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「俺を許せ」、飲めないオタクの恨み節 | ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ! 藤野 英人 (著) | #塚本本棚

拗らせちゃってるなぁという印象。新市場の啓蒙ではなく、2極対立にもっていってるのが残念。


今日は「ゲコノミクス 巨大市場を開拓せよ!( https://amzn.to/34f4YkB )」藤野 英人 (著) #塚本本棚

【紹介文】
下戸市場が日本を救う!お酒を飲まないムーブメントがやってきた!糸井重里氏とのゲコ×ゲコ対談収録!

【書評】
自分がいかに迫害されてきたかが延々と書かれているだけの本でした。もっとノンアルコールペアリングとはどういうものか、海外で広がる”ソバー・キュリアス”などのノンアルコール文化はどのように花開いているのか、下戸の方たちのスマートな会食テクニックなど知りたかったが...


本誌の大半が、いかに下戸というだけで否定され続けてきたか、傷ついてきたか、飲みの場が面白くなかったかという事を(少なくとも)100ページ近くはつらつらと書かれていて食傷気味でした。


また、下戸か上戸かの2極対立で話をされるのも違うかなと。僕はワインテイスティングはするけど、じゃあ上戸かというと今はそうではないし、とはいえ下戸でもないしで困惑する。


ゲコナイト、飲めない人”だけ”の集まりもいいのかもしれませんが、本質的にはアルコールもノンアルコールもスマートにオーダー出来て、参加者みんなが良い気持ちでその場を過ごせればいいんじゃないでしょうか...


「俺を許せ」、「俺を理解しろ」と、そんな本でした。



【本を読んで考えた・メモ】
・”日本人の半分以上が、お酒は飲めない、ほとんどお酒を飲まない、またはやめた人々であるにもかかわらず、その市場が少ない”とあるが、僕らは昼はお酒を飲まないけれど色んな飲料には困っていないし、酒を飲まないとエンターテイメントが皆無というわけでもない。市場はあるけど、マッチングがいまいちなだけでは?


・よっぽど積もり積もった恨みがあるんだなというのがわかる文体で、読んでてげんなりするが、本人は楽しそう。下戸と上戸の2極対立ではなく、どういう会食シーンがあればスマートなのか、イノベーティブなのかの話を展開してほしかったかなとは思う、愚痴ではなくて


・社会的には40歳以下の世代から、飲酒習慣は急減する傾向にあるようだ。今後飲食シーンは変化待ったなしかも


・脱アルコールは世界的な流れ、アメリカなどではソバー・キュリアスなどという言葉がうまれ、ソバーバーというノンアルコールバーも生まれている(もっと知りたかった)


・前半120ページの印象は”めんどくさい人だな”という感じ。博報堂でプレミアムモルツを担当していた下戸の方のインタビューがあるが、この方は”飲めといわれたこともなければ、困ったこともなかった”といわれているのに対し、著者はよっぽど何らからのアルハラを受け続けてきたようで、前半100ページ以上その時のうっ憤を晴らすために執筆しているようにも感じる。この博報堂の方が本を書かれた方がよっぽど内容は中立的で得るものもあったのではないか?


・全体を通して”俺は苦労してきたんだから、俺の気持ちを理解しろよ”という気持ちがにじみ出ていて、お腹いっぱいになる。ノンアルハラスメントと思わないでもない


・ボトルティーという文化はもっと広まって欲しい


・ノンアルコールペアリングという文化ももっとニーズがあるはず(だけど、本書にはどのようなペアリングなのかの深堀はない)


・ノンアルコールソムリエも潜在価値は高そう(インタビューなど欲しかった)


・ノンアルコールペアリングなどで注目を集めるsioを特集しているが、オーナーシェフの鳥羽さんも「お酒が飲めるのが良い事だという雰囲気は薄れてきており、ノンアルの方がおしゃれだ、またはリテラシーが高い人はノンアルを選ぶという雰囲気もある」と言及しているにもかかわらず、そっちの話は深堀にしないで、ずーっと僕は苦労してきたという論調が疲れる


・糸井さんとの対談も載っているが、糸井さんも”迫害されたことはない”と言っているのに、それをもって”糸井さんは鈍感ゲコ”なんですねという始末...


・藤野さんは「飲めない人の気持ちもわかってほしい」という活動をゲコノミスト活動と呼んで推進したいようだが、男の気持ちを女が本質的に理解することが困難なように、”理解”をゴールとするのではなく、”調和”をゴールとしてほしかったなと思う

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