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企画・開発・デザインが統一した仕組みで動く話

デザインという仕事の範囲や内容が分かりにくいのは今に始まったことではありませんが、最近は昔よりも悪くなっていると感じています。でもそれはとても良い意味でもあります。

私にとって昔とは、1990年代の「モノのデザイン、コトのデザイン」というようなことが言われ、対象の製品(モノ)を直接考えるのではなく、それを使う人の行為(コト)から考えようというものでした。

それらは現在では、UXデザインという形でフィジカルな行為だけでなく行為の意味や感情といったさまざまななものを含んだ概念で扱われるようになっており、さらにビジネス、テクノロジーを含めてより大きな範囲でプロジェクトを進めていくことが求められるようになっています。

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これらの意識革命を経て私たちデザイナーは色々な概念を学びより大きな視点から課題を解決していけるように成長してきました。一方でそれらの努力の結果、従来の様々な部門、例えば企画(マーケ)部門や開発部門の業務内容と重なるところが増えてきたことも事実です。

そのためデザイン部門の勝手な業務拡張(越境)だけではなく、会社全体の活動に昇華・適合させていく必要がでてきました。


会社は何で動いているのか

企業はその大小に関わらず社会の中で認められることで事業を継続していけます。良い製品を出すことだけでなく、信頼される組織として品質マネジメント(ISO9001)やプロジェクトマネジメント(ISO21500/PMBOK)などの国際的な認証を受けルールに則ることでビジネスに参加できる仕組みになっています。

幸いなことに品質マネジメントシステム(QMS)にもプロジェクトマネジメント(PM)にも、顧客(ユーザー)要求を明示するプロセスが含まれているため、人間中心設計プロセス(HCD)やデザイン思考(DT)で重視されている、ユーザーの特定や共感、利用状況の調査と明示などと同じものだと捉えることができます。

つまり、QMSやPMという会社の仕組みの中で、HCDやDTを実行していくことができるということです。

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デザイン部門が企業内で中心的なポジションにある会社は、デザイン部門だけでなく、他部門も含めてこのことに気づき全体経営をおこなっているはずです。これはデザイン経営ができていると言うこともできます。

逆に、部門間の調整が上手くいかずギスギスした雰囲気の中でデザイナーの努力が空回りしているのであればISO9001や21500を学びアプローチしてみるのが近道になりそうです。



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