あなたの不機嫌とわたしの不安

夕方、雨が降っている

無表情で車を運転する男
助手席に座る女

女「混んでるね……」
男「ん」

男「これスシローの道だっけ?」
女「………」

あくびをする男
窓の外を見る女

というシーンが金曜にありました。

私(女)は男(夫)が不機嫌なんじゃないかと想像し、何か言わなくてはと焦り、見たままのことを口にするが会話は弾まず、道のことを聞かれるもよく分からないので答えられないことにさらに焦って黙り、気持ちを落ち着けるために窓の外を眺めたのです。

窓の雨粒をみていると、こんな事がこれまで数えきれないほどあったことを思い出しました。

ふむ。ちょっと頭の中を変えてみよう。

男は不機嫌かもしれないし不機嫌じゃ無いかもしれない。どっちでもいい。私は安心してくつろいでいよう。ゆっくり呼吸しよう。雨の日のドライブもいいもんだとぼけ〜〜〜としていると気持ちが楽になってきました。

夫は疲れていたらしく、帰りは私が運転。
慣れない道だったので緊張して集中して運転しました。
運転している時には助手席の夫の機嫌なんて気にならなかったので、人の気持ちなんて分からないくらい自分のことに集中してればいいんじゃかと思いました。
それはそれで、偏った考えなんだろうけど。

「こわれゆく女」というアメリカの映画を思い出しました。
その女の人は四六時中全方位、夫子父母に気を使いまくっていて、不穏な空気を感じると、どうにかしようと右往左往何とかしようとするんです。
それで精神的にまいってしまうという話で、原題が「A woman under the influence」、「影響下にある女」なんです。
人の機嫌に振り回されていたらおかしくなっちゃうよなと思ったことを思い出しました。

人の気持ちを考えることが大事だと教わってきたので、ついついどうにかしなきゃと思ってしまうんですが、今は、人の気持ちはなかなかどうにかできないし、自分の気持ちも揺れ動くものだから、怖がらないで、みんなそれぞれ怒ったり悲しんだり喜んだり憂鬱になってればいいんだ、それでいいのだという気持ちでいます。

それにしても、気がきく人というのが世の中にはいて、そういう人はナチュラルにそういう事ができて、人のニーズに応えまくって生き生きしています。
こういう人は振り回されてるんじゃなくて、その逆という感じがします。
させられているのか、しているのかの差というか。

「こわれゆく女」を観た時、日本の女の人はこの映画の女の人みたいに気をつかって生きているのがスタンダードだという気がしました。
だけど、それは私がみていた現実で、こういうもんだというのはそこここで違うし、当時そう思った私も今はそうでもないかと思っています。

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