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ゆくえ

終電の迫るころ
横断歩道を にぎやかに
駆け抜ける若者たち

彼は
両脇の二人に抱えられるようにして
声をあげ 笑っている

顎を夜空に向けてはしゃぎながら
右手にはかたく 白杖が握られている

いつもは慎重に 踏みしめているだろう
スニーカーの底
今はなんと軽やかなことか

杖の先は 都会の生温かい夜闇を
切りひらくように しろく 踊る

あぶなっかしい
心もとない

けれどそのしなやかな一筋の
今はなんと自由なことか

誰だって
どこへだって 行ける
誰のゆるしを得なくとも
ささやかな時間とお金を こちらに引き寄せて

誰とでも ひとりでも
いつでも 旅立つ支度はできている

あの青年の 杖の示すゆくえを
幸先、と呼んでもいい

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