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データによって社会を理解していく試み | 社会学入門 社会とのかかわり方 筒井 淳也 (著) | #塚本本棚
40代になってリカレントがてら大学院に進学する知り合いが増えたんですが、僕も50代とかになったらありかもーとは思っています。これまでの人生は、生き残るために経済的側面ばっかりだったから、その時はそこからちょっと離れて社会を俯瞰してみたいかも。
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今日は「社会学入門 社会とのかかわり方( https://amzn.to/3IOfAZu )」 筒井 淳也 (著) #塚本本棚
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【紹介文】
「出生」「労働」「老い」といった誰もが体験しうる「人生のイベント」について,計量手法と質的研究という対照的な方法論者が各々の考え方を示し,社会学的に考える道筋を立体的に描きだす。新世代の社会学入門。
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【書評】
本書は社会学とはどういうもので、どういう課題に向き合ってきたか、社会学的な物事の見方がわかる本であるとともに、出産や教育などの人生のイベントなどに対して社会学者がどのようなデータで推論及び実証を行ってきたかが平易に(後半は著者が変わりやや難解)解説されており、社会学の入門書としても、社会への認知を深める入門書としても良書だと思いました。
個人的には引き続き社会学に興味はあるんですけど、この本を読んだ後だと僕はデータを分類整理するより、そのデータをもとに仮説を立ててサービスを作って世に問うてみる方がテンション上がるかなーとも思いました(今は)。ただ一度体系立てて勉強したい欲はまだなくなりませんので、引き続き色々インプットしていきたいと思います。
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【本を読んで考えた・メモ】
・社会学=数量(もしくは質的)データによって社会を記述し、社会を理解していく
・出生率の低下は、子育ての変遷、農工業からサービス業への変化、教育水準の向上、女性の社会参画、避妊手段の普及、社会保障の充実などが原因とも考えられる
・ただし上記が同様に発展した先進諸国でも特に出生率が低い国の背景には、女性の働く環境の未整備が原因としてあるのではないかとも考えられる
・社会学は、社会運動とその歴史を記述するとともに、社会問題を理解し、先に動かしていくための手立てとしても機能してきたので、社会学は現代史を記述する学問としての性格も持つ
・スウェーデンなどの高福祉国家の租税負担率は49%(日本は25.6%)。労働参加率も日本やアメリカなどよりも高く、男女80%を超えている”高助け合い”社会ともいえる
・ちなみに北欧の高福祉国家では有償労働をする女性の実に6割が政府に雇用されており、その大半が保育や介護に従事するケアワーカーである
・職住近接は女性の社会参画の面でも非常に重要だとするなら、昨今のリモートDXの流れは不可逆であるべきで推し進めなければならないものと言える
・または育児休業の仕組みや保育サービス、夫婦共同での家事子育てまたはそれらのアウトソーシングが不可欠
・女性が「仕事か家族か」の二者択一に直面してしまう家族主義の国(ドイツやイタリア、日本など)では深刻な少子化に悩まされている
・性別分業夫婦は伝統的でも何でもなく、専業主婦世帯の割合が最も高かったのは1970年代で、それでもせいぜい半数程度だった。高度成長期における過渡期の家族形態と言った方が妥当か
・前半は読みやすかったが、後半はやや難解。著者が変わったせいか...