2019年7月16日の夢日記
◇◆すべて夢です◆◇
数名の仲間でスシローへ行く。
その中に、だいぶ昔に二度三度だけ、関係をもった人がいた。まさかこんなところで会うとは思ってもおらず、懐かしさから二次会までのこのこと着いて行ってしまった。
結局近くにろくな店が見つからず、知人の家で時間を潰すことになった。そこは、ある宗教に熱心な家族の家で、隣の部屋からはお題目を唱える声がする。おばさんに私だけ呼ばれ、何故だろうと別室へ着いて行くと、なんとその入信者名簿に私の名前があった。自分で知らなかっただけで、祖父母の代から会員だったようだ。
先程まで寛いでいた和室に戻り寝そべると、私は彼の近くに寄った。なんとなく相手も意識しているのがわかった。
陽も落ちてきたので解散となり、家の前にある大きな運河を見渡すと私の背ほどあるサギが2匹水の中に立っていた。川の岸壁には、古い家が何軒もしがみつくように建っている。あんなところしか住む場所がなかったのだろうか。普段自分が暮らしている場所から少し離れただけで、こんな場所があったんだなあと感心した。
彼(H.Tさんと呼ぶ)に、お腹へらない?と聞かれ、私は正直食欲は無かったが付き合うよと言った。コンビニに寄るとろくな弁当が無く、結局私たちは生のひき肉を星型に固めただけの変な弁当を選んだ。H.Tさんは、火が使えるちょうど良い場所がある、と言って私の手を引っ張った。
しばらく歩くと、古い蔵のような家が等間隔で立ち並ぶ変な地域に入った。私はH.Tさんに手を引かれ、その中の1つに入って地下への階段をおりた。
建物の内部は荒廃しており、ゴミだらけの空間に黄緑色のあやしいネオンがちらちらと灯っている。薄汚れた壁には隙間がないほどに中国語のチラシが貼られていて、車に轢かれた死体写真や拷問を受けている僧侶といった物騒な写真が載っており私は反射的に目を背けた。
階段をおりきったところに、ぼさぼさの白髪を生え散らかしたせむし男がいた。タンクトップ1枚の体はガリガリにやせ細り、目は虚ろでやつれきって、背骨は90度に曲がっていた。手元に何かのジョイントを持っていた。私はしばらく警戒したが、その男はただブツブツと聞き取れない音を発しているだけで特にこちらに何をするでもなかった。
玄関と思われる場所の頭上には、チベットの祈祷旗のような鮮やかな色の飾りが、赤、青、黄、緑、白と埃まみれで乱雑に垂れ下がっていた。
私はそれを見上げながら、すごい場所だね、と言うと、H.Tさんは「小指ちゃんを連れて行きたかったんだよね」と言い、戸を押し開けた。
中へ入ると、一面タイル張りの空間に浴槽が3つ並んでいた。壁にかかった図によると、両端の透明色の湯はただの白湯で、真ん中の黄緑色の湯は消毒槽らしい。一見して売春婦とわかるスパイラルパーマのアジア人女性が、先客として裸で浸かっていた。
私は衣服を脱ぎ、白湯に浸かった。しばらくして女性が退室したので黄緑の方にも浸かると、どちらからにも消毒液のようなツンとした匂いがした。私が「ただの湯なのか消毒槽なのかわからない」と言うと、H.Tさんは「どちらでもいいよ」と言って緑色の浴槽から立ち上がった。
ここはどうやら、不法滞在の外国人が経営する無許可の連れ込み宿のようだった。あちこちで、外国人が座り込んで熱心に日本語の勉強をしたり、野菜の皮をむいたり、薬物を吸ったりしている。
きっと彼らは、ここで生活をしている。
みんな私達を無視してそれぞれやっていたけれど、1人だけこちらへ興味深げに視線を送る人物がいた。向こう側の目がどうなっているかもわからないほどに分厚い瓶ぞこ眼鏡をかけたそのロングヘアの女性は、私たちが彼女に気づいたとわかった途端にこにことこちらに近づき歓迎してくれているかのような言葉を発した。彼らの言語はまるでわからないが、その彼女の親しみやすい笑顔に安心し、私はH.Tさんの後ろに隠れながら奥へと向かった。
私たちは手を繋いで、裸のまま階段を上った。
階段を上ったところに鉄の扉があり、開けてみると、ジャージャーと激しく何かを炒めているような騒がしい音がした。厨房だったようだ。奥から、おばさんの笑い声が聞こえた。また客が間違えて開けたよ、というようなことを言っていた気がする。
湯気と油の匂いで充満したその部屋の中には、30センチほどにもなる黒光りした巨大なダンゴムシが何匹も食材として吊るされていた。その場で動物もしめるようで、床にはまだ時間が経ってなさそうな鮮血があちこちに残っていた。おびただしい煙で、料理人達の顔は見えない。
驚いて中を眺めていると、ドアの向こうからイモムシのようなものが這い出してきた。それは、よく見ると赤ん坊で、なぜか顔から足先までの全身を蛍光黄色のペンキで塗りたくられていた。私は、心底ギョッとした。
さっきから私たちの隣に座り込んで腕の瘡蓋をしきりにかきむしってばかりいた男が、ハイハイで階段に近寄ろうとする赤ちゃんを見た途端、慌てて何かを叫んだ。階段から落ちると思ったのだろう。私は赤ちゃんを抱きかかえ、男に手渡すと、男は安心した顔でその子を厨房の中へ連れて行った。
ふと上を見ると、下水道の管の上に乱雑に本が並んでいた。その中に私の好きなノンフィクション作家のものがあり、「この人とH.Tさんは下の名前が同じだから、いつも見るたびにあれっと思うんだよ」と言うと、H.Tさんは「そんな人と間違えられるのは光栄だ」と言った。
もうすぐ客間だよ、と手を引かれ、そこで私は目が覚めてしまった。