださって、ありがとうございます!
今これから始める、または今も迷いながら進んでいるみなさんと、小さなつながりが持てると嬉しいです。ご経験豊富な先生方におかれましては、どうか温かい目で見守ってくださると幸いです。

 それでは、また🫡
過去記事はマガジンにまとめました📚


その他、つれづれ遊びですので、ご興味があればぜひご覧いただけると嬉しいです。



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