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仕事を辞めるということ

 私の職場では毎年9月頃になると、仕事を来年度継続するか否かについて問う希望用紙が配布される。今年も例外なくその用紙はやってきた。
 現在の職場で15年間走り抜けてきた。新卒で就職し、幼稚園の担任からのスタート。やりがいを感じるし、私はこの仕事が好きだった。娘が産まれ、保育園へと異動。息子も産まれてからはパート、時短勤務など形を変えながら働いてきた。一線で働き続ける仲間を羨ましいと感じたこともある。でも「私は私のやれることを」をモットーに働いてきた。
 
 繰り返しになるが、私はこの仕事が好きだ。自分の性格にも合っていると感じていたし、子どもといる時間は本当に新しい感情との出会いの連続だ。それは子育てとはまた違う発見や喜びがあった。

 子育てが悪いわけではない、「じゃあ子どもを産まなきゃよかったんじゃない?」という単純な話でもない。私が言いたいのは「物事には優先順位がある」ということだ。それは朝起きた時から。「まずは顔を洗おう」「ご飯を食べよう」など私たちは順序よく生活を送る。それは「今何をすればいいか」の優先順位を決めているのだ。

 我が子と向き合ってみたいと思った。お金とかそういうのを置いておいて。「今日のお迎え早くて嬉しい!」と屈託なく笑う我が子の気持ちに応えたいと思った。そしてそう感じた時、私は過去の「がむしゃらに保育をしていた自分」とお別れをした。もうあの場所には戻れないのだとそう感じた。それは失恋にも似た感情だったと思う。切なさと虚無感、そして僅かな満足感。この気持ちが私をこれからもいい方向、そうでない方向へと連れて行ってくれるのだろう。

 しかし私には夢がある。それは「文章を書いて生きていく」という夢。次はこの夢に感情を捧げるのだ。少し長くなったけれど、これにて私の失恋日記はおしまい。

 

 

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