大谷翔平 AIを使ったデザイン革命(データオタクの時代がやってきた)
私は、野球には1ミリも興味がなく、
「どうやら、日本の野球にはセとパの2種類があり、アメリカには大リーグというものがあるらしい」という程度の関心しかありません。
しかし、そんな私であっても、
先日放送された「NHKスペシャル メジャーリーガー大谷翔平2023」を興味深く見入ってしまいました。
なぜなら、大谷のトレーニング方法があまりにも「革命的」なものだったからです。
番組は、大谷が3年前から、特別なトレーニング施設(「ドライブライン」と呼ばれている)に通い、デジタル技術(AI)を駆使したトレーニングを積んできたという話から始まりました。
なお、3年前は、ほとんど誰も、この施設の重要性に気づいていなかったようですが、大谷は好奇心をもって通い続けていたのだそうです。
そして、この施設のすごいところは、最新鋭のセンサーが内部に張り巡らさられていて、投げたボールの回転数や回転軸などあらゆるデータが瞬時に数値として表示されるところです。
大谷は、この機能を駆使して、一球投げるごとにデータと照らし合わせて、何がどれだけズレているのか、浮力をどのくらい上げればいのか、横幅をどれだけ広くすればいいのかなどの研究を重ねながら、自分のピッチングを「デザイン」していったのだといいます。
もちろん大谷は、バッティングについても、高性能のAIバッティングマシンを駆使して自らのフォームを「デザイン」してきました。
なお、この高性能のAIバッティングマシンは、850人以上のメジャーのピッチャーの投球を細かく再現することができるものとなっています。
そして、大谷の成功が影響したのかどうかは分かりませんが、
大リーグでは、最近になってやっと、
「デジタル技術(AI)を使ったデザイン」を最先端の理論と考えるようになり、「デザイン革命」と名付けはじめたのだといいます。
そして、この「デザイン革命」は、スポーツ界を大きく変えはじめているとのことです。
これからの選手は、データを活用して自らのパフォーマンスをデザインすることに強い好奇心と執着心を持つことができなければ、生き残ることができなくなります。
言い方を変えると、「データオタク」じゃないと生き残れないというわけです。
なお、大谷は、このことについて次のように述べています。
「試すのが好き」
「原因が結果につながっている感覚が面白い」
「ある種、趣味のようなもので楽しい」
★ ★ ★
番組を見終わって私が考えたのは、
デザイン革命は、スポーツに限ったことではないということです。
将棋の藤井聡太の成功も、AIを駆使して自分の打ち方をデザインしてきた結果でしょう。
農業も、データを活用して最適な栽培方法を「デザイン」する時代になってきています。
いずれ、演奏家にも、データを活用した「デザイン」が求められるはずです。特に弦楽器の場合は、楽器の構え方や、手・肩・指の動きなどのデータを取りやすいので、スポーツに近いように思われます。
そして、プレイヤーだけではなく、あらゆる分野における「指導者」の役割も大きく変わってくるはずです。
やみくもに時間だけかけて、データに基づかない無駄な練習をさせるような指導者は、淘汰されていくでしょう。
・・というようなことを考えさせられた、ある意味衝撃的な番組でした。