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スクラップブック

実家には至る所に写真が飾ってあった。

私と兄の小さい頃から結婚式、家族写真、
孫たちの小さい時から今まで、イトコ家族、
犬、母と父の若い時、父の両親、母の両親、
壁一面、棚の上も写真立てが沢山あった。

さすがに引っ越した家にはこんなに飾る場所はないので、主要な写真立て以外は
写真だけ取り除き持ってきた。

引っ越しで持ってきた写真をアルバムに整理しようと思ったが、大きさもまちまちで(家族写真は引き伸ばして大きい)さてどうするか?と悩んでいた。

スクラップブック!!
そうだ、そんなものがあった。
と子供の頃のアルバムを思い出した。

私が子供の頃のアルバムはスクラップブックに写真が貼られ、母がコメントを一枚一枚書いていた。
そのコメントが面白くって、アルバムを見返したことを思い出す。
もう何十年も前のことだ…

早速スクラップブックを購入し、
写真と一緒に母に渡した。
「こんな懐かしい写真が出てきたから
アルバム作ってよ!」
と糊とペンを渡す。
「あら、懐かしい。」
と写真を貼り、一枚ずつコメントを書き始めた。

家族写真、従姉妹家族の集合写真を見て、
1人ずつ名前を確かめる。

20年前の集合写真。
みーんな若くって、孫達も小さくって、
祖母もいて、母も父も元気でなんか泣けてきた。

「いいもの見せてあげる。こっちへきてごらん」
と寝る前の母の部屋に呼ばれる。

ベットに一緒に座りスクラップブックを見る。
母は一枚ずつページをめくりながら
「これ覚えてる?」
「こんなに小さかったのね。かわいいね。」
「これはお正月ね」
などと言いながら、繰り返し繰り返し写真を見せてくれる。
(2日に1回くらい寝る前の儀式である)

私は
「これは誰だかわかる?」
と片っ端から指をさして確認する。

まだ家族も従姉妹も子供達も、
みんなの名前と顔を覚えている。
よかった。と安堵しながら
「おやすみ」を言う。

「写真っていいわね。その頃に戻れる感じがして…写真っていいわね。」
と母が言いながら今夜もスクラップブックを
眺めてる。

この文章書きながら涙が溢れてきた。
何でだろ…


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