集中治療室の皆さんが満面の笑顔で迎えてくれた話
10年近く前の今頃、春の話です。
義母が100万人に1人といわれる難病になり、15時間にも及ぶ大手術を行いました。
翌々日、まだ集中治療室から出られずにいる義母の術後の様子や、今後の情況確認のため、一人でお見舞いに行くことになりました。
かなりレアな症例だったようで、発症してすぐに地元の大学病院から今の国立病院送りとなった義母。気丈に振る舞っていたものの高齢のこともあり、さぞ不安でいっぱいだったことでしょう。
今後の事はどうあれ、とにかく明るく振舞おうと心に決め、服装も春っぽい清潔感漂う、レース付きの大きめのチュニックを着用し、口元にも笑顔を意識しつつ、緊張の面持ちで病院をおとずれたのです。
目的の集中治療室前で、スタッフの方に要件を告げると、
ドアを開けて入ったところにロッカーがあるので、コートを脱ぎ、手を洗い消毒しマスクをつけたら中のドアを開け、集中治療室看護師に声をかけてください。
なるほど厳重です。
コートを脱ぎロッカーへ入れ、念入りに手を洗い、さらに消毒。
マスクを付けて集中治療室に入ると、生死の現場で働く看護師、医師たちがキビキビとした動きと険しい表情で、数人の患者に処置を行っておりました。
こちらまで、背筋が伸びる思いです。
般若の形相で仕事していた看護師に、申し訳なく名前を告げると、
『!?、、〇〇さん、はい、こちらですよ!(※)』
なんとまあ、一転、はちきれんばかりの笑顔で対応してくれたではないですか!
さすがプロフェッショナル!
こんな緊迫した現場でも、笑顔の余裕とは・・。
案内されたベットにはあらゆるチューブに繋がれた、痛々しい義母が
『あー・・・・。(※)』
声も絶え絶えに何かを訴えるも、聞き取れず。
『お義母さん。大丈夫ですよ!すぐうちに帰れますから!』笑顔で話しかける私。
言いたいこともいえず無念そうに、目を閉じる義母。(※・・)
間も無く、ベットの元に担当の先生と看護師が登場。
二人ともやはり、はちきれんばかりの笑顔がさすがのプロを感じさせます。
『何か質問ありますか?(※)』
・・・こんな時の質問って?でも何か聞いとくべきなのかなと、よくドラマとかで見聞きしたセリフ、
『えーっと、あ、後は感染症の心配とかですかね?』
『何のですか?(※)』
何の?って、感染症といえばクラミジア感染症くらいしか知識がありませんが、この状況で性病の話題をふってはいけないことは重々承知しておりますとも。
『あ、すいません。全くわかりません。』
『ははは!(※)』
なぜか大笑い。
笑顔や笑い声があふれるプロフェッショナルなスタッフたちに、細かい説明を受け、何だか爽やかな気分で病院を後にしました。
家に帰りコートを脱ぎ、
やれやれと手を洗い、洗面台の鏡を見ると・・。
えーっ‼チュニック裏返し&後ろ前じゃん!
胸元にでっかーく<3L>のタグが バーン!
・・・その瞬間、集中治療室内での
すべての点がつながった。
看護師、医者、義母、そしてもしかすると
他の重症患者も辛い身体に耐えながら横目で、、
あいつ、、3L着てんじゃん?
って思っていたのですね、、
体型カバーするため大きいサイズをあえて着ているのであって、
私は、私は、3Lではないんです。
・・はい、LLくらいです。
ここまで読んでくださった、ありがたい方がいらっしゃいましたら
(※)に(『3L』さん)を入れて、スクロールして頭から読んでいただけると嬉しいです。
緊迫する現場、集中治療室に笑いをもたらしてきた自分が、
ちょっと誇らしい・・と思うことにしましょう。