白毛馬の歴史~シラユキヒメからソダシへ~
白毛馬はなぜ人を魅了するのだろうか。純白の素晴らしい馬がターフを駆ける姿は我々を魅了し続ける。そして今年は白毛馬が席巻する年になった。ソダシが桜花賞を無敗で勝ち、ハヤヤッコやシロニイなど白毛でも活躍する馬も増えてきた。今回はそんなソダシやブチコ、ユキチャンなどの白毛馬について解説していこうと思う。
日本初の白毛馬は父ロングエースを持つハクタイユーである。しかしながらこの馬は白毛馬ということで優遇はされていたようだがあまりよい産駒を残すことはできなかったようだ。
なぜ白毛の馬で活躍する馬がいなかったのか。
日刊スポーツの岡山氏によると
『1990年代までに生まれた日本の競走馬の中でも白毛は圧倒的に少なく、8頭だけです(突然変異4、遺伝4)。そのうち中央競馬で走った4頭は、すべて未勝利に終わりました。白毛は弱い、白毛は走らない。そういったイメージがついたのは、この頃の印象でしょう。種牡馬や繁殖牝馬になれた白毛馬にしても、白毛の遺伝の有無など実験的な目的が主で、必ずしも強い馬を作る意味ではありませんでした。結局、絶対数が少ないので、強い白毛馬が出る確率も非常に低かったのです。(そしてレースでは)何しろ目立つので、人気を背負えばマークされやすい。後ろを走る馬からすればすぐにわかるので、仕掛けの目標になってしまうのです。』
とのこと。
そして白毛として活躍する馬が増えるきっかけになったのは、1996年に生まれた父サンデーサイレンスの牝馬シラユキヒメである。父サンデーサイレンスは言わずと知れたリーディングサイアー。父サンデーサイレンスは数々のトラブルに見舞われながらも日本で成功を納めた種牡馬だが、白毛馬を誕生させたのもある意味では強運なのだと私は思う。なにわともわれ白毛馬の歴史はここから始まったと言っても過言ではない。
シラユキヒメは金子真人オーナーが所有し、現役時代は未勝利だったもののレースで3着に入るといったそれなりの健闘はした。そのシラユキヒメに金子氏所有のクロフネやキングカメハメハを付けることによってその才能が開花することとなる。
2番仔のホワイトベッセル(父クロフネ)で白毛馬初の中央勝利を達成し、3番仔のユキチャン(父クロフネ)は白毛馬で関東オークスを勝利し、NRA最優秀3歳牝馬に選出。そして孫にはメイケイエールがおり、娘のハイアムズビーチは注目の2歳馬として期待されている。
6番仔のマシュマロ(父クロフネ)の子どもにはレパードステークスを勝ったハヤヤッコ(父キングカメハメハ)がいる。ダート路線では穴を開けることがかなり多いので今後も注目したい。
9番仔のブチコ(父キングカメハメハ)は白毛でも特に珍しいブチ模様があり大変な人気を博した馬だ。現役時代ではやんちゃぶりを見せており、ゲートに脚をぶつけたりしたりするなどさまざまな困難を生んだ。気性が原因で思うような活躍が出来ず引退することになったが、その能力はソダシ(父クロフネ)に受け継がれ、桜花賞を無敗で制する名馬が誕生した。オークスは残念な結果になったものの、札幌記念では古馬との対戦となる。2000mという距離がどう影響するのか見物である。
そして10番仔のシロニイ(父キングカメハメハ)は阪神大賞典で4着になり、天皇賞春や宝塚記念といった重賞に参戦することが出来た。まだ伸び盛りの馬だけにどれくらい輝くか…。楽しみである。
シラユキヒメ牝系はかなり勢いのあるラインであることには間違いない。そしてディープインパクトやキングカメハメハといったリーディングサイアーを数頭所持し、白毛馬のG1馬を所持する金子オーナーはすごいと思う。これからの競馬界はもしかしたら白馬が走る大白馬時代になるのかもしれない。
シラユキヒメ系 2021年5月22日現在
シラユキヒメ 牝 1996-2019(父:サンデーサイレンス、未勝利)
├シロクン 牡 2003(父:ブラックホーク、未勝利)
├ホワイトベッセル 牡 2004(父:クロフネ、3勝)
├★ユキチャン 牝 2005(父:クロフネ、クイーン賞(G3)、TCK女王盃競走(G3)、5勝)
├★シロインジャー 牝 2013(父:ハービンジャー、未勝利)
├★ハウナニ 牝 2015(父:ロードカナロア、2勝)
├○マイヨブラン 牡 2016(父:ヨハネスブルク、1勝)
├ラテマキアート 牝 2017-2019(父:ノヴェリスト、未出走)
├○ハイアムズビーチ 牝 2019(父:ドレフォン、未出走)
└ユキチャンの2021 牡 2021(父:ヘニーヒューズ、未登録)
├★マシュマロ 牝 2009(父:クロフネ、2勝)
├○ハヤヤッコ 牡 2016(父:キングカメハメハ、レパードステークス(G3)、4勝)
└マシュマロの2020 牝 2020(父:ラブリーデイ、未登録)
├★ブラマンジェ 牝 2010(父:クロフネ、未勝利)
├★ウアラネージュ 牝 2017(父:エイシンフラッシュ、未勝利)
└○ダノンハーロック 牡 2018(父:ルーラーシップ、1勝)
├★マーブルケーキ 牝 2011(父:キングカメハメハ、3勝)
└マーブルケーキの2021 牝 2021(父:ニューイヤーズデイ、未登録)
├★ブチコ 牝 2012(父:キングカメハメハ、4勝)
├○ソダシ 牝 2018(父:クロフネ、阪神JF(G1)、桜花賞(G1)、札幌2歳S(G3)、アルテミスS(G3)、5勝)
└ブチコの2021 牡 2021(父:モーリス、未登録)
├○シロニイ 牡 2014(父:キングカメハメハ、4勝)
└○ブッチーニ 牝 2016(父:キングカメハメハ、2勝)
参考資料
https://bunshun.jp/articles/-/44866
https://jurinobabo.exblog.jp/239074447/
https://keibazanmai.net/5chkeiba/racehorse/post-56216/
https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=186904
http://www.asahi-net.or.jp/~ka5k-ab/white/japan.html
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