koyahiro

好きなこと  ○映画を観ること  ○本を読むこと  ○コントラバスを弾くこと  ○相方…

koyahiro

好きなこと  ○映画を観ること  ○本を読むこと  ○コントラバスを弾くこと  ○相方と一緒に旅行をすること  その他 ○LGBT🏳️‍🌈

最近の記事

映画「94歳のゲイ」(2023年日本/吉川元基監督)

主人公である長谷さんは、1929年生まれの94歳のお爺さんです。 かつて同性愛は精神疾患とされていたため、長谷さんは、ゲイであることを誰にも打ち明けられず孤独の中で生きてきました。 LGBTを取り巻く環境は1990年代から少しずつ変わっていきましたが、そのときの長谷さんは既に60代になっていたため、新しい流れについていくことができなかったそうです。 しかし90歳を超えて、自分の介護を担当するケアマネージャーが同じゲイであったことをきっかけにLGBTの活動に参加し、そこで

    • 映画「アイアム・ア・コメディアン」(2022日本・韓国合作/日向史有監督)

      お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんを追ったドキュメンタリー映画です。 村本さんは、政治的な発言をしたり、政治的なネタでお笑いをするようになったため、「芸人は政治にかかわるべきではない」などと批判されて日本のテレビから消えてしまいました。 しかし、本来「お笑い」というものには、政治をネタにして権力者を揶揄したり、差別など世の中の矛盾を告発するなどの「世の中と闘う」という重要な役割があったはずです。 ところが日本では悲しいことに、お笑いや音楽などに政治的なも

      • 映画「シド・バレット 独りぼっちの狂気」(2023年イギリス/ロディ・ボガワ監督&ストーム・トーガソン監督)

        ロックバンド「ピンク・フロイド」の結成時(1965年)からの中心メンバーだったシド・バレットの一生を描いたドキュメンタリー映画です。 シド・バレットは、音楽に関するたぐいまれな才能に恵まれ、しかもかなりのイケメンだったため、彼をセンターに置いた「ピンク・フロイド」はどんどん売れていきました。 しかし、そんな彼は、クスリに手を出して体調不良になり、わずか5年で姿を消してしまいます。 普通、これほどの人気メンバーが消えたバンドはそこで終わってしまうのですが、 「ピンク・フロイ

        • 書籍「テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想」(橘玲著/2024文春新書)

          橘玲氏の本にはいつも驚かされます。 今回のこの本は、既存の民主主義を超越する新たな思想を紹介するものとなっています。 まずは、現在の思想を次の4つに分類するところから始まります。 1 リベラリズム   福祉と人権を重視して、国家による再配分等により平等な社会を目指す考え方(大きな政府・左派) 2 リバタリアニズム    国家が個人に介入することを自由の抑圧と捉え、自由市場に任せればすべてうまくいくとする考え方(小さな政府・自由原理主義) 3 共同体主義(コミュニタリアン) 

        映画「94歳のゲイ」(2023年日本/吉川元基監督)

        • 映画「アイアム・ア・コメディアン」(2022日本・韓国合作/日向史有監督)

        • 映画「シド・バレット 独りぼっちの狂気」(2023年イギリス/ロディ・ボガワ監督&ストーム・トーガソン監督)

        • 書籍「テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想」(橘玲著/2024文春新書)

          書籍「世界史の中の産業革命」(2017年/R・C・アレン著)

          なぜイギリスで産業革命が起きたのかという疑問に答えてくれる本です。 蒸気機関、紡績機械などが発明された産業革命は、1750年くらいから1850年くらいの100年間に、イギリスで起こりました。 なお、これはドイツの話になりますが、 産業革命直前の1750年に死んだバッハは馬車で移動していましたが、その100年後の産業革命終盤の1847年に死んだメンデルスゾーンは蒸気機関車で移動していました。 たった100年で、世の中は恐ろしいほど変わってしまったわけです。 そんな産業革命が

          書籍「世界史の中の産業革命」(2017年/R・C・アレン著)

          書籍「紙と人の歴史 世界を動かしたメディアの物語」(2017年/アレクサンダー・モンロー著)

          「紙」の歴史を、宗教、科学、音楽などの歴史と重ね合わせながら書いた本です。 世界にまたがる約2000年間の壮大な物語がドラマチックに描かれていて、非常に読みごたえがありました。 製紙技術は約2000年前の中国(後漢)で発明され、まずは東アジアに広がりました。 日本には、早くも5世紀初頭にはその技術が伝わってきていたようで、大河ドラマ「光る君へ」をみても分かるとおり、約1000年前の平安京では紙を行政文書、手紙、障子など実に様々な用途で使っています。 製紙技術がイスラム圏に

          書籍「紙と人の歴史 世界を動かしたメディアの物語」(2017年/アレクサンダー・モンロー著)

          映画「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」(1967年アメリカ/監督D・A・ペネベイカー)

          横浜に引っ越してきて良かったなぁと思うことは、「シネマリン横浜」という名画座に足繁く通えるようになったことです。 https://cinemarine.co.jp/ 先週は、この映画館で、「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」という映画を鑑賞しました。 1967年にカリフォルニア州モンタレーで開催された「モンタレー国際ポップフェスティバル」を記録した音楽ドキュメンタリー映画です。 https://eiga.com/movie/64146/ どうやら、このイベント

          映画「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」(1967年アメリカ/監督D・A・ペネベイカー)

          書籍「運は遺伝する」(橘玲&安藤寿康著/NHK出版新書)

          科学技術の発達によって遺伝子の研究が進むにつれ、知力、能力、性格、さらには環境や運まで、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないことが明らかになってきています。 この本は、そういう行動遺伝学に関する最新の科学的事実を対談形式で説明している本です。 これまでは、遺伝子の影響を大きく認めることは、人間を峻別したり、人間の努力を無にするような方向を持つため、「タブー」(言ってはいけないこと)とされてきました。 しかし、上記のような事実が明らかになっ

          書籍「運は遺伝する」(橘玲&安藤寿康著/NHK出版新書)

          映画「かづゑ的」(2023年日本/熊谷博子監督)

          ハンセン病(らい病)回復者の宮崎かづゑさんを追った、8年間のドキュメンタリー映画です。 何度も泣いて、そして笑いました。 私は今後、「これまでみた中で一番良かった映画は?」と聞かれたら、この作品を挙げることにしようと思っています。 それくらい、胸にずしんと響く、凄みのある傑作だったんです! それにしても、かづゑさんの聡明さには驚かされます。 何よりも、彼女が発する言葉がどれも秀逸! そんな彼女の言葉や行動を通じて、人間が生きていく上で重要なことをたくさん教えてもらいまし

          映画「かづゑ的」(2023年日本/熊谷博子監督)

          書籍「ジェンダー史10講」(姫岡とし子著/岩波新書)

          女性史とジェンダー史のこれまでの軌跡を、家族、身体、福祉、労働、戦争、植民地などの観点から総合的に紹介している本です。 次のような点について、興味深く読みました。 〇 我々が一般的に思い描くような家族、すなわち、夫婦や親子が強い愛情で結ばれた、私的で閉鎖的で親密な、そして性別役割分担によって女性がケアを担当する「家族」は、まだ250年あまりの歴史しかない。   これを「近代家族」というが、1980年代から崩壊し始めている。 〇 男性/女性について、力強さ/弱々しさ、大胆

          書籍「ジェンダー史10講」(姫岡とし子著/岩波新書)

          映画「PERFECT DAYS」(2023日独合作/ヴィム・ヴェンダース監督)

          傑作でした! 特に、「ノマドランド」や「ケイコ耳を澄ませて」などの、後からジワジワくる静かな映画を観るのが好きな方にお勧めです。 ★ ★ ★ 主人公(役所広司)は、古いアパートに一人で暮らしています。 仕事は、公衆トイレの清掃員です。 風呂が無いので銭湯に通い、 洗濯機が無いのでコインランドリーで洗濯します。 テレビもインターネットもないのですが、 古本屋で買った本を読み、カセットテープで音楽聴き、たまに行きつけの飲み屋に行くなどして、それなりに楽しそうに暮らしていま

          映画「PERFECT DAYS」(2023日独合作/ヴィム・ヴェンダース監督)

          書籍「街道をゆく40 台湾紀行」(司馬遼太郎著/朝日文庫)

          年末年始に台北と台中を訪れからというもの、 すっかり台湾にお熱になってしまいました。 今回読んだ台湾の本は、 司馬遼太郎が1993年に台湾をぐるっとまわったときの紀行文です。 司馬遼太郎のような知識があると、 同じ場所を旅行してもこんなにも豊かな物の見方ができるのかと、改めて驚かされました。 しかも、司馬遼太郎は、次のような話を、 現地で出会う人々との対話を織り交ぜつつ、しかも読む者を飽きさせることなく、生き生きと描いているので、 その文章技術の高さを改めて思い知らされ

          書籍「街道をゆく40 台湾紀行」(司馬遼太郎著/朝日文庫)

          1+2+3+4=-1/12 ???

          昨年末に見た、NHKの「笑わない数学」という番組が、常識では考えられない奇妙な話をしていました。 そのときからずっと頭を離れなくなるほどの奇妙な話だったので、ここに書き留めておきます。 なんと、  1+2+3+4+・・=-1/12  という常識ではありえない数式が、数学的に成り立つというのです! https://www.nhk.jp/p/ts/Y5R676NK92/episode/te/994GL1M8Y8/ 要するに、すべての自然数の総和は「無限大(∞)」ではなく「-1

          1+2+3+4=-1/12 ???

          書籍「箱の中」(木原音瀬著/講談社文庫)

          傑作でした! 痴漢の冤罪で服役することになった30代の公務員が、刑務所で奇妙な男と出会う話です。 そして、出所した2人は、数奇な運命をたどることになります。 ところで、この小説は「BL小説」に分類されるのだそうです。 そもそも著者の木原音瀬(このはらなりせ)は、BL小説界では非常に有名な作家であるとのことですが、これまで全く存じ上げていませんでした。 でも、この小説は、一般に考えられている「BL小説」(読んだことないけど)とは異なり、 全くもって、美しくもないし、うっと

          書籍「箱の中」(木原音瀬著/講談社文庫)

          映画「ディア・ハンター」と「ミッション」

          観たいと思いつつ30年間も観損なってきた映画を、やっとDVDで観ました! きっかけは、NHKの「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」という番組で、時代を象徴する映画として紹介されていたからです。 ■ ディア・ハンター(1978アメリカ/マイケル・チミノ監督)   ベトナム戦争で心身に深い傷を負った男たちの苦悩と、戦争の狂気を描いた作品です。      この時代に特有の「社会への怒りと諦め」的な空気がよく伝わってきて、切なくなります。   故八代亜紀の「舟唄」や、イーグルスの

          映画「ディア・ハンター」と「ミッション」

          書籍「『今どきの若者』のリアル」(山田昌弘編・共著/PHP新書)

          16人の専門家が書いた、若者の思考や実態などを分析した本です。 印象に残った点を2つ記載します。 1 若者の「本離れ」は事実ではないとのことです。【飯田一史氏】   それどころか、データを見ると、不読率(本を読まない人の率)はむしろ下がっています。これは意外でした。   なお、ここでいう不読率は「書籍」に関するものであって、「雑誌」は含まれていません。  「雑誌」は、やはり圧倒的に読まれなくなっていて、かつて「雑誌」が提供していた鮮度の高い情報や暇つぶしはインターネット

          書籍「『今どきの若者』のリアル」(山田昌弘編・共著/PHP新書)