koyahiro

好きなこと  ○映画を観ること  ○本を読むこと  ○コントラバスを弾くこと  ○相方と一緒に旅行をすること  その他 ○LGBT🏳️‍🌈

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最近の記事

書籍「DD論」(橘玲著/集英社)

橘玲氏の最新本で、非常に興味深く読みました。 表題にある「DD論」の「DD」は、「どっちもどっち」を意味しています。 そしてこの本は、この「DD」をキーワードにして、世界で起こっている諸問題を考えていく内容となっています。 非常に示唆に富む内容が多かったので、 以下、半ば備忘録的に、長文となりますが印象に残った部分を引用します。 @ @ @ @ @ ◆引用1  DDは「どっちもどっち」の略で、双方に言い分があるという立場です。これに対して、「わたしが正義」だと主張し、

    • 映画「長屋紳士録」(1947年日本/小津安二郎監督)

      終戦2年後(1947年)に公開された小津安二郎の作品で、戦後第1作目となります。 焼け野原となった東京に家がポツポツと建ちはじめたころの話です。 長屋で独り住まいをしている女性が、戦災孤児風の少年の世話を押し付けられます。 女性は、はじめは少年を邪険に扱っていたのですが、やがて愛着を持ち、一生育てていこうと決意するようになります。 しかし、そこに実の父が現れて、少年を連れ去ってしまいます。 そしてこの映画は、最後、上野駅周辺で路上生活をしている「現実の戦争孤児(浮浪児)た

      • 歴史の本

        最近、世界史や宗教に関する本をよく読むようになり、 学校で習った世界史がいかに「ヨーロッパ側からしか見ていない一面的なものであったか」を痛感するようになりました。 例えば、十字軍について考えてみましょう。 ◆ 山川出版の「世界史」の教科書では、正義のキリスト教徒が聖地回復のために行わざるを得なかった聖戦、という印象を与えるストーリーになっています。  「11世紀に東地中海沿岸に進出し、聖地イェルサレムを支配下に置いたセルジューク朝は、ビザンツ帝国をもおびやかしたので、ビ

        • 映画「戸田家の兄妹」(1941年日本/小津安二郎監督)

          戦前(1941年)に公開された小津作品です。 裕福な戸田家の主(父)が急死し、多額の借金があることが判明します。 借金返済のために家屋敷を処分したため、そこに住んでいた母と未婚の末娘は、 ①長男夫婦→②長女夫婦→③次女夫婦と、順番に各家の世話になるのですが、どの家でも厄介者扱いされる・・といった話です。 そして映画を見た感想ですが、 本作品は、戦前に作られた作品であることを考慮すると、当時としては驚くべき2つの視点を持った”名作”であると感じました。 1つ目の視点は「フ

          映画「一人息子」(1936年日本/小津安二郎監督)

          これは名作です! 1936年に公開された作品であり、昭和初期の不景気による就職難の時代を舞台にしています。 長野の田舎町に住む母子家庭の話で、 母は製糸工場に勤め、女手一つで一人息子を東京の学校に進学させ、息子の出世を楽しみにしながら働き続けています。 そして、息子が学校を卒業して数年経った後、母ははじめて東京を訪れますが、 そこで見たのは、薄給の夜間学校の教師となり、既に妻と子どもまでできていて、貧しい生活を送っている息子の姿でした。 ラストシーンの、母の何とも言えな

          映画「一人息子」(1936年日本/小津安二郎監督)

          映画「侍タイムスリッパー」(2024年日本/安田淳一監督)

          幕末の会津藩の侍がタイムスリップして現代の日本に現れるという話です。 自主製作映画で、本年8月に池袋の1館のみで封切られたところ、 初日からSNSで絶賛クチコミの嵐となり、全国拡大公開となったのだそうです。 そういう噂を耳にしたので、 あの「カメラを止めるな!」級の面白映画の再来か!?と期待して見に行ったのですが、私としては残念ながら「普通」の映画でした。 次の点が”やや不自然”に思えて、なかなか共感できなかったからかもしれません。 ① 主役の侍の年齢(オッサン)が、周

          映画「侍タイムスリッパー」(2024年日本/安田淳一監督)

          映画「父ありき」(1942年日本/小津安二郎監督)

          場面がところどころ不自然に切れていたりしますが、 それは、戦時(1942年)に作られた映画なので、戦後になって多くの箇所(戦意高揚的な部分)がカットされたからなのだそうです。 それはさておき、この映画は、妻に先立たれて男手一つで一人息子を育てる父(笠智衆)の話です。 息子は全寮制の中学に入ってからずっと父と離れて暮らしますが、 東北大学を出て秋田で教師になったときに、父が住む東京を訪れて1週間だけ父と一緒に暮らします。 父は、その1週間の間に息子の縁談をまとめるのですが、

          映画「父ありき」(1942年日本/小津安二郎監督)

          映画「晩春」(1949年日本映画/小津安二郎監督)

          妻を亡くした父(笠智衆)と、父を気遣って嫁に行こうとしない27歳の一人娘(原節子)との絆を描いた作品です。 見ごたえはありましたが、私としては、1949年に作られたこの作品は、 その後に作られた『麦秋』(1951)や『東京物語』(1953)と比べるとやや質が劣っているように思えました。 その理由は、 『麦秋』や『東京物語』は、家族や結婚などを少し引いた目線で捉えていて、「“常識”とは何だろう?」という気づきを与えてくれる作品だったのですが、 この『晩春』は、あくまでも”常

          映画「晩春」(1949年日本映画/小津安二郎監督)

          映画「麦秋」(1951年日本/小津安二郎監督)

          今年の夏にヨーロッパを旅したときに、 小津安二郎の映画がかなりリスペクトされていることを知り、驚きました。 ある博物館では小津安二郎の映画のワンシーンが繰り返し放映されていたくらいです。 そしてそこで知ったのですが、昨年は「小津安二郎生誕120年・没後60年」という記念すべき年だったというではありませんか! このため、日本人なのに恥ずかしながら「東京物語」しか見たことのなかった私は、小津安二郎の全作品を見てみようと思うようになったわけです。 そして今回見たのは「麦秋」。

          映画「麦秋」(1951年日本/小津安二郎監督)

          映画「94歳のゲイ」(2023年日本/吉川元基監督)

          主人公である長谷さんは、1929年生まれの94歳のお爺さんです。 かつて同性愛は精神疾患とされていたため、長谷さんは、ゲイであることを誰にも打ち明けられず孤独の中で生きてきました。 LGBTを取り巻く環境は1990年代から少しずつ変わっていきましたが、そのときの長谷さんは既に60代になっていたため、新しい流れについていくことができなかったそうです。 しかし90歳を超えて、自分の介護を担当するケアマネージャーが同じゲイであったことをきっかけにLGBTの活動に参加し、そこで

          映画「94歳のゲイ」(2023年日本/吉川元基監督)

          映画「アイアム・ア・コメディアン」(2022日本・韓国合作/日向史有監督)

          お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんを追ったドキュメンタリー映画です。 村本さんは、政治的な発言をしたり、政治的なネタでお笑いをするようになったため、「芸人は政治にかかわるべきではない」などと批判されて日本のテレビから消えてしまいました。 しかし、本来「お笑い」というものには、政治をネタにして権力者を揶揄したり、差別など世の中の矛盾を告発するなどの「世の中と闘う」という重要な役割があったはずです。 ところが日本では悲しいことに、お笑いや音楽などに政治的なも

          映画「アイアム・ア・コメディアン」(2022日本・韓国合作/日向史有監督)

          映画「シド・バレット 独りぼっちの狂気」(2023年イギリス/ロディ・ボガワ監督&ストーム・トーガソン監督)

          ロックバンド「ピンク・フロイド」の結成時(1965年)からの中心メンバーだったシド・バレットの一生を描いたドキュメンタリー映画です。 シド・バレットは、音楽に関するたぐいまれな才能に恵まれ、しかもかなりのイケメンだったため、彼をセンターに置いた「ピンク・フロイド」はどんどん売れていきました。 しかし、そんな彼は、クスリに手を出して体調不良になり、わずか5年で姿を消してしまいます。 普通、これほどの人気メンバーが消えたバンドはそこで終わってしまうのですが、 「ピンク・フロイ

          映画「シド・バレット 独りぼっちの狂気」(2023年イギリス/ロディ・ボガワ監督&ストーム・トーガソン監督)

          書籍「テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想」(橘玲著/2024文春新書)

          橘玲氏の本にはいつも驚かされます。 今回のこの本は、既存の民主主義を超越する新たな思想を紹介するものとなっています。 まずは、現在の思想を次の4つに分類するところから始まります。 1 リベラリズム   福祉と人権を重視して、国家による再配分等により平等な社会を目指す考え方(大きな政府・左派) 2 リバタリアニズム    国家が個人に介入することを自由の抑圧と捉え、自由市場に任せればすべてうまくいくとする考え方(小さな政府・自由原理主義) 3 共同体主義(コミュニタリアン) 

          書籍「テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想」(橘玲著/2024文春新書)

          書籍「世界史の中の産業革命」(2017年/R・C・アレン著)

          なぜイギリスで産業革命が起きたのかという疑問に答えてくれる本です。 蒸気機関、紡績機械などが発明された産業革命は、1750年くらいから1850年くらいの100年間に、イギリスで起こりました。 なお、これはドイツの話になりますが、 産業革命直前の1750年に死んだバッハは馬車で移動していましたが、その100年後の産業革命終盤の1847年に死んだメンデルスゾーンは蒸気機関車で移動していました。 たった100年で、世の中は恐ろしいほど変わってしまったわけです。 そんな産業革命が

          書籍「世界史の中の産業革命」(2017年/R・C・アレン著)

          書籍「紙と人の歴史 世界を動かしたメディアの物語」(2017年/アレクサンダー・モンロー著)

          「紙」の歴史を、宗教、科学、音楽などの歴史と重ね合わせながら書いた本です。 世界にまたがる約2000年間の壮大な物語がドラマチックに描かれていて、非常に読みごたえがありました。 製紙技術は約2000年前の中国(後漢)で発明され、まずは東アジアに広がりました。 日本には、早くも5世紀初頭にはその技術が伝わってきていたようで、大河ドラマ「光る君へ」をみても分かるとおり、約1000年前の平安京では紙を行政文書、手紙、障子など実に様々な用途で使っています。 製紙技術がイスラム圏に

          書籍「紙と人の歴史 世界を動かしたメディアの物語」(2017年/アレクサンダー・モンロー著)

          映画「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」(1967年アメリカ/監督D・A・ペネベイカー)

          横浜に引っ越してきて良かったなぁと思うことは、「シネマリン横浜」という名画座に足繁く通えるようになったことです。 https://cinemarine.co.jp/ 先週は、この映画館で、「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」という映画を鑑賞しました。 1967年にカリフォルニア州モンタレーで開催された「モンタレー国際ポップフェスティバル」を記録した音楽ドキュメンタリー映画です。 https://eiga.com/movie/64146/ どうやら、このイベント

          映画「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」(1967年アメリカ/監督D・A・ペネベイカー)